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紅蓮の虹・54 

図書館で借りてきた本は、どれも興味深かった。


何しろ現場を体感しているのだから、その臨場感は半端ない。


それまでわからなかった流れが、見えてくる。


あれほど人々を苦しめた、領主の名前すら列記してあった。


「絶対、ろくな死に方してないだろ、おまえら。」


四郎は自分の意思で指揮を執っていたけれど、結局は、人々が貧しくても笑って暮らせたらそれで良かったのだとおもう。


多くを求めないで、


「ただ、みなと生きていたかった・・・」


ときどき、気持ちが浮遊しそうになるのは、四郎の思いにシンクロしたときなのだろうか。

どの本を見ても、四郎について書かれているのは、驚くほどの美辞麗句ばかりだ。


なんかさ・・・

コウゲイの記憶が流れ込んできてから、俺、賢くなったみたいだ・・・


美辞麗句って・・・ようは、あれだな。


いっぱいほめてるってことだ。


「幼い時から大変聡明で、神童の誉れ高く、学問に秀でていた」とかさ・・・


・・・この段階で、俺は、絶対「四郎」になれないと悟る、まじで。


理数以外、ひどいよ~俺。


・・・あ、自慢するとこじゃないけど。


生まれながらにしてカリスマ性があり、慈悲深く、容姿端麗にして白百合のように無垢で清らか・・・な男ってあんまりいないと思う。


「四郎さまは、特別でございました。」


うわっっ!


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