番外編 金襴の契り 2
人払いした寝所に入ると、杏一郎はまっすぐに寝具の傍に置かれた、黒漆の角盆の中身を確かめた。
「ああ……やはり、乳母殿は羽二重(光絹)と縮緬をお持ちになりましたね。」
「……?」
「藩校では皆、木綿の六尺を締めます。杏一郎は鶴千代さまには上物の絹ではなく、皆と同じ物の方がいいと思っております。」
「これを締めるのか?鶴も皆と同じものが良い。」
乳母が用意したのは、上物の縮緬であったが、杏一郎は自宅から真新しい晒しを持ちこんでいた。乳母殿の機嫌は良くないだろうが、鶴千代を特別扱いすることは、なるべくするまいと決めている。
いずれ藩主となり国を背負う立場の鶴千代には、民百姓の生活を知り広い視野を持ってほしいと、杏一郎は思っていた。
人払いをして、鶴千代の寝所で衣類を脱がせると、杏一郎も六尺一つの姿となり、真新しい晒し布を手に取った。
「いいですか?まず左手で布を取り、肩にかけます。わたしが今締めているものには前に垂れが有りますが、水練の時には垂れの無い締め方を致しますから、まずはそちらを覚えていただきます。。」
「……こうか?」
「そうです。布端を落とさないように口にくわえていてください。またいで後ろに回した布を腰に巻いていき、端をしりの中心付近でくぐらせます。上方向に引っ張るようにして形を整えながら、締め加減を調整します。そう、そうです。」
反対の端を股間に通して見せながら、杏一郎は鼻の頭に汗を浮かせながら一生懸命、同じようにする鶴千代の手に自らの手を添えてやった。
鶴千代は幼いころから何事にも泣き言を言わず、物事を途中で投げたりはしない。
慣れてしまえばどうということはないが、一枚の長い布を自分の思い通りに扱うには、少しは練習が必要になる。ちょうど良いと自分で思えるまで、感覚を覚えねばならない。
背後から手を添えて、中心のふくらみを作りながら、そっと上からぽんぽんと軽く叩き、きつくないかと問うた。
「余りきつく締めすぎるのはいけません。お大事が自由に動くように、そしてあまりゆるいと横からふぐりが零れてみっともない様になってしまいますから、気を付けてください。」
「……ん。」
身体を固くした鶴千代が初めて締めた六尺は、あちこち緩み、杏一郎は自分もそうであったと口にした。
「前垂れを落とす際には、縦褌と何度も交差させて締めるのです。前の袋が綺麗な三角形になっていますから、これで良かろうと存じます。2重になった前が、上の生地が前袋でたわんだりしないように、下の生地ときちんと合わせて……」
ふと、鶴千代の前部が膨らんでいるのに、杏一郎は気付いた。散々に引っ張ったり触れたり刺激を与えたせいで、若い茎は芯を持ち窮屈な三角の中で頭をもたげはじめていた。
杏一郎に悟られたと知った鶴千代は、耳まで桃花のように染まった。
「こ……これは……」
「鶴千代さま。これは決して恥ずかしいことではございませぬ。」
きっぱりと言い切った杏一郎は、そっと前袋に手を乗せ再びゆっくりと圧力をかけた。しっとりと汗をかいた鶴千代が、所在無げに涙が浮いた瞳で自分を見つめている。思わず引き寄せ胸の中に抱き入れた。
「朝、下帯が濡れていたことはございませんでしたか?」
「……ある。何かの病かとも思ったが、誰にも相談できずじまいであった。病ではないのか……良かった。嫡男を失っては藩の行く末がどうなるか分からぬ。男子は鶴千代一人ゆえ……あっ。」
緩くしか結べていない縦の晒しを、ぐいと引っ張ると、杏一郎は鶴千代を褥に転がした。
本日もお読みいただきありがとうございます。(*⌒▽⌒*)♪
(〃゚∇゚〃) 鶴千代 「どきどきなのです……♡」
(`・ω・´) 杏一郎 「だいじょぶでっす!」
