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Category: 赤べこ  1/1

番外編 赤べこ 1

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大津の父、双馬杏一郎の若かりし頃の話である。代々、国家老を務める双馬家に、7歳になる惣領を連れて登城せよとの沙汰が下った。「杏一郎。どうやら、殿はおまえに、若さまの遊び相手をさせるおつもりらしい。謹んでお受けせねばの。」「あい、父上。でも、若さまはお小さくて、まだご一緒には遊べないのでしょう?」「どうかな。わしはまだお目にかかったことはないが、お前と顔合わせだけでもさせておく心づもりなのであろうよ...

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番外編 赤べこ 2

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日々は瞬く間に過ぎてゆく。「急ぎ支度せよ、杏一郎。若君がお呼びじゃ。」真夜中、城中から使いの者が来て、急ぎ登城するようにとの沙汰が有った。「……何事です……こんな夜更けに。」「若さまが、泣いておられるそうじゃ。」「またですか……」12歳になった杏一郎は顔を歪めた。「もう赤子ではないのです。若さまも泣き疲れたら眠るでしょう。明日、藩校に行く前に登城いたしますから、お使者様にはそのようにお伝えください。」「...

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番外編 赤べこ 3

杏一郎は話をしながら、布団の中から鶴千代を引っ張り出し、しっとりと濡れた夜着を脱がせた。行李に入れてある着替えを取り出し、何事も無いように下穿きも素早く取り換えてしまう。手慣れた行為だった。「寒くはありませんか?」「……あい。」「ちょっとお待ちになってくださいね。」そっと触れてみても、たいして濡れていない。恐らく部屋の外が暗くて厠に行けず、我慢しきれずに失禁しただけなのだろう。僅かに濡れたふとんをひ...

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