小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・50
ぼくが内心、どきどきしているのを洸兄ちゃんは知っていただろうか。
「みぃ。このお兄ちゃん達が仲良くしたいって言ってるんだけど。お話できるかなぁ?」
ぼくは、洸兄ちゃんに向かって無言でいやだというように、ゆっくり横に首を振った。
他所のお兄ちゃん達にできるお話なんて何もないし、それにきっと話をすれば、ぼくが男の子だってすぐに分かるはず。
絶対に、無理だって。
「みぃちゃんって言うんだ。せめて本名だけでも教えてよ。」
ぼくは、洸兄ちゃんの服の裾を掴んで、何も言えずにうつむいたまま黙りこくっていた。
これ以上その場にいるのが、ぼくにはいたたまれなかった。
本名を言ってどうするの?
男の子だとわかったら、どうするの?
「悪いな。みぃは、特別恥ずかしがりやさんだから、これ以上は無理みたいだ。」
「本当は、ここへだって来たくないって言ったけど、何とか連れてきたんだから、約束は終了な。」
「悪いな。」
三人の高校生の視線に晒されて、何もいえないぼくの目から涙が零れそうになっていた。
もう気持が限界って時に、打ち合わせどおりに朱里兄ちゃんが現れた。
「兄貴、待った?」
朱里兄ちゃんは、わざとらしくぼくの頭をぽんぽんと叩いた。
「みぃちゃん。お待たせ。」
朱里兄ちゃんの彼女は、元々綺麗な人だったけど、フルメイクするとまるで本物のモデルのような美人さんだった。
スタイルの良さに思わず、その場の男の子達の関心が移り、ほぉと感嘆のため息をついた。
「すっげぇ・・・グラマラス!」
「おお~。無敵の松原兄弟は、こっちもすごいな。」
朱里兄ちゃんの彼女さんは、リボンの形にラインストーンを散りばめたショキングピンクのサマーニットで、身体のラインがくっきりしたのをわざわざ選んだということだった。
胸、おっきぃんだ・・・びっくり。
もしかすると、里奈ちゃんのおっぱいよりもおっきいかも。
超ミニの黒レザーのスカートに上着もレザー、編みこみのサマーブーツの短めを履いて、網タイツは、すごくカッコイイ・・・
「弟はロック系で、兄貴はロリータ系かよ・・・」
洸兄ちゃんのお友達が、脱力したように呟いた。
「どっちも、うらやまし~ぜ・・・」
「可愛いみぃが大きくなるまで、お兄ちゃんは待つって約束したのさ。」
「な?みぃ。お兄ちゃんは優しいよな?」
「うん。」
洸兄ちゃんは、にこにこ笑ってぼくを膝の上に抱き上げた。
「くそ~・・・、松原兄弟だけが何故もてる。」
「みぃちゃん、こいつのこと、本当に好きなの?」
口々に問う、お友達はぼくのこと、本当に女の子だと思っているみたいだった。
「みぃ、お兄ちゃんのこと、大好き。」
嘘じゃないけど、答えたら顔が何だか急に火照ったように、すごく熱くなった。
終始、洸兄ちゃんはご機嫌で、朱里兄ちゃんも自慢の彼女をお披露目できて、嬉しそうだった。
そう言いながら、受験間近の高校生は、すぐに勉強の話になる。
受験生に青春はないのだと、洸兄ちゃんのお友達がこれが現実だと言っていた。
「そういえば、松原は今日の塾の補習はどうする?」
「ああ、模試の対策はもう済ませたから、今日は休むわ。」
「たまにはお姫さまと、デートしなきゃね。お兄ちゃんは心配なんだ、みぃはこんなに可愛いから。」
お友達は、冗談めかしてぼくに向かって、こいつに飽きたら浮気相手になるから、いつでも声かけてと言ってきた。
「冗談抜きでさ、こんなに可愛いと、さすがの松原も心配だろうな。」
「同じ学校ってわけにはいかないから、心配だよな?」
「そうなんだ。みぃが心配で受験勉強も手に付かないから、困ってる。」
「それは、俺等に嫌味か?」
洸兄ちゃんは、希望の大学を余裕のA判定だそうだ。
そこを散々に突っ込まれて、大勢で笑って盛り上がった。
可愛い格好をさせてもらったみぃくんは、ほんの少し幸せな気持でした。みぃくんを応援してくださってありがとうございます。とてもうれしいです。 拍手もポチもありがとうございます。拍手を頂いたお礼にみぃくん描きました。時間ばかりかかって駄目ですけど、みぃくんはいい子です、これからもよろしくお願いします。 此花
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「みぃ。このお兄ちゃん達が仲良くしたいって言ってるんだけど。お話できるかなぁ?」
ぼくは、洸兄ちゃんに向かって無言でいやだというように、ゆっくり横に首を振った。
他所のお兄ちゃん達にできるお話なんて何もないし、それにきっと話をすれば、ぼくが男の子だってすぐに分かるはず。
絶対に、無理だって。
「みぃちゃんって言うんだ。せめて本名だけでも教えてよ。」
ぼくは、洸兄ちゃんの服の裾を掴んで、何も言えずにうつむいたまま黙りこくっていた。
これ以上その場にいるのが、ぼくにはいたたまれなかった。
本名を言ってどうするの?
