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紅蓮の虹・60 

「虹さま。」


「どなたか存じませんが、お客さまです。」


ん・・・?誰だろ・・・


「お兄ちゃん!」


河に落ちそうになった、子供だった。


「大丈夫だった?お兄ちゃん、風邪ひかなかった?」


一緒に来た母親(?)が俺に向かって深々と頭を下げた。


「遊んでくださって、ありがとうございました。」


「その上、この子をかばって河に落ちたと聞きました。すみません・・・」


俺は椅子を勧めた。


爺さんが、ちびに甘いものを勧めてくれた。


「ご一緒に、いかがですか?」


「ぷりんっ!?」


きらきらの瞳。


・・・おまえ、わかりやすいな・・・



「この子には父親がいなくて、母親一人なものですから、ずいぶん遊んでもらったのがうれしかったらしくて・・・」


「ご迷惑かと思ったのですけど、御礼だけお伝えしたくて寄せていただきました。」


そしたら、こんな大きなお屋敷に住んでて、思わず気後れしてしまったんだ・・・


わかるよ・・・俺もそうだったもん。


はじめてきたら、屋敷のでかさにビビるよね。


「俺のほうが、遊んでもらって楽しかったです。」


「俺も、両親がいないからこいつの気持ち、わかるし。」


あ、ちょっと不思議そう・・・


「ここは、最近見つかった俺の親類の家で、世話になっています。」


「だから、何の心配もいりません。」


「明日も遊んでもらうつもりだし。な?」


「・・・」


口いっぱいにほおばってるまま、そいつはうなずいた。


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