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隼と周二 ホワイトデーは「shifuto」へ行こう 3 

「shifuto」から帰宅し、周二の部屋で透明な青い箱を開けた隼は、固まっていた。

「これ……」

周二は隼が怖がらないように、満面の笑顔で隼の衣服をはぎ取ってゆく。
薄い筋肉しか乗っていない滑らかな身体が、つるりとした印象でそこに現れた。

「赤ん坊みたいな肌だな、隼」
「そんなことないよ。ほら、見て」

腕を曲げると、ぎゅっと力を入れて小さな力こぶを見せた。

「おお、頼もしいな、隼」
「周二くんは、お兄さんのぼくが守るから、安心してください」
「どうやって、鍛えたんだ」
「通信空手なの」
「通信って……そ、そっか。そんなのがあったのか」

周二は太腿をつねって、何とか吹き出すのを堪えた。
いろいろ間違っているが、そこも可愛いので仕方がない。
指で押さえれば簡単に形を変える柔らかい筋肉に、内心苦笑しながら周二は自分の鋼の上半身を晒した。
余分な脂肪のそぎ落とされた見事な体躯を眺め、自分と比べた隼が目を丸くする。
自分と比較して周二が逞しいのに、隼は少し不満げだ。

周二の思惑は、常に一つだった。
今日こそ、身体をつなぎ隼と一つになる。
行きつくところまで行って、隼を所有するつもりだった。
お邪魔虫のパパ沢木は、県境で起きた連続殺人事件の合同捜査会議に出かけて、今日は留守と確かめてあった。
顔には出さないが、周二のぱんつの中の下半身は、これからの甘い期待に張りつめていた。

「ほら…。隼、大人のキスをするぞ」
「んっ……ん……ふっ……」

隼の舌先が、口腔内で周二をつついては逃げてゆく。
顔を傾けて、深く差し入れると思うさま舌根に巻き付けて吸い上げた。
息ができなくて、酸素を求めて腕の中の金魚が強く喘いだ。
離れれば銀の橋が胸元にかかり、ぬらと煌めいた。

「はあっ……ふ……ぅ。周二く……ん。息、できな……ぃ。」

そっと胸の尖りに触れたら、小さく身じろいだ隼を膝の上に後ろ向きに抱き上げて、育ててゆく。
薄い小さな突起を揉みあげて、こねくり回しぷくりと立ち上がって来たのを、そっと覗きこんだ。

「隼のここ、すっげぇ赤くなってる」
「感じる?隼は俺のこと好き?」
「き……聞かないで……ぼくが、ぱんつ脱ぐのは周二くんの前だけだよ……」

感じてきたのか、呂律が妖しくなった隼の、熟れてふくらんで来た尖りを強く吸う。
膝の上でくるりと回して対面していた。
青いケースから取り上げたツインハートをそっと胸に装着した。
クリップに強く圧迫されて、隼はむず痒いような痛みに涙目になる。

「周二くん……、もう一個あるよ。こっち、周二くんのね」
「え?」
「ぼくも、伽耶さんのお店で、パパと一緒に買って来た~」
「げっ……お前、くそ親父とあんな店に行っちゃいかんだろ?どういう店かわかってんのか?」
「パパね、開店祝いのお花贈ったって言ってたよ」

周二の胸に、いやな予感がざわざわと浸食するように広がってゆく。

二本のツインハートを手に取ると、隼は自分の右の乳首につけた鎖の先のボディクリップを、周二の左の胸にそっと装着した。

「へっ……?」

もう一本を右の胸に挟むと、隼は胸を突き出して自分の胸にも付けて……とねだった。
二本の銀のチェーンの橋が緩くかかり、隼は悪戯っぽく笑う。

「これで、準備完了だね。」
「準備って……一応、聞くけど隼、お前これ何するつもりなの?」

意外だという風に、隼は小首をかしげた。
胸から薄い痛みが快感に変わって這い上ろうとしていた。

「ちくび相撲……?」
「はあ~~~?」
「パパがね。周二くんはきっとこれを買うだろうから、隼も買っておきなさいって言ったよ。引っ張りっこするのに、二本必要だからって」
「あんの、くそ親父~ヾ(。`Д´。)ノこれはそんなもんじゃねぇんだよ~!」

怒髪、天をついた周二が思わず立ち上がったら胸からポロリと、煌めくクリップが落ちて行った。

「つっ!」
「ぼくの、勝ち~。もう一回、する?」

「もう一回、する?」の意味が間違ってるぞ、隼。
それは愛し合った後に、俺がお前に言うセリフだ。
広がった後穴が、固く閉じないうちにもう一回挿れるぞ、隼と、言うはずだった。

脱力した周二の背後から、隼がもう一回敗者復活戦をしようと誘って來る。
俺のこの、がっくりと頭を下げた暴れん棒は、どこへ行けばいいんだ。
忌々しい隼の保護者の、勝ち誇った笑顔が浮かんで思わず拳を枕に叩きこんだ。




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