男の子だとわかったら、どうするの?
「悪いな。みぃは、特別恥ずかしがりやさんだから、これ以上は無理みたいだ。」
「本当は、ここへだって来たくないって言ったけど、何とか連れてきたんだから、約束は終了な。」
「悪いな。」
三人の高校生の視線に晒されて、何もいえないぼくの目から涙が零れそうになっていた。
もう気持が限界って時に、打ち合わせどおりに朱里兄ちゃんが現れた。
「兄貴、待った?」
朱里兄ちゃんは、わざとらしくぼくの頭をぽんぽんと叩いた。
「みぃちゃん。お待たせ。」
朱里兄ちゃんの彼女は、元々綺麗な人だったけど、フルメイクするとまるで本物のモデルのような美人さんだった。
スタイルの良さに思わず、その場の男の子達の関心が移り、ほぉと感嘆のため息をついた。
「すっげぇ・・・グラマラス!」
「おお~。無敵の松原兄弟は、こっちもすごいな。」
朱里兄ちゃんの彼女さんは、リボンの形にラインストーンを散りばめたショキングピンクのサマーニットで、身体のラインがくっきりしたのをわざわざ選んだということだった。
胸、おっきぃんだ・・・びっくり。
もしかすると、里奈ちゃんのおっぱいよりもおっきいかも。
超ミニの黒レザーのスカートに上着もレザー、編みこみのサマーブーツの短めを履いて、網タイツは、すごくカッコイイ・・・
「弟はロック系で、兄貴はロリータ系かよ・・・」
洸兄ちゃんのお友達が、脱力したように呟いた。
「どっちも、うらやまし~ぜ・・・」
「可愛いみぃが大きくなるまで、お兄ちゃんは待つって約束したのさ。」
「な?みぃ。お兄ちゃんは優しいよな?」
「うん。」
洸兄ちゃんは、にこにこ笑ってぼくを膝の上に抱き上げた。
「くそ~・・・、松原兄弟だけが何故もてる。」
「みぃちゃん、こいつのこと、本当に好きなの?」
口々に問う、お友達はぼくのこと、本当に女の子だと思っているみたいだった。
「みぃ、お兄ちゃんのこと、大好き。」
嘘じゃないけど、答えたら顔が何だか急に火照ったように、すごく熱くなった。
終始、洸兄ちゃんはご機嫌で、朱里兄ちゃんも自慢の彼女をお披露目できて、嬉しそうだった。
そう言いながら、受験間近の高校生は、すぐに勉強の話になる。
受験生に青春はないのだと、洸兄ちゃんのお友達がこれが現実だと言っていた。
「そういえば、松原は今日の塾の補習はどうする?」
「ああ、模試の対策はもう済ませたから、今日は休むわ。」
「たまにはお姫さまと、デートしなきゃね。お兄ちゃんは心配なんだ、みぃはこんなに可愛いから。」
お友達は、冗談めかしてぼくに向かって、こいつに飽きたら浮気相手になるから、いつでも声かけてと言ってきた。
「冗談抜きでさ、こんなに可愛いと、さすがの松原も心配だろうな。」
「同じ学校ってわけにはいかないから、心配だよな?」
「そうなんだ。みぃが心配で受験勉強も手に付かないから、困ってる。」
「それは、俺等に嫌味か?」
洸兄ちゃんは、希望の大学を余裕のA判定だそうだ。
そこを散々に突っ込まれて、大勢で笑って盛り上がった。
可愛い格好をさせてもらったみぃくんは、ほんの少し幸せな気持でした。みぃくんを応援してくださってありがとうございます。とてもうれしいです。 拍手もポチもありがとうございます。拍手を頂いたお礼にみぃくん描きました。時間ばかりかかって駄目ですけど、みぃくんはいい子です、これからもよろしくお願いします。 此花
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