プリンス・マーメイドの涙 前編【R-18】
人魚の国がありました。
王家の末の人魚、プリンス・マーメイドは、豊かな金色の髪をなびかせて父王のもとにやってきました。
父王である海神に陸上に上がりたいと許しを戴きにきたのです。
「誕生日の夜に助けた王子さまに、もう一度会いたいのです。」
「何度来ても、その願いは聞けぬぞ。王子よ、人間のように不実な生き物は、海にはいないのだから、恋をするなら同じ人魚にしなさい。」
「でも・・・わたしは、もう一度だけあの方に逢いたい・・・のです。」
許しが貰えず、小さな人魚は身を捩り哀しみました。
プリンス・マーメイドは誕生日に浮かび上がって見上げた目映い船上にいた、王子の事を忘れられなかったのです。
あの嵐の夜に海に落ちた王子をすくい上げ、浜辺へと送ったのでした。
優しいとび色の髪の王子を忘れられず、プリンス・マーメイドは海の底から地上を見上げてばかりでした。
愛する末の弟人魚は、どれほど兄上たちが宥めても、いやいやと首を振りました。
今度ばかりは大きな赤貝の褥にくるまったまま涙にくれて、出て来ようとはしなかったのです。
ほろほろと泣く弟に、兄上たちは思案にくれました。
そろそろ、海月(くらげ)の繁殖時期が来ていました。
波間にたゆたう丸い海月(くらげ)は、人魚族の精子からできていました。
プリンス・マーメイドと呼ばれる可愛らしい弟人魚は、鱗の生えた両足の間に隠された兄上たちの秘密の双球を舌で転がすのがとても上手だったのです。
プリンス・マーメイドが懸命に這わせた舌は兄上たちを難なく放精させ、精子はゆらゆらと海面に浮かび上がりやがて、お月様を半分にしたような白い海月に変わりました。
小さな口と手で、懸命に奉仕する弟人魚を、兄たちはとても愛していたのです。
「あれほど悲しむ姿を、見てはいられない。」
「海神に内緒で、一度だけ陸に行かせてやろう。」
海の底の魔魚に会いに出かけた兄上たちはプリンス・マーメイドの願いを告げました。
けれども海の底の魔魚の交換条件は、とても厳しいものだったのです。
「人間の男の子の足をあげる代わりに、お前のその綺麗な長い髪と、可愛らしい声をもらうよ。いいのかい?」
「それでも、かまいません。どうかぼくに、人間の足を下さい。」
「人間の足の間に出来る、小さな鰭(ひれ)にお前は泣かされるだろうよ。それでもいいのかい?」
「人魚には隠されて見えない鱗(うろこ)の無い突起が、お前を酷く苦しめるだろう。」
「その上、地上を歩くたびにガラスが立ちこむように、足は痛むだろう。」
「鰭(ひれ)に泣かされても、どんなに足が痛くても、耐えて見せます。」
プリンス・マーメイドはそれでも行きたいと、懸命に、魔魚に願いを伝えました。
しかし、陸にあがったプリンス・マーメイドは滑らかな両足を貰ったものの魔魚の預言通り、毎夜、心の痛みに泣くことになるのです。
やっと出会えた王子は、プリンス・マーメイドと分からずとも愛してくれましたが、どれほど身を捩っても、王子の愛撫に可愛らしく甘える人魚の声は、もう二度と出せなくなっていました。
煌めく美しい髪も失って、言葉の不自由なみすぼらしい少年として、お傍に置いてくださったようでした。
哀しいことは続きます。
声の出せないプリンス・マーメイドはお城の衛兵たちに夜ごと、詰所に引き込まれ開かれる凌辱を受けたのです。
どれほど抗っても、数人がかりで抑え込まれるとプリンス・マーメイドには、どうしようもなくどれほど辛くても心に反し人間の印のように、前についた腹の突起は虚しく立ち上がってしまうのでした。
「嫌がっていても、体は正直だな。」
「王子も、この得体の知れない淫乱な身体に、夢中というわけだ。」
「王子に告げ口するわけにもいくまい。さあ、足を開け。」
笑いながら衛兵たちは、滑らかな人魚の腹に、海ならば海月になるはずの精子をかけました。
海月になれずに消えてゆく可哀想な白い液体を掬い、頬を寄せ愛おしそうにする小さな人魚を天性の淫夫、好きものと兵士たちはののしりました。
それほど好きなら呑ませてやろうと、プリンス・マーメイドは衛兵たちに口腔を汚され、嚥下するまで放してもらえませんでした。
それでもどこもかも白く汚されても、プリンス・マーメイドは清らかに見えました。
魚の足を持っていた時には、体の内側に隠されて決して表には出なかった人魚の生殖器が、今は晒されてプリンス・マーメイドを苦しめています。
泣きながら苦しみながら、プリンス・マーメイドは与えられる苦しみに耐えていました。
全て、人間の王子に恋をした自分の罪過だと諦めていました。
それでも、ただお傍近くに居られることが嬉しかったのです。
立ち上がったプリンス・マーメイドの腹びれに、衛兵たちは細い紐を掛け、奉仕させるために代わる代わる引っ張りました。
引かれた兵士の前に跪くと、兄上たちとは違って鱗の無い醜悪な双球が愛撫を待っていました。
兄上たちの宝珠のような薄い鱗でおおわれた美しいものと違い、双球を満足させれば次は腹びれに舌を這わせろと、夜が白むまで男たちは烈しく弟人魚を苛み続けました。
金糸雀の「第一部」が終わったので、息抜きです。
(*ノ▽ノ)きゃあ~、アンデルセンにごめんなさい。
此花いじめっ子疑惑、ふたたびかも・・・(*⌒▽⌒*)♪
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