隼と周二 【眠りのラビリンス・後編】
「でもよ、隼。高校を卒業するまでは、ぱんつ脱がないってのが,,隼とくそ親父の決めた純愛じゃねぇのか?」
「それはもういいの!ぼくにも、我慢の限界があるんです~。」
「じゃ、取りあえず風呂に行かないとな。隼も一緒に入るか?俺、昨夜はそのまま寝ちまったから、洗ってねぇんだ。汚いのはいやだろ?」
「周二くんのなら洗って無くても平気。ぼく、周二くんの事大好きだから、喉の奥まで挿れてちゃんとしゃぶれるよ。」
「しゃぶれる……って隼。隼の口から聞いたらとんでもなくエロいな。今日はいつもと違うな。」
「大人の漢ですからっ。(`・ω・´)」
「じゃ、やってみろ。」
元々無いに等しい理性は、あっさりと崩壊する。
隼は頬を染めて跪くと、ほんの少し躊躇した後、周二の持ち物に自分からあ~んと口を付けた。
ちろちろと必死に拙く舌を這わせる隼の額に、うっすらと汗が浮かぶ。
深く呑み込んで、喉元からこみ上げる吐き気を我慢しながら、懸命に奉仕する隼を、愛おしく思う。
周二は思わず、自分の股間に隼の頭をぐっと押し付けた。
「出すぞ。零さずに全部飲めよ。そしたら、ちゃんと愛してやるから。」
「う……うん……っ」
周二の奔流が、押さえきれずにどっと溢れた。
何度も強くグラインドする腰にしがみつき、ごくりと何とか粘り気のある白濁を懸命に飲み込んで、その場に崩れた隼は肩で息をしながら口を開いて見せた。
「で……きたよ。周二くん……約束通り愛してね。ぼく、ずっとずっと、周二くんに愛されたかったんだよ……周二くんの野生のぞうさんを生で……ぼくのあそこに挿れてください……」
「おう。がんばったな、隼。」
「だって、ぼく周二くんのこと好きだから……」
佐々○希似の濡れた黒い瞳が黒曜石のようだった。
「積極的な隼……まじ可愛い。もっと早くこうすりゃよかったな。」
妄想の挙句、隼の丸い肩に顔をうずめた周二だった。
*****
「ん~、重っ……?」
被さって来た周二の身体の重さに目覚め、うっすらと目を開けた隼は、周二の頭を抱いた。
「周二くん……いい子。ゆっくり眠ってしまおうね。さあ、みっつ数えたら、周二くんはぼくと出会った頃に戻ってゆきます。うんと昔……12年前の秋です。」
「ん……?」
「1・2・3……はいっ。」
「う……?あれ……?なんだ?ここ……」
「周二くん?お昼寝中の木庭周二くんは、今何歳ですか?」
「何歳って、俺は年長さんだぞ。5歳に決まってんだろ?」
固く目をつむった周二は、隼の眠っていた寝台に転がっている。
「いいですか?目を開けたら、5歳の周二くんが大好きな人が目の前にいます。抱きしめて名前を呼んでください。できますか?」
「……ああ。」
「大好きな人に会えたら、周二くんはもう一度夢の中へ帰ります。いいですね。」
「わかった。」
「それではゆっくり目を開けてください。目の前にいる大好きな人は誰ですか?」
周二はじっと隼を見つめた。
「周二くん?ぼくが誰かわかりますか?」
問われた周二は双眸に溢れそうになった涙を、ぐいと拳で拭うと応えた。
「……母ちゃん……。」
目を見開いた隼は、ちらと松本の方へ視線を送った。
こくりと松本が頷く。
周二は隼の中に、とうに亡くなった母を見ていた。周二は隼の胸に顔を埋めた。
「周二くん、いい子。いつも傍に居ますからね……さあ、おやすみなさい。」
「うん、母ちゃん。俺が起きるまでそこにいて。」
「いいよ。ずっと手を繋いで居るからね……世界で一番大好きだよ、周二くん。安心して眠ってね。」
「母ちゃん。俺も母ちゃんが好き……母ちゃん……」
安心して眠りに落ちた周二は、どこかあどけない顔をしていた。
******
パパ沢木は腹を抱えて大爆笑していた。
「単純な奴だな、一発で落ちたのかよ。」
「パパ。そんなに笑っちゃ駄目です~。周二くんはぼくの声が好きなんだよ。ね~。」
「暗示に掛かりやすいタイプだろうとは思ってたけど、あっはははーーーー!!どこまで単純なんだよ、野獣!」
「……くそ親父~~!!」
苦虫を噛み潰した顔の周二には、一言もなかった。
松本に話を聞いて、あわよくば隼に催眠術を掛け、自分からねだって来るように仕向けるはずだった。
その前に浮かれた松本が、パパ沢木と話をしていたらしい。
「いいから、やってみろって。隼。面白そうだろ?」
「周二くんにそんなことして怒らない?」
「怒るわけないだろ?催眠術にかかっても、隼の名前を呼ぶかどうか確かめてみるだけだ。野獣がどれだけ隼の事を好きか、気になるだろ?」
「ん~、ちょっとだけ。」
そして、周二はあっさりと隼の声で暗示にかかり、大好きな人の名を呼んだ。
「母ちゃん」と。
「どいつもこいつもうるさいっ!世界中の男はみんな生まれつきマザコンなんだよっ!!」
ころころとどこかで虫が鳴く。
季節はすっかり秋だった。
前後編をお読みいただき、ありがとうございました。(〃゚∇゚〃)
いつも通り、何の進展もなかった二人なのでした。
( *`ω´)周二: くそ~……なんで、俺がこんな目に。
(〃゚∇゚〃)隼: 周二くんが大好きなのは、お母さんだったんだね。可愛かったよ、周二くん♡
(*つ▽`)っ)))パパ沢木:笑わせるなよ、野獣~
ヾ(。`Д´。)ノ周二:いい所なしじゃねぇか!くそ~~ぼけ、かす~!
( -ω-)y─┛~~~~パパ沢木:べつにいつものことだろ?
( *`ω´) 周二:あ~、むかつく~~!
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