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Category: 愛犬志願 任務遂行  1/1

隼と周二 愛犬志願 1

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周二くんのおうちの、とらさんのカーペットが、クリーニング屋さんから返って来たの。うんと高い毛皮の敷物だったので、クリーニング代金は8万円だって。どうしよ……?車の修理費もまだ出来ていないのに、汚してしまった責任を取ってクリーニングの代金も借金として、ぼく沢木隼(さわきしゅん)は、背負うことになった。トラの毛皮の新品を買って弁償しろと、守役さんに言われたけど、高いのは無理だもん。正直、困ってる……周二く...

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隼と周二 愛犬志願 2

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トイレから戻ってきた周二くんは、大きな箱を抱えてちょっとうれしそうにしていた。「ほら、隼。好きなの選べ」「なあに?これ、犬の?」箱に入っていたのは、たくさんの首輪。何でこんなにあるんだろう?手錠は重くて、手首に痣が付くから動かしたくない。困っていたら、一つずつ取り上げて、周二くんがぼくの首に合うサイズを探して嵌め始めた。「重いよ……」幅の広い首輪は大きな鋲が打たれていて、肩にずんと重みがかかってつん...

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隼と周二 愛犬志願 3

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パパ沢木の冷酷な声が響く。「ずいぶん、楽しそうじゃね~か。俺も仲間に入れてくれよ……なぁ?」「ひぃっ。すんません!ホントすんません!」もう見慣れた、何度目かの土下座の風景だった。マル暴担当、沢木刑事が顔を出したとき、最愛の息子は隣の部屋で、真っ裸で手錠を嵌められ首輪をつけられていた。しかもご丁寧に、逃げられないように皮鎖でベッドの足と足首がつながれているという有様だった。「なんで、こういうことになっ...

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隼と周二 愛犬志願 4

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周二は、ふるふると肩を震わせて泣く、愛おしい恋人の頬に手を添えた。何があっても、どんなことが起ころうとも、俺はお前を愛するよ、隼。地球上の全ての生き物が、お前をなじっても俺だけはお前の味方でいると誓う、隼。「大丈夫か?隼」粗相をしてしまった可哀想な恋人は、頬を染めて羞恥に打ち震えていた。「えっ、え~ん、周二くん、ごめんねっ。汚しちゃった」周二は、自分の胸に縋るやわらかい丸い肩を、そっと引き寄せた。...

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隼と周二 任務遂行

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ぜってぇ、おかしい。周二はぎりぎりと、いきり立っていた。「坊ちゃん、そう苛々しないで落ち着いたらどうです?」守役が宥める。周二は嘆いた。「だってよ、木本。ちょっとおかしいと思わね~?いっつもいい感じになったところで、沢木が来るじゃん。ぜってぇ、おかしいって!」周二は勉強に関してはからっきしだが、こういうところ(だけは)妙に感は鋭かった。確かに木本自身も、余りにタイミングよく現れる沢木に多少の疑問は...

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