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隼と周二 近づく嵐2 

そんな昼間の顔を脱ぎ捨てた放課後、樋渡蒼太は塾のない日、理性を脱ぎ捨て淫乱になる。
「んっ……ふ……ふうっ……」
木本は浅く息を吐く年下の恋人の汗ばんだ頬を、優しくなで上げた。
指を求めて追いすがる口には枷が入れられ、まるで蒸気を吹くやかんのような切ない声が漏れる。
木本を知るものは、おそらく別人だと思うくらいにその手は優しい。
拘束された四肢を、追い詰めるように撫でた。
「……あぁ……っ」
口許から、細く滴る胸元に流れる銀糸を追って、年上の恋人は歯型の付いた薄い胸を愛おしそうに撫で回した。

下ろせない腕は、吊るされたまま血が降りて白くなっていた。
「痛いの、好きだよなぁ。蒼太……」
ふるふると視線を捕らえて、懸命にそうではないと横に頭を振った。
目じりに溜まった涙が振られて落ちた。
好きなのは、こんな行為ではなくてあなたなのだと伝えたかったが、声は発せられない。
濡れた目だけが、必死に向けられていた。
「なぁ……ここに、たまたまの裏っ皮に孔開けてさ。俺の名前の入ったプレートぶら下げよっかぁ」
ささやかれただけで、ぶるりと震え、芯が熱く通って半分勃ち上がった蒼太を見やって木本が笑う。
「若いね~、高校生。お兄さんを誘うかい?」
低音の木本の声は、蒼太の脳に直接響くような気がする。
何も言われても抗えない気がするのは、一度全てを手酷く攫われてしまったせいだろうか。
指を絡められて、薄い筋肉の乗った腹が揺れた。

異質なものが内部でうごめくたび、小さくうめき声が漏れる。
「そろそろ、ねだってみるか?外して欲しい?」
返事の代わりに、一筋つっと唾液が零れた。
「か、はっ……」
やっと自由になった口は痺れて、まともな言葉にならなかった。
「こえ、やっだ……ずして」
ぐしゃぐしゃと汗と涙に浮いた蒼太の頭を掴んで、何言ってるかわかんないな~と木本は笑った。
最初が酷い抱き方だったと自覚があるので、今はまるで羽で触るように慎重だ。
振動する内部の異物に、内腿が震えていた。
「きもとさんのが、いいっ。木本さんが、いい」
木本と一緒にいる時の蒼太は淫らで隠微で、子どもっぽかった。
「聞こえね~な~。もう一回言ってみな。ここに、何を入れるって?」
「ふっ……あぁんっ……」
肩に歯形をつけられて固く縛められた全身を揺すって、愛をねだる若い恋人は、自分好みに身を震わせて耐え切れずに涙を零す。
身体の内部で震えるものの代わりに、木本自身を欲しい場所に入れて欲しくて、もどかしい思いで泣いていた。
「いい子で鳴きな。もっとくれって。可愛い蒼太」
「も、も……っと……ああぁぁ……」

異物の替わりに、蒼太の欲しがる優しい肉がぎちと埋め込まれた。
優しく頬を行き交う指に、唇を摺り寄せた。
「あ……あ。木本さ……ん。こ、れも愛?」
「ん~、たぶん愛だな」
「ほんとう?」
「きっと愛だ、蒼太。だから、これ以上激しいのは、おまえがもっと大人になったらな」
「木本さん、好きです。好き……大好き」
「蒼太」
ぐっと腰が入れられ、汗と唾液に濡れた蒼太の喉が喘いだ。

「すげ~、むかつく。どういうことだよ、これ」
見たくもない絡みを見せられて、煽られた精が行方を求めて、周二の内部で熱くたぎっていた。
「これ以上激しいのは、おまえがもっと大人になったらな、だってさ。順番、違うくね?」
周二はドアの向こうの木本に呆れていた。
散々人前で初物を散らしたくせに、今頃優しくするなんて、絶対おかしい。
気を失うほどイカされたのに、縋りつく生徒会長もおかしいと思う。
正直言うと、木本と生徒会長が上手くいくとは思っても見なかった。
木本のような本物のサディストに、素人が付いてゆけるとも思わなかった。

放課後、隼といちゃいちゃするのは楽しみだったが、側でこういちゃいちゃされてはたまらない。
欲求不満で、腹立たしいばかりだった。
周二は思いのたけを、いまだにぶちまけられないでいるのに、うっかり覗いた開店前の木本の店の二人と来たら、まるで盛りの付いた野良猫以下だ。
眺めているだけで、安物のAVよりも出来が良くて、二人をおかずに軽く抜いてしまった。
あぁ、空しい……くっすん。
さっきまで振動していた、転がったローターにスイッチを入れてみた。

「これ。あははって笑ってるみたいね、周二くん」
マジックで目鼻をかいた隼が、ローターを転がして笑った。
「周二くん、これね、もう一度ぶぶってしてみて」
スイッチを入れながら、「これをおまえの中に入れたいぞ、隼」と周二はつぶやいた。
イイトコロに届かないから、これはいや、周二くんのが欲しいのと、生徒会長みたいに俺にねだれ、隼。
「ちゃんと、奥にちょうだい。しゅう……じくん。ぼくのイイトコロに、届くように……奥まで入れてもっと強くして」
「隼」
「でも、痛くしないで……優しくしてね」
隼の幼い茎をそっと指でつまんで左右にふるふると揺すってみた。
なぁに?と、不思議そうな瞳を向けた。
「ぱお~?」
まだ色も付かない、剥けたばかりの隼の茎は、柔らかい子どものままだった。
長く時間をとめてしまった隼の幼い容(かたち)は、やっと少しだけ時を刻み始めたばかりだ。
詳しくは分からないが、今は薄々周二にもわかっている。
隼の幼い頃の、「虎馬」がそうさせているらしい。
「虎馬」……?
ちょっと待て、字が違うぞ、俺。
「隼」
「んっ?なぁに?」
「これ、口に入れていい?」
「うん。あ~ん?」
可愛い口を開けて、ローターをねだる。
「そっちじゃなくてさ、下の口」
「ぼくのお口は、一つしかないですっ」(`・ω・´)ぷんっ!
「くそぉ、駄目だ~、何を言っても可愛いぞ、隼」
「きゃあ」
手が届きそうで、いつまでも手に入れられない恋人が、腕の中で身を捩った。

その姿は、真っ裸(まっぱ)で手錠(最近、痛くないように革製品に変更)をかけられ、首には似合いの和布仕様の高級首輪が揃いのリードも付けられて嵌められている。
新しくなったとらさんのカーペットの上で、裸の子犬がピンクのローターを転がして遊んでいた。
背後からそっと膝の上に抱きすくめて、くすぐってやった。
「やぁんっ」
「俺さ~、我慢の限界が来て、もうすぐどか~んって爆発しちゃいそうよ、隼。頼むから、もっと急いで大人になれよ」
「もう、大人だもん」
「どか~~ん!!」
「きゃあっ」

周二の思いを他所に、何も知らない恋人は花のように微笑う。
今は、まだこの幸せが続くと思っていた。
明けない夜がないように、散らない花は無い。
幸せの後から別れは突然にやってくると、物語は決まっているのだ。
周二の慟哭の時が、そこまで近づいていた。



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