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Category: パーティ  1/1

短編ですが……

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本日9時から、短編ですが「パーティ」を始めます。直と松本が、周二のお誕生日に行く話です。ずいぶん前の登場でしたので、相変わらずあんぽんたんな、二人の紹介分だけあげておきます。よろしくお付き合いください。沢木 隼(さわき しゅん)人と関わることが苦手で、口下手。年齢よりも幼く見える高校生。父親(沢木淳也(じゅんや)の職業は刑事、溺愛されている。同級生の木庭周二と恋人同士。ひどい近視と乱視で、ダサいメ...

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パーティ

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厨房で片付けをする直に、松本が声をかけた。「直。周二さんの誕生日ケーキの配達に、一緒に行くか?」「店長の上の人なんでしょう?おれなんかが、付いて行っても良いんですか……?」「俺の大事な人たちだから、いつか直に会って欲しいと思っていた。いい機会だから行こう。」「でも、もし失礼なことをして怒らせてしまったら、店長に迷惑がかかるかもしれないし……」言葉を選びながら、遠回しに断ろうとする直の心中は分かっている...

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パーティ 2

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くるりと振り向いて、松本が告げた。「着いたぞ。」見上げた三階建ての自社ビルの一階が、組事務所になっていると松本は言う。想像とは違うごく普通の建物で、思わず安堵した。「事務所の中、見てみるか?別に大したものはないけどな。テレビで見るような感じだぞ。」「二階って、住屋になっているんですか?」「ああ。周二さんと、兄貴と、俺の部屋も同じ階だ。上がればわかるけどな、広いリビングと台所があって、後は普通にバス...

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パーティ 3

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細い手首に目立つ白いファーは細い鎖の付いた手錠になっていて、悲しげな瞳を瞬かせる。「おう、ねんね。今日も又、漢(おとこ)らしい格好だな。」「周二くんのお誕生日だから、リクエストにお応えして、お花を載せてみました。」「似合ってるぞ。注文のケーキ、持ってきたからな。」「ありがと……あ、いつもおいしいケーキを作ってくれる直さん……?」「直……?」直は呆然としたまま、小首をかしげて見つめる可憐な隼の姿を見つめて...

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パーティ 4

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周二の膝の上で、好きだと言うグレープフルーツジュースを飲んで、隼は上機嫌だった。この格好だと、ふしだらという言葉のほうが似合う気がするが、あっけらかんと明るく笑う姿は、聖堂の天井に描かれた神の御使いのようで、ついつられて直も笑顔になる。「可愛い……」「そうだろ?」「はい。とても。店長に話は聞いていたんですけど、想像以上で驚きました。」「お前の事も、松本に聞いてるぞ。いろいろあったらしいが、頑張ってる...

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パーティ 5

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周二は瞬時に考えを巡らせた。一歩、外に出ると恐いものなしの周二だが、隼にだけは頭が上がらない。何しろ、幼稚園のころに一目ぼれして以来、一途にべた惚れなのだ。しかも、隼は見かけに反して中身は相当な漢で、女の子のように扱われるのを喜ばなかった。今は、休講中だが密かに通信空手を習って鍛えようとしたくらいだ。うっかりCMでも見た日には、ライザ○プに通って、二か月で違った身体を手に入れるとか言い出しかねない...

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パーティ 6 「最終話」……と、あとがき

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周二の父親の黒塗り外車に、隼が自転車で傷をつけたというのが「めのほよう」の始まりだったと、隼は話をした。その後、もう手に入らないと言う、高級なトラさんカーペットをちびって汚し、だめにしてしまったから、そっちの弁償もすることになったのだという。直はいたく同情しながら、話を聞いた。責められた隼は、父子家庭だからパパに心配かけたくない、自分でしでかしたことには自分で始末をつけるのが漢(おとこ)だからと、...

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