番外編 金襴の契り 3
言葉を発しないのは、どうなるか先が読めないからだ。心の臓が激しく跳ねる音だけを、気づかれはしまいかと気にしていた。
「鶴千代さま。怖いことは何も致しませぬ。痛いことも致しませぬ。杏一郎は誓って鶴千代さまをとてもお大切に思っております。」
「……うん……」
「杏一郎が手ほどきいたしますのは、好いた相手に与えられるなら何より無上の喜びとなり、憎い相手に与えられるなら屈辱以外の何物でもない行為です。」
「それは……皆が言う衆道の手ほどきか?」
「手ほどきではございませぬ。杏一郎がどれほど鶴千代さまをお大切に思っているか、知っていただきたいのです。」
鶴千代の見つめる杏一郎の手の中には、細い竹筒が握られていて、素早く中身を手のひらにあけた。そう言いながら、膝がしらに手を掛けると手を伸ばし、ゆるく締めた六尺の縦褌を解き、ぷつりと濡れた指で菊門に触れた。
転がされた鶴千代が身を固くして、じっと杏一郎を見つめている。
「お大事に触れますぞ。」
六尺を取り去った下肢は、すでに痛いほど張りつめていて、ささやかなものが腹を打っていた。杏一郎が自分の六尺を解くと、鶴千代が小さくあっと声を漏らすのが聞こえた。
「……乳母やが御台所を迎えるまでは、決して自分で……用を足すとき以外、これに触れてはならぬと言うた……のじゃ。」
「それは、乳母さまが女子だからでございますよ。男子は時折精を抜かないと、身体に障ります。」
視線を絡めたまま、杏一郎は静かにゆるゆると鶴千代の持ち物をこすり続けた。片手は菊門に執着し濡れた指がゆっくりと抜き差しされている。固くなってせり上がった果実にも指を這わせ、時折あやすようになぶった。
「身命を賭して悔いの無い相手と出会えた時に、こうするのです。いつしか自然に花がほころぶように……ああ、双果実が弾けてしまいそうだ。」
「きょ……杏一郎……我慢が……きかぬ。厠に行かねば、粗相をする。手をはな……せ。」
「朝起きた時に、下帯が濡れていたことが有るのなら、精が零れましょう。杏一郎の手のひらに零しておしまいなさい。」
「……でも……」
杏一郎は直もさえずる山鳩の小首を捕まえると、深く口を吸った。舌の侵入を許した鶴千代がはふっ……と喘ぐ。いつしか全身が弛緩して、杏一郎の腕の中にすっぽりと抱きこまれていた。
「さあ、鶴千代さま。」
「あ……ぁっ……」
羽二重の布団を折りたたんで重ねた壁に、鶴千代は沈みこんだ。
切なげに身を捩り、杏一郎の二の腕を掴んだまま鶴千代の腰が揺れた。
ふる……と、息を詰めて戦慄し、鶴千代は杏一郎の手の中に吐精した。
指の間から糸を引いて流れる薄い白濁を見て、鶴千代は困惑したように赤くなって兄分を見つめたが、それはこれから始まる行為の前戯に過ぎなかった。
本日もお読みいただきありがとうございます。(*⌒▽⌒*)♪
それはこれから始まる行為の前戯に過ぎなかった。……なんて、大きく出てしまってだいじょぶか?
(`・ω・´)杏一郎 「がんばりまっす。」←こすっただけ……
(〃゚∇゚〃) 鶴千代 「きゃあ~」←こぼしただけ……
(´・ω・`) 此花 「……くすん。」←必死
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