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Category: 朔良―そのままの君でいい  1/1

朔良―そのままの君でいい 【作品概要】

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「朔良咲く」の続編になります。自分に自信がなくて、ずっと殻に閉じこもっていた朔良にも、やっと手を取ってくれる人ができました。自分の進路を見つけた朔良の周囲に居た、手を貸してくれる優しい人。伏線というか、種をまいてほったらかしにしていました。朔良がこのまま一人でいると可哀想だと、心配してくださった方ありがとうございます。幸せになれそうです。朔良は不器用だし、素直じゃないし、わがままだし、甘えん坊だし...

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朔良―そのままの君でいい 1

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朔良は主治医に勧められて、温水プールでの水中歩行訓練を行っていた。インストラクターを務める小橋は、主治医の友人だと紹介されていた。柔和な笑顔が印象的な小橋は、朔良を上手く操縦する。周囲は心配したが、人嫌いで飽きっぽい朔良にしては途中で投げ出すこともなく、根気よくリハビリを頑張っていた。「そうそう……、ゆっくりでいいからね。音楽に合わせて同じリズムで歩くんだ。」「足を上げなきゃ駄目だよ。楽をしてたら訓...

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朔良―そのままの君でいい 2

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朔良の主治医が先日、語っていたことを思い出す。小橋を休日に呼び出し、朔良の事を頼みたいと主治医は頭を下げた。「わざわざ呼び出してまで、患者の事を頼むなんて、先生にしちゃ珍しいですね。」それだけで特別な患者なのだろうと、感じていた。「君にリハビリしてほしい子は、僕がうんと小さなころから見てきた子なんだ。見たこともないくらい綺麗な子なんだよ。きっと君も驚くと思う。」「へぇ。それは楽しみだ。一体どんな子...

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朔良―そのままの君でいい 3

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理学療法士になると決めてから、朔良は主治医に連絡を取り、会いに出かけた。そこには島本が働いていたが、別段気にも留めていない。「先生。お久しぶりです。」「朔良君。元気そうだね。」「小橋先生が、連絡してくださっていると思うんですが……相談に乗って欲しいんです。」「ああ、進路のことだね。聞いているよ。資料を揃えておいたから、持って帰っておうちの方とも検討してみると良い。もう親御さんの了解は貰ったのかな?」...

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朔良―そのままの君でいい 4

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普段自分が接する二人とは、まるで印象が違う気がする。自室に招き入れて、たしなめる主治医の森本も笑顔だった。「あの……小橋先生……?」「驚いた?朔良君。君が来るって先生に教えてもらったんだ。君が進路を決めるのに、僕でも何かの役に立つかなって思って。」「……ありがとうございます。」朔良はいつもの如く、そっけなかった。小橋は、さっさと部屋の片隅からパイプ椅子を持って来て、朔良の傍に寄せると腰掛けた。にこにこと...

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朔良―そのままの君でいい 5

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立ちつくしたまま、朔良と主治医の顔を交互に見る小橋の姿に、朔良はとうとう吹きだしてしまった。「なんなんですか、もう……小橋先生、まるで草原のプレイリードッグみたいですよ。ああ、おかしい。」「小橋君……毎日会っていたのに、本当に何も言ってなかったのか?」「ええ。余りに毎日が楽しくて、うっかりしていました。僕にとって朔良君とのリハビリは、幸福な逢瀬のようでしたから。」主治医はあきれ顔だった。「ばか。そこに...

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朔良―そのままの君でいい 6

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小橋は驚いていた。この綺麗な青年には、何故ここまで自分に自信が無いのだろう。小橋は朔良の過去を知らなかった。じっと小橋は、朔良を見つめた。「そうか。では話してみようかな。……例えば……君の見た目はとても端整で優美だけど、僕が惹かれたのはそこじゃないんだ。」「え……。」口にはしないが、誰かが自分を認める場所は、そこ以外何もない気がする。朔良は動揺していた。「朔良君の中身は、相当の負けず嫌いで……頑固だと思う...

