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隼と周二 学園の狂騒 2 

「ぼく、本気で怒りますよ?」
くすと笑った生徒会長は、『ドッキリ大成功!』と書かれたプラカードを出した。
「まず、沢木には成功だね。しっかり撮った?英画愛好会」
「完璧です、会長。これで来年のわが部の予算は決定ですよね」
「善処しよう。さて、問題は木庭周二だな。あの野獣が劇に出ると言う方にぼくは、かけたんだけど」
隼は丸い目を、もっと丸く見開いて驚いていた。
どうやらエッチな劇の脚本を、堅物(そう、思われているらしい)沢木隼がどこまで真面目に読みきるかと言う、ドッキリを仕掛けられていたらしい。
素直な隼は、あっさり騙されて完熟トマトのように顔を赤くして、必死で口ごもりながら朗読した。

朗読したテープは、CD-Rに焼いて校内で販売するつもりだった。
今や白日の下に晒された、少年人形の顔での本人の手売り、握手付きともなれば勿論、収益は約束されたも同然だ。
この幼い書記を丸め込む自信はあった。
潤沢な生徒会運営資金を捻出するために、密かに裏で販売しようと企んでいる生徒会長だった。
「思ったより、いい出来だった。ここまで君ががんばるとはね。すぐに泣き出すんじゃないかと思ったが。いい子だ、沢木」
「こう見えても、ぼく。大人の漢(おとこ)ですから」 (`・ω・´)きりっ!←隼。

さて、もう1つのドッキリは多少危険を伴った。
学校での周二は、一般生徒と殆ど関わらない無頼の立位置をとっている。
それはずっと以前から、変わらなかった。
姿容は、モデルをするほど見目良いので、隠れた人気は有ったが、何しろ周二は学校の級友に余りにそっけなかった。
だからこそ、成功したらおもしろいだろうと思った。
しかし、もし機嫌を損ねたら、仕掛けたほうは前歯の一本や二本は覚悟しなければならないだろうと思うほど、リスクは大きい。
そこは、生徒会長、樋渡蒼太にも痛いほどわかっている。
そこで多少姑息だが、彼の秘密の可愛い恋人を使うことにした。
「いい?沢木。これはドッキリだけど、木庭周二が本当に、君の事を好きかどうか確かめるために行うんだからね」
「周二くんに嘘をつくのは嫌です」
「とんでもない。君への愛を確認するためにやるんだよ」
「周二くんの愛を、確認。ん~、愛を、確認……」
思いつめた顔で繰り返し、とうとう隼は話をしてみるとうなずいた。
誰がどう考えても、文化祭をガキの祭りと思っている生徒会主催の劇に、周二が出るとは思えない。
ここは秘密の恋人、沢木隼の腕一つにかかっていた。
「ただでとは言わない。成功報酬は、全校生徒憧れの、学食のラブ・シート一年間使用権利だ」
「ラブ・シートっ!ほんとっ!?」
思わず口許を押さえた隼の頬に、さっと朱が走る。

学生食堂の一番良い席、テラスの風の入るその席は、成績の良いもの、スポーツなどで何らの結果を残し、表彰を受けたものに限って使用を許される特別席だ。
ソフトドリンク飲み放題の上、校内に流れるBGMも選ぶ権利を与えられる。
公認された恋人達だけが、男女問わずその憧れの長椅子を使うことができた。
そして、ダブルサイズの特別仕様の定食を仲良くつついて食すことができる。
オムライスにすら、食堂のおばちゃんのサービスで、ケチャップで大きなハートがかかれるという徹底っぷりだった。
うっとり。
「周二くんと、がっこでも一緒」
すっかり二人で並んで食事をする風景を想像して、嬉しくなってしまった隼だった。
録音する小さな器械と生徒会長のえろ台本をポケットに入れて、隼は放課後「めのほよう」に向かった。
周二は、素直に劇に出るというだろうか。

「周二くんと、ラブ・シート」
隼は、気合を入れて、きゅと口を引き結んだ。
「がんばる!」(`・ω・´)きりっ!←隼。

真っ裸に皮の手錠、首には「うちの愛犬日本一」の高級西陣織の首輪を嵌めて、隼は放課後「めのほよう」と言う名の借金返済中だった。
いつものように、手馴れた様子で松本が制服を脱がせてゆく。
たまにさわさわと、くすぐられるようにあちこち撫でられた。
周二の部屋で、転がっているだけの「めのほよう」なのに、考えてみるとこれまで事件は結構有った。
隼が高級トラさんカーペットに、う〇ちを粗相したり、ちびったり。(そんなのばっかりだけど)
すっかり当たり前のように、隼は周二の腕の中にいる。
最初の頃は、こんなに仲良くなれるとは思ってもみなかった。
「これがね、今度の劇の台本なの。読んでみるね、周二くん」
「おう」
周二は鼻先を隼の肩口に押し付けて、話すたびに震えるのを楽しんでいた。
「むかし、むかし、ある国に、桃雪姫と言うたいそう可愛らしい「男のお姫さま」が住んでいました」
「白雪姫じゃね?パクリ?」
「周二くん。ぼくね、もしかするとこの役、文化祭でするかもしれないの」
「ふぅん。白雪姫なんて、隼にすごく似合いそうだな」
「会長の書いたのは、桃雪姫なの。ちょっと読むね」

以下、(`・ω・´)←隼の朗読。

むかし、むかし。
桃雪姫のお母さまが亡くなって、嘆き悲しむ桃雪姫のために父王さまは新しい「男のお后さま」をお迎えすることに決めました。
氷のように冷たい美貌のお后さまは、鏡の精の宿る不思議な鏡を持っています。
「氷の后よ。そなたは美しい。だが今はそなたの義理の息子、桃雪姫が世界で一番美しい。」
「桃雪姫ですって?」
「そうだ桃雪姫。かの男の姫の肌は白桃のように白く、白桃のように甘く匂う」
氷のお后さまは、鏡の精をにらみつけましたが、返事は変わりませんでした。
王さまが国境付近の警備にお出かけの間に、自尊心の傷ついた氷のお后さまは家来に言いつけて桃雪姫を森で殺してくるように言いつけました。
「桃雪姫。いいこと、スグリのパイをこしらえるのよ。そなたはこの従者と共に、森でスグリを取っていらっしゃい」
「はい、おかあさま。桃雪姫、行ってまいります」
従者は森で、桃雪姫に言いました。
「可哀想だが、桃雪姫。そなたには、ここで死んでもらう」
「えっ。何故……?ぼく、殺されるような悪いこと、何もしていません」
「氷のお后さまは、自分よりも綺麗なあんたが許せないのだそうだよ」
「そんな……」
その場に泣き崩れる桃雪姫は、とてもか細く見えました。
両手を組んで、膝立ちで命乞いする可哀想な可愛らしい小さな桃雪姫に、従者は心をぐらりと奪われています。
「桃雪姫」
「あっん」
手を取ると、従者は桃雪姫の身体をそっと草むらに寝かせました。
リボンを解き、従者はそっとタフタの長いスカートを捲り上げました。
長い下穿きをそっと降ろすと、桃雪姫の薄い桃色のぴんくのゾウさんが恥ずかしそうに震えます。
「いや、さわらないで」
「どうせ、氷のお后さまに殺されるのなら、思いを遂げたい。桃雪姫。ここに寝て。ぱっくり広げて俺を迎えて。」
「ぱっくりは、いやですっ」



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