BL観潮楼様・夏の企画「狂った夏」・任務遂行(後編)
BL観潮楼様・夏の企画「夏―心を焦がす恋―」
「狂った夏」任務遂行(後編)
「やっぱ、ブルーレイっすよね。」
「おうっ!肌の質感が違うからなっ。保存用だしなっ!」
「出来ればいっそ、3Dにしてぇくらいだがなっ!」
「テレビ大型に買い替えしといて、正解だなっ!」
「さすが、周二坊ちゃんです。よっ、4代目っ!男殺しっ!」
「バカ野郎っ、女はともかく男は隼独りだぜ。」
二人は嬉々として、キングサイズのベッドサイドに三点、ビデオをセットした。
抗った隼が、掻いた足で蹴っても届かないように。
喘いだ顔が、アップで撮れるように。
勿論一台は、手撮りで。
想像だけで、各自トイレで2回ずつ手コキした。
虚しい行為だったが、後を思えばなんでもなかった。
「周二坊ちゃん、こんなものが・・・。」
ベッド脇のサイドボードの引き出しから、古臭いディスクが出てきたのだという。
「懐かしいっすね。木本の兄貴の伝説のビデオです、これ。」
「見ますか?周二坊ちゃんも。俺、まだ見たことなかったんっすよね、噂には聞いてたけど。」
「ん~、まだ時間あるしな。」
過去には綺麗なお姉さんを騙して輪姦した後、逃げないように脅す材料として、ムービーを回すことはよく在った。
それも立派ないけない事なのだが、守役の木本は何だかんだといって女の扱いには長けていた。
今も、片手に余るくらいの女を連れて、多額の金を貢がせていたが過去には相当名を馳せたらしい。
どれほど凄腕かと言うと、多くの女を騙したが、一度も警察沙汰になったためしがない事からもわかるだろう。
それは、木庭組直営ホストクラブの新人が、必ずお世話になるという「実践・木本」と言う伝説のマニュアル・ムービーだった。
今やちょっとしたプレミアが付いて、出回っているものはダビングにダビングを重ねた質の悪いDVDだった。
その内容はといえば・・・。
騙した挙句連れてこられた女の、初花を手ひどく散らした後、泣くのは女ではなく木本の方だった、という所から始まる。
「こんなやり方でしか・・・俺は愛せないんだ・・・すまん・・・」
「俺の側にいたら、お前が不幸になると思うのに、手放せないんだ・・・〇〇・・・」
注:〇〇には、あなたが騙した女の名前を入れましょうと、字幕
「真人(まこと)さん。」
注:ホスト当時の木本の源氏名ですと、字幕
「本当の誠(まこと)なんて、どこにもありはしないんだ。(苦しそうに)だけど、もしほんの少しでも俺の中に信実(まこと)ってヤツがあるなら、それはお前に向けた気持だけだ。」
注:できるだけ子どものように、無防備に泣きましょうと、字幕
二股がばれた時の言い訳もすごい。
見事なまでの金の無心、キャバ嬢にヘルスへの店変えのお願い、これでもかというほど清々しい顔の木本の鬼畜っぷりが伝わる。
綺麗な男は、さすがに自分の武器を良く知っていると、思わず二人は感心した。
「やるなぁ。」
「まじ、勉強になりますねぇ。」
「特に、浮気がばれた時のは参考になるな。メモっとこ。」
周二はうっかり画面に見入っていて、隼を呼び出したのを忘れていた。
少しでも肌の当たりがやわらかくなるように、麻縄を台所でエプロンかけてことこと煮込んだのに。
下手に縄が伸びると、血管を余計に圧迫するから、素人は綿ロープか麻で短時間勝負というのは、専門家から聞いた。
その後、ダイロンで紅く着色したのは、真白い隼の肌に咲いて映えるのは、やはり紅い華だろうと思ったからだ。
通販で「縄大全」を買って、真夜中密かにばかでかいキューピーを抱え、亀甲と菊花の縛りの練習をした。
「あっん・・・いたく、しないで・・・ね。」
キューピ-の目が潤んだ。
「任せろ。お前は感じていればいい。」
ついでに一応、もののはずみで必要になるかもしれないから、低温ろうそくも準備した。
用途が違っても大丈夫なように、サイズも周到にそろえた・・・
「もうすぐ来るかな。」
大張り切りで、隣の部屋に飲み物を取りに行ったら、置手紙が在った。
『周二くんは、何やらお勉強で忙しそうです。
寂しいけれど、ぼくはおうちに帰ります。またね、隼。』
「うっそぉ~、隼!?またねって~!?」
「俺はお前の、おまたに重要なミッションがあるんだよ~~っ!」
ちょうどその時、テレビで、バスケットアニメの再放送が流れ始めた。
主人公のチームメイトが、暗闇から光に向かって腕を伸ばしていた。
何も失ってなどいないのだと、優しい声で包み込むように告げるのはチームの監督だ。
「あきらめたらそこで試合終了ですよ。」
「安西先生・・・バスケがしたいです・・・」
安西先生・・・隼とえっちがしたいです・・・そう、呟いた。
どこまでも切ない周二だった。
参加中です。
短編小説です。
作者のテクがないのが響いて、余りにも周二くんが可哀想な結末に・・・。
真夜中、縄掛けの練習する所など、想像してちょっと笑ってしまいました。いじめっこ。
さすがにちょっと、可哀想になってしまいました。
もうちょっとだったのにね~・・・此花
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●こちらのpioさまの鼻血ぷぷっの美麗絵は、BL観潮楼様、夏企画「お題絵」ですので、それ以外の目的の持ち出し使用はお控えください。
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