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朔良―そのままの君でいい 7

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胸を抱えて、朔良はその場にゆっくりと膝を付いた。パニック障害の発作が起きかけているのかと、小橋は疑った。「朔良君。苦しいなら、それ以上無理をしなくていい。だけどね、僕は何を聞いても驚かないよ。君が穢れていると言うのならそうなのかもしれない。君の言葉を簡単に否定したりしない。僕は朔良君の人生の全てを知っているわけではないからね。でも、それでも僕は君を欲しいと思う。君の心がどれだけ歪でも構わない。君が...

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朔良―そのままの君でいい 8

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朔良の中の氷が、小橋によって温められ解けだしたようだった。「朔良君……」腕の中にいる華奢な生き物を抱きしめた小橋は、僥倖に震えていた。朔良が求めていたものを、小橋は初めて理解した気がする。この青年はこれほどまでに、純粋に誰かに愛されたかったのだ。朔良の欲求と小橋の告白が奇跡のように合致した。小橋はそっと朔良の唇に触れた。柔らかな感触に互いの鼓動がはねる。合わさった桜色の二枚貝は薄く開き、ぎこちなく小...

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朔良―そのままの君でいい 9

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得物を手にした看護師たちの気色ばんだ様子に、思わず顔を見合わせた朔良と小橋だった。「何かあったんですか?」「何が有ったって?その部屋の中ですよ。森本先生の研究室です。」「は……?」「織田さん、大丈夫だったんですか?妙な大声が森本先生の部屋から聞こえて来たと、患者さんがナースステーションに血相変えて走って来たんです。だから、わたし達。ねぇ、看護師長?」「そうですよ。森本先生が顔色を変えて、織田さんが部...

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朔良―そのままの君でいい 10

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斜に構えた朔良が腕を組み、冷ややかな視線を向けた。「後先考えないで、力押しみたいなことやってるから、こうなるんだ。」小橋はがしがしと頭を掻いた。島本に対する朔良の冷たい態度は、先ほど自分の胸の中で泣いた人物と同じだとは思えない。「あの……朔良君。そこまで言うと気の毒というか……すまない、君。反射的につい投げてしまった。どこも傷めてはいないか?」「頑丈ですから、大丈夫ですよ、このくらい。それに、少しくら...

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朔良―そのままの君でいい 11

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輝く笑顔に、愁いは無かった。「行きましょうか、小橋先生。」「あ、うん。……その、ごめん、朔良君。……まさか、僕が叫んだのが原因で、こんなことになるなんて。」「僕もびっくりしましたよ。まさに、野獣の咆哮だったみたいですね。そういう馬鹿なところは、どこか、あそこで這いつくばっているガマガエルと似ている気がします。」「馬鹿な上に、ガマガエルって……ひどいなぁ。彼は朔良君には余り好かれてないのかな。」「ガマガエ...

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朔良―そのままの君でいい 12

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風が冷たくはないかと、小橋が聞いた。懐にすっぽりと包まれて、朔良は身体を預けていた。頬に当たる春風に、微かに甘い匂いを感じた。「不思議だ。朔良君と一緒にこの場所にいると、いつもの場所なのに何かロマンチックな気分になるね。浮かれているせいかな、いつもより空も青い気がする。」「ふふ……とてもいい眺めだから、ゆっくり見ていたいです。」「無理をしてこのマンションを買って良かった、と今すごく思ってるよ。僕はき...

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朔良―そのままの君でいい 13

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下から小橋を見上げると、つんと細い顔を向けた。「じゃ、帰ります。」「え~っ!?」小橋は慌てた。必死に告白して、ここまでやっと連れて来たのに、帰られたのでは苦労が無駄になる。「待って、朔良君。すまない。直ぐに開けるよ。ただ言い訳だけ先にさせてくれるかな。いつもはこうじゃないんだよ。僕はどちらかというときちんとしている方だと自分では思ってる……どうぞ。」重い鉄の扉が、やっと開いて朔良は足を踏み入れた。想...

