風に哭く花 35
柔らかな長い布で、翔月の目は覆われていた。
自分を呼ぶ青児の声に、思わず痺れた腕を目元にやり、もどかしくゆるい縛めをずらそうとする。
きざした先端を埋めたまま、青児はぐいと身体をこねた。
「……あぁっ……青ちゃん……?」
「ああ。目隠し外してやるから、誰が抱いているか泣いてないでちゃんと見ろよ、翔月。」
スカーフを取られても、翔月は青児がそこにいるのが信じられないと言うように、半ば口を開いてじっと見つめていた。やがて、盛り上がった滴が溢れ、頬を伝うと、震える口を開いた。
「青ちゃんだ……どう……して……?」
「うん。……ごめんな、翔月。何が有っても信じろって、お前は言ったのに、おれはいつも泣かせてばかりだ。迎えに来たんだ。許してくれるなら、一緒に帰ろう。」
「……う、あぁんっ……」
ゆっくりと倒れた翔月は、顔を覆って肩を震わせた。安堵と歓喜とがないまぜになった複雑な感情が睫毛を濡らし、我慢できずに全身をふるふると震わせて泣いた。
「翔月……うっ。」
気が緩んだ翔月の内奥が、突然、熱くうねり痙攣した。
青児は驚いていた。いつか、翔月を抱いた時にはこんなことはなかったと思う。
全てを埋め込んだ青児は、倒れたまま締め付けて来る翔月の内側に深くゆっくりと抽送し、やがて達した。
「翔月……そんな、締め付けたら、おれ、何度でもイケそう。おまえの中、すげぇ……。」
泣き止んで青児を見上げる翔月の目元が、ぷくりと膨らみ薔薇色に染まっていた。
儚げで線の細い翔月の中でも、何かが変わっているような気がする。
その姿は、扇情的に熟れて咲く、日陰の薄桃色の花だった。
*****
青児は翔月を抱き上げると、湯を張り身体を洗ってやった。
好きにすると良い、と柏木も告げた。
先ほどまで自分が入っていた後ろに触れると、腰を泳がせて逃げようとする。捕らえて指を忍ばせると難なくするりと指はのみこまれ、切なく甘い息が零れた。
「あ……あんっ。」
「翔月……熱いな。今も、すごく締めつけて来る。やばい。」
「青ちゃんのこと考えたら、お腹の中がぐるぐるして、青ちゃんが入って来ると全身がかーっと熱くなるんだよ……う~ん……上手く言えないけど、不思議だね。何か……違う生き物になってしまったみたい。」
青児は両手で小さな顔を挟み込んだ。
「でも、翔月は翔月だろ?」
「うん……。青ちゃん。ずっと、大好き。一番、好き。」
微笑みを交わした二人は、舌を絡ませる大人のキスを長い間交わした。今度こそ何もかもやっと分かり合えた、そんな気がする。
青児の胸に縋った翔月は、充足感に包まれて身体を預けていたが、いつしか寝息を立てていた。
「この状況で、よく眠るよなあ……あ。」
バスタオルで包んだ翔月を、そっと寝台に戻すと目の下の青い隈に気付いた。
ずっと、ここで翔月は自分が助けに来るのを待っていたのだと思うと、自分の短絡さが情けなくて、思わずじわりとまぶたが熱くなる。
濡れた髪の滴を、顔に掛からないように、指先で払ってやった。
本日もお読みいただきありがとうございました。(〃゚∇゚〃)
此花比120パーセントのエチ場面が終わりました。(`・ω・´)←まじ、やりきった感。
少し近くなった青児と翔月。
俊哉の語る、柏木の過去は……。
つづく~~ ヾ(〃^∇^)ノ
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