「ああ……やはり、乳母殿は羽二重(光絹)と縮緬をお持ちになりましたね。」
「……?」
「藩校では皆、木綿の六尺を締めます。杏一郎は鶴千代さまには上物の絹ではなく、皆と同じ物の方がいいと思っております。」
「これを締めるのか?鶴も皆と同じものが良い。」
乳母が用意したのは、上物の縮緬であったが、杏一郎は自宅から真新しい晒しを持ちこんでいた。乳母殿の機嫌は良くないだろうが、鶴千代を特別扱いすることは、なるべくするまいと決めている。
いずれ藩主となり国を背負う立場の鶴千代には、民百姓の生活を知り広い視野を持ってほしいと、杏一郎は思っていた。
人払いをして、鶴千代の寝所で衣類を脱がせると、杏一郎も六尺一つの姿となり、真新しい晒し布を手に取った。
「いいですか?まず左手で布を取り、肩にかけます。わたしが今締めているものには前に垂れが有りますが、水練の時には垂れの無い締め方を致しますから、まずはそちらを覚えていただきます。。」
「……こうか?」
「そうです。布端を落とさないように口にくわえていてください。またいで後ろに回した布を腰に巻いていき、端をしりの中心付近でくぐらせます。上方向に引っ張るようにして形を整えながら、締め加減を調整します。そう、そうです。」
反対の端を股間に通して見せながら、杏一郎は鼻の頭に汗を浮かせながら一生懸命、同じようにする鶴千代の手に自らの手を添えてやった。
鶴千代は幼いころから何事にも泣き言を言わず、物事を途中で投げたりはしない。
慣れてしまえばどうということはないが、一枚の長い布を自分の思い通りに扱うには、少しは練習が必要になる。ちょうど良いと自分で思えるまで、感覚を覚えねばならない。
背後から手を添えて、中心のふくらみを作りながら、そっと上からぽんぽんと軽く叩き、きつくないかと問うた。
「余りきつく締めすぎるのはいけません。お大事が自由に動くように、そしてあまりゆるいと横からふぐりが零れてみっともない様になってしまいますから、気を付けてください。」
「……ん。」
身体を固くした鶴千代が初めて締めた六尺は、あちこち緩み、杏一郎は自分もそうであったと口にした。
「前垂れを落とす際には、縦褌と何度も交差させて締めるのです。前の袋が綺麗な三角形になっていますから、これで良かろうと存じます。2重になった前が、上の生地が前袋でたわんだりしないように、下の生地ときちんと合わせて……」
ふと、鶴千代の前部が膨らんでいるのに、杏一郎は気付いた。散々に引っ張ったり触れたり刺激を与えたせいで、若い茎は芯を持ち窮屈な三角の中で頭をもたげはじめていた。
杏一郎に悟られたと知った鶴千代は、耳まで桃花のように染まった。
「こ……これは……」
「鶴千代さま。これは決して恥ずかしいことではございませぬ。」
きっぱりと言い切った杏一郎は、そっと前袋に手を乗せ再びゆっくりと圧力をかけた。しっとりと汗をかいた鶴千代が、所在無げに涙が浮いた瞳で自分を見つめている。思わず引き寄せ胸の中に抱き入れた。
「朝、下帯が濡れていたことはございませんでしたか?」
「……ある。何かの病かとも思ったが、誰にも相談できずじまいであった。病ではないのか……良かった。嫡男を失っては藩の行く末がどうなるか分からぬ。男子は鶴千代一人ゆえ……あっ。」
緩くしか結べていない縦の晒しを、ぐいと引っ張ると、杏一郎は鶴千代を褥に転がした。
本日もお読みいただきありがとうございます。(*⌒▽⌒*)♪
(〃゚∇゚〃) 鶴千代 「どきどきなのです……♡」
(`・ω・´) 杏一郎 「だいじょぶでっす!」
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