タンデムシートで抱きしめて 10 【最終話】
「お……大人のキス…?」
「本当は、まだ小さい航太にディープなキスは早いんだけど、そうしたほうが、航太が怖い夢を見なくなると思うんだ。おにいちゃんは、航太が可愛くてどうしようもないんだ。だから航太が毎日見る、怖い夢から守ってやりたい。それに、今日はクリスマスだろう?航太をおにいちゃんにくれないか?」
「航が……おにいちゃんのプレゼントなの?」
「そうだよ。航太を貰えるとお兄ちゃんは、すごくうれしい。」
「うれしい……の?」
シャワーを浴びて濡れているぼくの顎を、おにいちゃんはついと持ち上げた。ほっぺにちゅ…と、柔らかい唇がふれる。
「どう?怖くない?気持ち悪くない?」
「平気……。おにいちゃんのちゅっ…くすぐったい。」
「じゃあ、こっちにもね。」
左右の頬っぺた、まぶた、鼻の頭へとおにいちゃんは唇を落として行く。ちょんちょんと指の先でぼくの唇をつついた。思わず、舌を出してぺろと指の先を舐めてみた。
「航太。そんな大きなお目めでじっと見てないで、目を閉じて。恋人同士はキスの時、目を閉じるんだよ。」
「う……ん……。」
耳元に囁かれると、すごくくすぐったい。両手で顔を包むと、おにいちゃんはそっと上の唇、次いで下の唇も代わる代わるぺろりと舐め上げ引っ張るように吸った。
「航太、怖い?おにいちゃんが触っても、怖くて泣きたくなる?」
「ううん……くすぐったくて、き…きもち、いい。おにいちゃん、航に、も…っと、いっぱい…ちゅっとして。」
「あ~んして。お口の中もちゅっとするよ。」
「あ~んするの…?」
おにいちゃんの舌が、ぼくをちょんとつつき逃げてゆく。思わず追うぼくの舌を、おにいちゃんはきゅっと捕まえて引っ張った。
「あ…んっ。」
たらたらと、胸に滴る液体はシャワーの水と共に流れて落ちた。歯の裏をおにいちゃんが撫でてゆくのを、ぼくはあちこちを目にして感じていた。目はぎゅっと閉じられていたけど、全身が目になった気がする。
「ふ…うっふ、は…ぅ…」
おにいちゃんがぼくの口の中に、いっぱいキスをする。いつしか、ぼくはおにいちゃんを求めて深いところまで追っていた。
「航太、初めてなのに、すごく上手だな。」
思わず目を開けて、おにいちゃんをうっとりと見つめた。
「今度、白いお化けが出てきたら、おにいちゃん?って聞いてみな。きっと航太を抱きしめてちゅうってするおにいちゃんに変身するからな。」
「おにいちゃん……。ほんと……ぅ?」
「参るよなぁ……手を出しちゃいけないって、ずっと我慢してきたのに公認になっちまった。くっそ。可愛い……航太。お兄ちゃん、限界だぞ~。いけないお兄ちゃんになっちゃうぞ~。」
ほんの少し唇を尖らせたおにいちゃんが、もう一度ぼくにキスの雨を降らせた。そして、その夜ぼくは、おにいちゃんと神さまの前でキスをする幸せな夢を見た。
「おいで、航太。」
おにいちゃんの腕の中にすっぽりと抱かれて、ぼくは甘いクリスマスプレゼントになる。
ぼくのサンタさんは、大きな単車に乗ってるんだ。
ぼくはタンデムシートによじ登って、ぼくをぺろりと舐めた大好きなおにいちゃんにとびきりの笑顔を向けた。
「メリークリスマス、おにいちゃん。」
(*ノ▽ノ)キャ~ッ 航太:「らぶらぶだった~!」
( *`ω´) 亜紀人:「結局、キスだけか。仕方ないな……。」
(`・ω・´) 此花:「大きくなるまで待ってください!」
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