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Category: 深い森の奥の魔導師  1/1

深い森の奥の魔導師 

BOX95さまへ魔導師の卵たちは、大騒ぎしていた。後、二か月で自分の使い魔を持てなければ、魔導師の資格をはく奪されるというのだ。「うそ・・・。もし、使い魔が手に入らなければ、どうなるの?」大魔導師オメガは厳かに告げた。「ここでの記憶をすべて消去して、人間として生きてゆくことになる。」既に使い魔を持った者は安堵し、いまだ一人のものは顔色を変えた。涙目で爪を噛む魔導師の卵は、自分の使い魔を持っていなか...

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深い森の奥の魔導師 ・2

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キュラは一人残してきた魔導師の卵、トモに起きた話を聞いてひどくがっかりした。使い魔ができないと、魔導師の卵は皆、記憶を抜かれて人間界に追放される。最後には、キュラ~、どうしようと涙目でしがみついてくるはずだった。そうしたら、優しく涙を吸ってやって、淫魔の手下を二人で呼ぼうと思っていた。激しく体をつないで、後ろ孔から溢れた精液を淫魔に供出する。そうやって、自分がエリンを手に入れたように。キュラの使い...

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深い森の奥の魔導師・3

淫魔が、忍び寄っていた。*********************一方その頃、トモは大魔導師オメガに呼ばれ、使い魔となった人型の竜を同道していた。魔導師の卵が使い魔を得た場合、報告の義務があった。「サラマンドラ「火喰い」の中でも、この子はとりわけ血統の良い竜だね。」「まだ、体が完成しきっていないうちは、無理はしないほうがいい。使い魔と身体をつなぐのは、君がもっと成長・・・どうしたね?」トモはふるふ...

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深い森の奥の魔導師・4 【R-18】

月明りの煌々と照る中、魔導師見習いのキュラは、自室の寝台の上でしどけなく体を開いていた。横たわるキュラの中心には、双球と若い茎に執着する使い魔のエリンが、座って屈みこんでいる。やがてキュラの両足を抱え上げると、膝立ちで最奥に何度も身体を打ち付け始めた。淫魔の手下エリンのセクスは執拗を極め、キュラの赤く熟れた秘部は息を吹きかけられただけで、じわりと表面がひきつり爛れたような気がする。「あ・・・ああっ...

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深い森の奥の魔導師・5

「魔導師を捕まえたぞ!とうとう俺が支配者だ!」**********************************本当のキュラは、淫魔に追い払われ、深い意識の底で膝を抱えて丸くなっていた。『助けて、トモ・・・トモ・・・』キュラの姿はそこにあったが、もう本当のキュラの言葉は誰にも届かない。深い意識の底から、淫魔に乗っ取られた自分を鏡を見るように、虚ろな瞳で眺めていた。月光を浴びて輝く肢体をグンと伸ば...

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深い森の奥の魔導師・6

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大魔導師の力が落ちてきている。それは、見習い魔導師達でさえ、薄々気が付いていた。魔界と人間界の、ちょうど中間にある魔導師の世界の境界が、脆くおぼろになっていた。*****************************トモは呼ばれて、大魔導師エルの元を訪ねてきていた。自分を選んでくれた、この竜がどういう種類の竜なのかそれすら知らないトモだった。大魔導師エルの前に深くぬかずいて、トモは言葉を待った。...

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深い森の奥の魔導師・7 【R-15】

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「綺麗な翡翠の色だ。ジェード(翡翠)・・・。」「俺の使い魔、俺の竜の名は・・・ジェード。」青い竜のたてがみが、歓喜に逆巻いた。************************青い竜の名前が決まったことを、トモは一番にキュラに伝えようと思っていた。新しい使い魔ができてから、使える魔法が違ってしまったから、キュラとはずっと会えなかった。みそっかすの自分に、いつも優しかった二つ年上の魔導師見習いのことを...

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深い森の奥の魔導師・8

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「まだ、足りぬ。」キュラの顔をした淫魔インキュバスが、扉の向こうのトモの気配に気が付いた。*************************トモが足を止めて、ふと高窓を見上げれば、魔導師の世界の空に二つの月が浮かぶ。大魔導師オメガとエルの名を持つ、双月の一つは少しずつ欠けて今や、弓張り月ほどの大きさになっている。この夜空から月が消える時、大魔導師エルの命も消える。誰もが胸を痛めたがそれは誰にも抗え...