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朔良―そのままの君でいい 14

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小橋の視線は、朔良の傷を埋めるように優しかった。人の手はこれほど温かかっただろうかと、小橋の指が背骨をなぞるように這うのを感じながら、ふと思う。口腔を蹂躙されても、嫌ではなかった。「はふっ……」「朔良君。シャワー浴びない?」朔良のシャツのボタンが、ゆっくりと外されてゆく。「僕はこのままで良いですけど……まさか旭日さん……臭いとか気になってます?」「怒るよ。」「ごめんなさい。」「いや、いい。……実は、気にな...

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朔良―そのままの君でいい 15

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旭日に感じて良いと言われても、朔良は戸惑っていた。快感に全てを明け渡せない理由が、朔良にはある。朔良は高校時代、陸上部の部室に連れ込まれ、散々に加虐を受けた。彼等は朔良が、全身を総毛立たせて震えているのを、面白がって口々に揶揄した。『嫌だと言いながら、感じているんだろう?朔良姫。』『なあ、口では抗っていながら、結構こいつ感じているんじゃないのか?』『見ろよ。女みたいな顔の癖に、ちんこを固くさせてや...

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朔良―そのままの君でいい 16 【最終話】追記、あとがき

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激しい鼓動が、静かな寝室の空気を振動させているようだ。時折り桜花の蜜を吸いに来た小鳥たちのさえずりさえ、耳に届く。朔良は小橋に愛されていた。ゆっくりと侵入してくる熱い高まりに怯えはしたが、そこには朔良を苦しめないように細心の注意を払う小橋の顔が有った。「大丈夫……旭日さん……来て、下さい。」頑なに侵入を拒む朔良の最奥を、小橋は何度も指でなぞり解れているか確かめた。指を締め付けたままの場所に、ゆっくりと...

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番外編 それからの朔良 【前編】

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朔良は彩を呼び出し、小橋を紹介することにした。いつまでも、恋人のできた彩を祝福できない狭量な弟ではいたくなかったし、旭日とも会ってもらいたかった。「あの……おにいちゃん、紹介します。こちら、リハビリの先生で小橋旭日さん。理学療法士の先生です。」「朔良が通っているプールの?初めまして。朔良がいつもお世話になっています。従兄弟の織田彩です。」「小橋です。」「家もすぐ近所なので、一つ違いの朔良とは、子供の...

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番外編 それからの朔良 【後編】

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いっそ付き合っているのは内緒にしてしまおうかと、マイナスな方向に話がまとまりかかった時、ドアホンが鳴った。話題の中心の帰宅だった。「あ、ママ。お帰りなさい。」「なあに、お客さまなの?」「初めまして。理学療法士の小橋旭日と言います。朔良君のリハビリを担当させていただきました。」「ああ、プールのリハビリの先生なのね。朔良がお世話になっております。この度は、進路についても色々相談しているみたいで、ご迷惑...

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お絵かき 朔良

久しぶりに絵を描こうと思い立ったのはいいのですが、なかなかうまくいきません。一応、朔良とおっさん小橋です。……がんばろう、このちん。(´・ω・`) やっぱり練習しなきゃ。こちらは、加工サイトでフレームを付けてみました。昨夜は何故かブログに画像が上手くアップできず、掲載を断念しました。ごめんなさい。(´・ω・`) なんでだろう~……先程確認しましたら上がるようになっていましたので、載せておきます。またね。(〃゚∇゚〃...

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お絵かき 朔良2

リクエストをいただいた、見つめ合う~♪おっさん小橋と朔良姫です。(〃゚∇゚〃) 新しいお話を考える前に、お絵かきに夢中になっちゃいかんよね。あれこれ楽しいです。髪の毛描くのがちょっとむつかしいのです。(`・ω・´)こちらは、縮小する前のもの。あっぷ~ ヾ(〃^∇^)ノお目汚し失礼しました。(〃゚∇゚〃)このちん、がんばって練習中~もっと、上手になりたいですけど、時間かけないと、難しいね。またね。         此花咲...

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