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隼と周二 愛犬志願 4 

周二は、ふるふると肩を震わせて泣く、愛おしい恋人の頬に手を添えた。
何があっても、どんなことが起ころうとも、俺はお前を愛するよ、隼。
地球上の全ての生き物が、お前をなじっても俺だけはお前の味方でいると誓う、隼。
「大丈夫か?隼」
粗相をしてしまった可哀想な恋人は、頬を染めて羞恥に打ち震えていた。
「えっ、え~ん、周二くん、ごめんねっ。汚しちゃった」
周二は、自分の胸に縋るやわらかい丸い肩を、そっと引き寄せた。
「いいんだ。気にするな」

「4代目、汚して悪かったな」(別に思ってないけど、一応ね。沢木心の声)
「いえ、沢木さん。側に俺が付いていながら、こんな可哀想な目に遭わせちまって。ぐしっ。俺がバスタオル一枚、かけてやればよかったんだっ」
「周二くん……」
周二は、泣き濡れる隼をかき抱き、自分を責めていた。

先日、クリーニングから帰って来たばかりの、とらさんのカーペットは再び悲惨なことになっている。
絶滅危惧種の貴重な毛皮の上に転がっているのは、4人家族で仲良く一個のプリンを食べるというコンセプトの元、発売された大容量の「男のプリン」の空き容器だった。
沢木が呆れて、さすがにおでこをつついた。
「どう考えたって、食いすぎだろ?」
「だって。プリン好きだもん」
元々、鶏卵と牛乳に軽いアレルギーのある隼は、両方一度に摂取するとお腹を下すことが多かった。
しかも冷気が直接あたる場所に、転がっていたから堪らない。
湯船に湯を張りながら、なにやらうきうきして松本が独り呟く。
「ねんね、可哀想に。また、借金増えちまったなあ」

向こうの方では、これはもうクリーニングに出しても駄目だなと、木本が言うのが聞こえた。
「モノホンの上物だから、もう出物はないでしょうし、闇で買うのも面倒ですね」
「とらさんのカーペット、洗ってももう使えない?」
「ああ、二度目だからな。洗えないことはないだろうが、風合いが落ちる。客間には使えねぇな」
くすんと涙ぐんだ隼が、腕の中で周二を見上げた。
「周二くん、どうしよ?ぼく、もうおちんちんを「売る」しかないのかも」(´・ω・`)しょんぼり←隼
「隼、あぁ、とうとう、俺のモノになる日が?」

周二の瞳は輝いた。
虎の毛皮の替わりに、ここでもう俺の下敷きになれ、隼。
うっかりとさりげなく、両足を肩に乗せあげて後孔にそうっと俺を突っ込んでやるから。
細いバイブの先がゆれるたび、しっぽで俺を誘って見せろ、隼。
前のしっぽにも、細い尿道バイブ突き刺してやるよ。むずがゆい痛みに、身悶えしろ。
野生の獣のように性器を愛咬みして、青い月に向かって声が枯れるほど叫ばせてやる。
シートン動物記の狼王ロボのように、おまえだけを永遠に死が分かつまで愛すると誓う。

隼の裸の真白い胸にほのかに揺れる薄紅色の尖りに、周二は唇を寄せた。
「ああ、俺のビアンカ(狼王ロボの嫁の名)」
「ぼくはビアンカじゃないよ?」
愛するものを奪われて、狼王ロボは呻いた。
胸に風穴が空いたように、体温がうばわれる。
腕の中の愛おしい存在は、ロボが唯一歯が立たない人間(沢木)に奪われたのだ。

「ほら、野獣とじゃれてねぇで、さっさと身体流しにいくぞ、隼」
「パパ。パパが汚れちゃう、降ろして?」
「ばかだなあ、隼はションベンちびったって、クソにまみれたって可愛いんだよ」
「やぁん、パパ」
「柔軟剤が足りてないけど、ここの粗末なバスタオルで我慢しような」
「うん」

微笑ましい、父子の会話は続く。

「風呂も、くそ狭いけど、我慢して入ろうな、隼」
「狭いと、隼のおしりにパパのおちんちんあたっちゃうから、や~ん」
「そんなこと言いながら、こいつぅ、つんつんさわるくせに~」
「だって、くすぐったいんだもん。あひるさん、持ってくればよかったなぁ」
「シャンプーハットなくても、頭洗うの平気か?」
「パパったら。ぼくはもう大人だよ。いつまでもシャンプーハットには頼りません」
「成長したなぁ」

あははは……

いちゃいちゃしながら、風呂に消えてゆく沢木親子を見つめながら、絶対いつかその位置を奪ってやると目をぎらつかせる周二だった。



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