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深い森の奥の魔導師・9

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インキュバスという名には、『押し倒すもの』という意味があるそうだ。****************************キュラは・・・トモを抑え込んだキュラは、まるで違う人になってしまったようだった。強い力で、トモを押さえつけたキュラは、まず髪の色が違っていた。色粉で染めずに赤褐色の短かった髪が、金色の長い髪に変わる不思議。それを問う間もなく、トモは押し倒されていた。腕を掴まれ、指が一本ずつ伸ば...

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深い森の奥の魔導師・10

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優しげなキュラの使う言葉を並べながら、キュラは手を伸ばしぐいとトモの双球を握りこんだ。*****************************「いや・・・キュラ、キュラっ、!放して!」『トモーーーーっ!早く逃げろ!俺が少しでも抑えている間に!早く!』「キュラ!ふざけた手出しは認めんぞ。俺は純潔のミルクを飲むんだ。うっとおしいやつめ、引っ込んでいろ!ぐわっ・・・」キュラが自分の手を自分の首に回した...

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深い森の奥の魔導師・11

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「泣いている暇などない。時間がないぞ。」大魔導師オメガが、涙にくれるトモの肩を抱いた。******************************大魔導師エルに、残された時間は少ない。大魔導師エルの使い魔カーディナルは、エルの勧めに従って、トモの使い魔ジェードの教育係となった。カーディナルは、何代もの大魔導師に仕えてきた古代竜だった。その英知は、賢者のように深くもっとも神に近い存在とまで言われてい...

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深い森の奥の魔導師・12

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「わたしの・・・エンシェントドラゴン・レッドカーディナル。」本当の名前を呼ばれて、赤い鱗が喜悦にぶるぶると鳴った。*********************************大魔導師オメガが、杯を持って床に臥す大魔導師エルの元を訪ねて来た。「エル。体調はどうだ?わたしのユニコーンもすごく心配している。」「・・・・すまないね。早く魔導師を育てなければならないのに。」オメガの持参した装飾の入った...

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深い森の奥の魔導師・13

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半分眠りに堕ちながら、キュラを思う魔導師の卵を、青い竜がそっと抱き寄せた。*************************「キュエー・・・」「ん。ジェード・・・」竜の先の割れた長い舌が、トモの顎をくすぐった。ジェードはトモの肌に触れ、心に触れた。浅い眠りに落ちる瞬間トモの唇がキュラ・・と、呼んだ。習わずとも、優秀な竜は生まれながらにして、人の心を読む。大魔導師になることよりも、トモが一番に考えて...

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深い森の奥の魔導師・14【R-18】

夜空を裂く閃光になって、赤い流星が駆けた。稲妻が星々に当たり、細かな火花が降り注ぐ・・・赤い星が墜ちた。**********************深い魔界の奥で、悪魔たちは歓喜の宴を催していた。憧憬を込めて遥かな天を見上げる者たちは、いよいよその時が来たと叫び、魔導師の精液と血を混ぜて発酵させた酒を酌み交わした。高らかに地獄の侯爵が叫ぶ。「忌々しい魔導師が失墜した今こそ、いよいよ我らが進軍する時...

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深い森の奥の魔導師・15

「いいざまだな、魔導師・・・」**************************キュラの頬に、優しい手が触れた。耳元に響く懷かしい声。ミルクを搾り取られ続けたキュラが、目を固く閉じたままいやいやと力なく頭を振る。「キュラ・・・おれと身体つなぐんだろ・・・?」その声にはっとしたように、ゆっくりとキュラが顔を向けた。キュラの大好きな亜麻色の髪が、ほらと言って大きく足を開き誘った。許されて、やっと腕を...

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深い森の奥の魔導師・16

尾の一振りで、天空の数多の星の三分の一も払い落としてしまうほどの、強大な力を持つ「黙示録の獣」となり、不穏に魔界が動き始めていた。*************************巨大な獣が地獄の底から這いあがってこないように、全身を楔(くさび)として大魔導師達は国を守る。力のある大魔導師は東西南北に置かれ、中でも東西の大きな二つの穴は結界が破られればおそらくそこが出入り口となる。「行くよ、ジェー...

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深い森の奥の魔導師・17

*****************************魔軍の編成は、かつて天界と戦って負けて以来、蹴落された力天使が担っていた。天界は堕天使達がかつて住んでいた、光に満ち溢れた清浄な場所。どれだけ焦がれても、二度とそこに駆け上がることは許されない。純白の羽を持つもの以外は、天国の門をくぐれない。邪なものがくぐろうとしたとき雷が矢となって降り注ぎ、その身は再生もかなわぬほど焼かれる。天界で一番神...

