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隼と周二 (続)狂った夏 1 

毎朝、靴箱の前で隼(しゅん)と視線を交わす。
目が合うと、ほんの少し口角が上がって隼の頬が薄紅く染まる。
くそぉ、昨日も今日も殺人的に可愛いぜ、隼。
あの日から(俺が騙して拉致した日から)隼と俺の距離はほんの少し縮まった気がする。
「おはよ」
小さな声ですれ違いざまに、俺にだけ聞こえるように隼がささやく。
俺には他に連れが居るので、声をかけたりはして来ない。
隼といちゃいちゃするのは、放課後、部屋に連れて帰ってからと決めている。
何しろ校内では俺は不良として一目置かれ、一応他校のやんちゃな野郎が乗り込んでこないくらいの、歯止めになっているのだ。

「優等生と不良、この立ち位置は崩さない方が良いでしょう」と、俺の守役の木本が言うからそうすることにした。
「もしどこかの餓鬼と喧嘩になって、ねんねが坊ちゃんのバシタとばれて巻き添えくったりしたら、坊ちゃんは沢木に殺されるぐらいじゃすみませんよ」
「は?」
殺されるより上に何があるんだと、聞いてみたが木本は眉間に皺を1本刻んだきり、深刻に一言告げた。
「坊ちゃんにはわからないかもしれませんが、ねんねが絡めば、死んだほうがましだと思うくらいの事を沢木はやるんですよ」

……背筋を冷たいものが流れた。
俺の愛する隼の親父は、その筋の人間なら絶句してちびりたくなるほどの有名な刑事だった。
「沢木の目が黒い間は、ねんねと周二坊ちゃんはロミオとジュリエットのように、決して結ばれないでしょうね」とヤツは言う。
極道の4代目と、マルボウの刑事の倅の組み合わせは、木本が言うには水と油、ナメクジと蛙と蛇の三すくみなのだそうだ。
だが、あえて言おう。
障害がでかいほど、恋は燃える。

ばかでかい乳を揺らしながら、俺の下で女が呻く。
頭は軽いが、乳は重い。
「あんっ、おっきぃ、周二くぅん」
最初から数えて二、三回目くらいまではきつかったが、すぐに俺の容に慣れて、女の熱いそこは潤みまくっていた。
何故だか知らないが女のあそこは、抱いた男に順応するみたいだ。
最初はきついが、すぐに緩くなる。
ぱんと最奥に叩きつけたら、太ももの筋肉が縄のようにうねって俺の腰に巻きついた。
卑猥な湿った音が響く。
二階の旧視聴覚教室は、別名俺の「ラブホ」だ。
まず誰も近寄らないし、しけこむ俺を学校中見て見ぬ振りだ。
「吸ってぇ、あんっ」
柔らかく流れる胸に喰らいつき、片方に指を食い込ませたら、痛いっと泣いてあそこがきゅっと締まった。
薄い茶色の尖りに歯を立てたら、もう一段締めつけてきた。
かくかくと乱暴に揺れる腰に、女が声を上げて喘ぐ。
絶え間なく嬌声が続き、俺は疲れてきた腰をぐいと、もう一突き入れた。
なんで今俺が抱いているのは、隼じゃないんだ。
こんな緩い孔じゃなくて、隼ならもっと狭いはず……
俺は、吼えた。
「くそお~っ!」
燃える肉の奥に叩きつけるように吐精し、その後、俺は鼻白んだ。
濡れそぼった俺の竿に、女が口を寄せようとしたからだ。
「何してんだ。用が済んだら、行けよ」
「何よ……ヤリチンなんだから」
低い声に、怯えたように女が目を見開いて下着を拾う。

満ち足りない答えは、俺の視線の向こう側にあった。
いつから見ていたのか、旧視聴覚教室の扉の向こうに、俺が誰よりも愛してやまない姿があった。
下だけ脱いだ自分の間抜けな恰好に気が付き、拭うのもそこそこに慌ててズボンを穿いた。
「隼」
「や……っ」
怯えたように後ずさる隼に手を伸ばそうとしたら、色を失くして震える唇が俺を否定した。
尖らせた口も可愛いが、何でおまえがここで泣くんだ?
泣かせるようなことは、何もしてないぞ。
逃げる隼を追いかけて、やっと踊り場で腕を掴まえた。
「放して。しゅ……うじくんじゃない。あんなこわい声、ぼくの知っ……てる周二くんじゃない」
「隼」
俺の手を振り払うと、その場にすとんとしゃがみこんで、丸く膝を抱えた。
「機嫌直せよ」
やわらかい髪をくすぐるように、指で梳いた。
いやだ、ふれないでと首を振る。
他の女を抱く俺を見て、やきもちを焼いたのか、隼。
手の甲で涙を拭う仕草が、思い切り可愛いぞ、隼。
見上げた瞳が、濡れてそそる。
「さわ、らないで。あんな大きな声を出す周二くんは、いや……。きらい」
「隼。ほら、こわくないだろ?」
顎を持ち上げたら、めがねがカシャンと滑り落ちた。
「もう、あんなこわい声出さない……?」
「ああ。俺は、おまえにはいつだって優しいだろ?」
隼の腕が輪になって俺に伸びてくる。
俺の中で一番優しい声と顔を、飛び切り甘く隼に向ける。
「周二くん。約束して」
蕩ける笑顔を浮かべて、隼の頬が俺に触れた。
思わず目を瞑り、隼の匂いをかぐ。
耳朶に響く、可愛くねだる隼の声。
「周二くん……もぅ、あんなことしないでね。絶対だよ」
「隼……あぁ、可愛い」

何故だか知らないが、いつの間にかもう学校では女を抱かない約束になっていた。
「あ~~~~っっ!!何で、こんなことにっ?!やりたい!抱きたい!抜きたい!出したい~~!!」
あれから、えみも、ようこも、りつかも、あやも、etc、俺は全ての学校の女と手を切った。
信じられない。

「周二くん、待っててね」
腰を振る代わりに、俺のラブホでチキンにペッパーをかけて隼が一生けんめい袋を振る。
「おいしい?」
「おう」
こんなおままごとよりも、俺はおまえを食いたいぞ、隼。

薄い胸を撫で回して、しつこい愛撫にぷくりと尖った紅い粒に吸い付きたい。
甘噛みしたら、白い喉がのけぞって思わず声が漏れるんだ。
「だめ……だめ……どうにかなっちゃう、周二くん……」
どうにかなれ、隼。
快感の波に攫われてどうにかなってしまえ、隼。
だが、その前に……ああ、不憫な俺。

溜め込みすぎて、まじ下腹がいてぇ……



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