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隼と周二 (続)狂った夏 2 

守役の木本に連絡して泣きを入れた。
「周二だけど。この際、ブスでも年増でも何でもいいから、女抱かせて」
「わかりました。自宅に呼びますか?」
「頼む……」
このまま放精しないままいたら、下半身がガチガチで石になってしまいそうだった。
まじ、死にそう……。
公園に潜み、若いお姉ちゃんが通るたびに、粗チンで猛アピールする変態野郎の気持がほんの少しだけ分かる気がする。
もう顔なんてどうだっていい、頼むから俺を「イカセテクレ」と縋りたかった。
準備できましたと、木本が連絡をくれたので、張り切って帰宅したら、既にソファベッドにグラマラスで綺麗なお姉さんが二人(!)並んでそこにいた。
木本からのメッセージを伝える。
「綺麗なおねえさんは、好きですか?」
「大好物っす!いただきますっ!」
さすがに親父が俺の守役に選んだだけのことはある。
木本の女を選ぶ目は完璧で、やって来たデリヘル嬢二人と俺との体の相性は抜群だった。
「よろしくね。お姉さんたち、何だってやってあげる~」
「スカでもSMでもどんと来いよ。お好みは?」
「お道具なしのノーマルで、よろしくお願いしますっ!」
「いやん、この子かわいい~」
二人がかりで、欲求不満で疼く全身を、嘗め回してくれた。
男だって乳首を弄られれば普通に感じるし、ささやかに尖る。
散々こね回されて、俺の乳首と下半身はぷくりと赤くなってじんじんと疼いた。
たらたらと先端から、密が溢れ出す。
下半身に跪いたお姉さんが、零れ落ちそうになった滴りを吸い上げ、たまたまの裏っ皮の細い筋を、ここはどう?好き?といいながら指先でくすぐった。
「うっ。そこ、や、やばいっす……」
お姉さんの赤い舌が、俺の物に行ったり来たりするのを眺めていると、さっき抜いたばかりの笠が、再びぐいと頭を持ち上げて来る。
「あら素敵。がんばる子には、お姉さん御褒美あげちゃう」
真っ赤な温み(うるみ)の中に、俺は包み込むように囚われ、獣のような咆哮を上げながら何度も内側に噴き上げた。
「うおおぉ~っ!」
野獣の俺が隼のために二週間も禁欲して来たが、我ながら相当我慢強かったと思う。
「んっく……んっ」
喉の奥に吸い込まれるような強烈な刺激に、俺はあっけなく何度目かの射精をした。
この女、すごっ。
まとわりつき締まってくる余りの快感に、全身がそそけ立つ。
やっぱ、本職はガキとはテクが違う。
口腔内を持って行かれるような深い口付けを交わしながら、一方では脱力した全身をやわやわとこすられる快感の満ち引きに俺は二人を従える獰猛な肉食獣になった。
「はっ、はっ……も、最高。めっちゃ気持いい」
女豹のポーズのお姉さんが高く腰を上げて、悩ましげに背中をのけぞらせた。
ラメの入ったローションで光る、紅い孔をめがけて、後から叩きつける。
ああ……気持、いい……

一通り満足した頃、そっと控えめに木本が入ってきた。
「周二坊ちゃん。帰って来たときにここに、ねんねはいませんでしたか?」
俺は一瞬、日本語が不自由になった。

「ダレ……デツカ?」
「周二くんが帰ってくるの待ってるの、って言ってましたけどね。女が入って来たから怖気て帰っちまったかな?」
「生のグレープフルーツジュースが飲みたいって言うんで、俺、駅前のフルーツショップに行って来たんですよ」
「……まさか?」
カタ・・・と、隣の部屋で小さな物音がした。
俺たちは顔を見合わせ、蒼白になった。
「うわ~っ、ねんね!?」
「し、隼っ!?」
おっかなびっくり隣の部屋に飛び込むと、隼が耳を押さえて床の敷物に突っ伏していた。
それだけじゃない、吐き戻した胃の内容物にまみれて、辺り一面惨憺たるひどい有様だった。
「隼?隼っ!どうした!?」
「ねんねっ!?」
小刻みに震える身体は、問いかけにも反応せず、弛緩してぐったりとしていた。
瞳が潤んだまま、半眼になって動かない。
さっきまでお世話になっていたお姉さん達を冷たく追っ払い、ベッドを空けた。
抱きかかえた隼は真っ青で、骨がないようにくたりと崩れて、床にどさっと滑り落ちた。
「うっ、うぇっ、えっ……えっ……」
いくら何でも、この状態は普通じゃなかった。
押さえても押さえてもこみあげてくる吐き気に、隼は襲われ意識は朦朧としていた。
「沢木さんに連絡します」
木本がすぐに沢木に連絡を取り、救急車を手配する。
あんなに俺が達く時の声をこわいって言ってたのに、知らなかったとはいえ隣室で散々聞かせてしまった。
「隼っ!しっかりしろっ」
俺のせいなのか?
「隼っ!」

約束を破り、隼を裏切った俺への罰なのだとしたら俺に与えてくれ。
えづき苦しむ隼に俺はなす術もなく、ただ抱きしめているだけだった。
名前を呼ぶしか出来なくて、俺はもう支離滅裂なタコのふんどし状態(どうしていいかわからない)になっていた。
吐くものがなくなっても、丸まったまま隼は苦い胃液を噴き上げ続けた。
「ぐふっ、うぇっ……」
硬く目を閉じた蒼白の顔で、黄色く染まったシーツに直も口を押し当てる。
愛する隼が苦しむのを抱きしめて、俺は叫ぶしかなかった。
「死ぬな、隼っ!」
世界の中心で隼を抱きしめ、本気で叫んだ。

救急車の赤色灯が派手に回り、救急隊員がストレッチャーに乗せて、俺の懐から隼を奪った。
一気に身体が冷える。
「心的外傷発作です。患者は一名」
同乗すると、すぐに警察から連絡が入った。
たぶん、隼の親父の沢木だ。
心的外傷発作って、一体なんだよ?
さっさと俺を死ぬよりひどい目にあわせてくれ、隼をこんな目にあわせたのは紛れも無く俺なんだから。
「隼を俺から奪わないでくれ」
生まれて初めて、神さまに祈った。



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