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深い森の奥の魔導師・18

瘧(おこり)でおきる高熱のように、疼く体を抱きしめてトトはよろよろと魔界への入り口に近づこうとしていた。******************************「危ないっ、トトっ!」どんと体当たりされて、トトの瞳に正気が戻る。「あ・・・トモ・・?俺、どうしたんだろう。頭の中でキュラが笑って、こっちに来いよ、トトって言ったんだ。だから・・・」ジェードの腕が延ばされて、トモに思念を伝えた。『まやか...

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深い森の奥の魔導師・19

≪Transfer it absent!(追いはらえ)≫トモが泣きながら放った大きな赤い炎が、キュラの姿をした淫魔を燃え上がらせた。*************************「キュラーーーー!!」トトが飛びつき、とっさに炎を払おうとした。「キュエーー!」≪Transfer it absent!(追いはらえ)≫ジェードとトモは立ちはだかると、なおも消滅の古代呪文を唱え続けた。『助けて、トト!トト!』淫魔の顔と、キュラの顔が入れ替わり...

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深い森の奥の魔導師・20

大魔導師オメガとユニコーンの護る結界は完璧に魔軍の進軍を阻止していた。聖なる白い一角獣の首を抱き、大魔導師オメガは魔界から噴き上がる熱風に曝され耐えている。豊かな髪が、天上に向かって逆巻いた。≪Servo is ex a taedium res!(忌まわしいものから護れ!)≫朗々と唱える大魔導師オメガの大地を冷やす青魔法が、風に乗って守るべき世界の上を渡ってゆく。魔界の内に溜められた力は奔流となり、地脈を搖がし、背中合わせ...

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深い森の奥の魔導師・21

天界へ戻る足がかりに、魔界獣は魔導師の世界を食らいつくそうとしている。「ヨハネの黙示録」に記された最期の戦いが近づいていた。*********************************初めに駆け上がってきたのは、地獄の番犬と言われる「ケルベロス」だった。獅子のような巨大な一つの身体に、三つの頭を持ち、それぞれが別々に思考する魔獣の姿に、魔導師の卵たちは震えた。寧猛な性格は、魔導師は皆知ってい...

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深い森の奥の魔導師・22

どれほどの火をジェードは呑みこんだろう。腹をぱんぱんに張らせて、竜のジェードは苦しそうだった。トモの励ましに何とか一つ二つ、火の塊を飲み込んだが、すでに限界だった。外から見ても腹の皮は薄くなり、トモは心配のあまり泣きそうになった。*******************トモは自分が赤魔法しか使えないのが、悔しくてたまらなかった。力のある大魔導師オメガのように、すべての魔法呪文が使えたら、この火の海に...

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深い森の奥の魔導師・23

魔導師の世界が崩れるのは、すべての世界の崩壊を意味していた。「行こう!ジェード!」*****************************魔導師達は、胴体から離れてもなおシュウシュウと恐ろしい水蒸気を上げ続ける、大きな岩を遠巻きに見ていた。石に刻まれる獣の数字「666」は、魔導師達を威嚇するように深く刻まれ、卵たちは顔色を無くしている。一人の魔導師が足元の花を一輪、吹き上げる瘴気にそっと掲げたと...

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深い森の奥の魔導師・24

翼の付け根で必死にキュラを思うトモの気持ちは痛いほどに判る。だが時は多くは残されていなかった。トモの願いを振り切って、ジェードは旋回を続けた。****************************大魔導師オメガの策はこうだった。魔界獣の好む、獣の血、脂、人の匂い、魔導師の香り、すべてを合わせて毛玉を作り、魔界獣の元に送る。彼らは人型になっているときは、狡猾で猛寧な別々の悪魔だったが魔界獣となって...

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深い森の奥の魔導師・25

急降下するジェードがカーディナルの放った古代呪文に包まれ、一閃の炎の矢となった。******************************真っ直ぐに黙示録のドラゴンめがけて、放たれた矢は標的に食い込むと、たちまち天をも焦がす巨大な火柱を噴き上げた。辺りは、昼間と見まごうほどの明るさに覆われてゆく。6本の火柱が意思を持ち、自分たちを滅ぼそうとした若い竜に襲いかかった。「うわーーーっ!!ジェードーー...

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深い森の奥の魔導師・26 【最終話】

カーディナルの手のひらにぽうっと点るエルの残した魔法を、トモは祈るような面持ちで、じっと見つめていた。ふわふわと柔かい光の玉が揺れながらジェードの上で留まると、ぱんと弾けて光の粒子が全身を包む。息を詰めて見守る中でエルの祈りは細かな粒子となり、踊るように静かに傷を修復し、やがて最後の光が消える時ジェードは古い肌を脱ぎ捨て新しい姿を手に入れた。***********************まるでさな...

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