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風に哭く花 43 【最終話】とあとがき 

週末は、青児も柏木のマンションにやって来る。
遅れてやってきた青児の前で、必死に隠そうとした劣情が零れる。いつか初めて青児がこの部屋に来た時のように、翔月は柏木と俊哉の手で追い詰められていた。

「あ……っ、あっ……い……やっ」

「……ああ……助け……て、青ちゃん……」

青児は直ぐに自由になれる程度に緩く椅子の背に縛められて、薄く上気して染まってゆく翔月の様子を見て居た。固い蕾が開花するように、白い翔月の肌に徐々に紅が差すのは、ぞくりとするほど扇情的で、青児もまた翔月を泣かせてみたいと思う自分に気付いていた。

「翔月……。おれは翔月に触れない。ほら、手が自由にならないから、どうすることもできないんだ。でも、翔月は自由に感じて良いんだ。俊哉さんと先生の手でイクとこ、見ててやるから……」

「青ちゃん……でも、ぼくは青ちゃんが……いいの。せんせい……お願い。青ちゃんを自由にして。」

「じゃあ、君が青ちゃんを達かせてご覧よ。手を使わずに、青ちゃんをイカせることが出来たなら、君達を自由にしてあげる。……少しの間だけね。」

「青ちゃん……」

「手でいかせちゃ駄目だよ?ちゃんと口でね……」

柏木がこくりと頷く翔月の枷を取って自由にすると、翔月はそっと青児に近づき触れた。
翔月のしなやかな肢体が湿気を帯びて、吸い付くような気がする。
青児の持ち物を掬い取り、翔月はゆっくりと唇を寄せた。
薄い色の柔らかな髪が青児の腹に触れた瞬間、理性は簡単に崩壊して翔月が触れる前に青児はあっさりと爆ぜた。

*****

「あ……やべ。」

「青ちゃん~~」

「早すぎる。」

「あはは……っ。青ちゃん、これじゃいくらなんでも、うさぎちゃんの調教にならないじゃないか。せっかく頑張って来たのにね~、彼氏がこれじゃあ、うさぎちゃんが感じる暇もありゃしない。」

「だって、おれ……翔月がおれのをって考えたら……つか、顔に掛かっちまったな、翔月。やばい、そんな顔されたら、また……うっ……。くそ~、自分の若さが憎い。」

「それは、俺達への厭味だと思って良いんだね、青ちゃん。」

「うさぎちゃんだけじゃなく、こっちにもお仕置きが必要だな。」

二人は楽しそうに笑い声をあげた。

「青ちゃん……ね、目つむって。気持ちよくしてあげる……」

胸と足に縛めの紅い筋を残した翔月は、青児の前にひざまずいた。
緩い枷を振り落すと、青児は腋から手を入れ、軽い身体を抱き上げた。

「翔月……ここ擦れて赤くなってる。痛くないか?」

「ん……青ちゃんに、こんな風にされたって思ったら……良い気持ち。は……ふっ……」

ぷくりと腫れた愛おしい小柱を舌先でつつくと、甘い吐息が漏れる。

何が有っても翔月を愛せる……と、青児は思った。
例え今は誰かの力を借りなければ、満足させてやれないほど未熟なのだとしても、いつか応えられる自分になればいい。花にも色々あるように、愛し合うのにも色々な形が有ってもいいと思う。

例え泥の中に在っても、清らかな花は凛と咲き、微風にそよぐ。
翔月が翔月である限り、自分も自分らしく翔月を愛せばいい。
風に弄られ花弁は震え、薄く染まる。

「ああ……青ちゃん。」

「翔月……」

薄紅の花が、風に哭いた。




「あとがき」

本日もお読みいただき、ありがとうございました。(〃゚∇゚〃)

着地点はタイトルと共に決まっていたのですが、勢いで書きはじめたらとても難しい内容になってしまいました。
好きな相手がM属性だったら、いったいどうゆう風に愛せばいいか……

設定を高校生にしてしまったばかりに、ちょっと悩みました。大人にすべきだったかもしれません。
でも、此花は「少年」と言われる年齢が好きなので、そこは譲れず上限ぎりぎりでした。本当は、もう少しちびっこが好きで~す…… ヾ(〃^∇^)ノ

正直、翔月には精神障害に含まれるほどの激しさはないのですが、途中で出てきた柏木の弟は、真性のマゾヒストで肉体的にも精神的にも自分で自分を追い詰めてしまうタイプです。
脇役なので、扱いはぞんざいです。■━⊂( ・∀・) 彡 ガッ☆`Д´)ノ

柏木と俊哉の関係も、翔月と青児と同じようなものです。
柏木は弟と同じ程度か、少し軽めのM属性設定です。ぶっちゃけ、途中でまとめに入ってしまったので、彼らを深く書くことは断念しました。
BLには多少の曖昧さが必要だと思っていますが、知識の無さが曖昧さになっているようで、そこは反省事項でした。実際は、SMも肉体的な苦痛よりも精神的な苦痛のほうが多いのではないかと思えます。

知識のないいじめっ子は、相手にけがをさせてしまうので、このちんも勉強しますっ。(。’-’)(。,_,)ウンウン

次回は明るい話でお目にかかりたいと思います。
では、またね。

これまでお読みいただき、ありがとうございました。
コメント、拍手、とても励みになりました。うれしかったです。(〃゚∇゚〃)   此花咲耶


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4 Comments

此花咲耶  

nichika さま

> なかなか今までにない内容 暗澹たる雰囲気かとソロソロと読み

書きながら、ちゃんと着陸できるかどうか不安でした。どこまで悪人のように書いて行くかが、肝だった気がします。

> でも残虐性もなく 大人組がそれぞれの過去を引きずりながら

さすがに残虐場面は表現できませんでした。きっと、柏木弟はかなり可哀想な目に遭っているはずなのですが、筆力的に表現できませんでした。読者さまの想像力頼みです。(〃゚∇゚〃)

> 偶然気付いた翔月くん自身の危なさ  今なら 守ろとした行為なのでしょうか

たぶん、柏木は自分の弟と同じ雰囲気を感じたのだと思います。もう少し、料理法があったかなと思います。

  青児くん まだ若い(ラストもブブッ=(笑))  これからもナイトになっていかないとね 漢に不埒はなしよ(-_-)/~~~ピシー!ピシー!

( *`ω´) 翔月が色っぽい顔するからいけないんだ。←
ナイトになるのは中々みたいですが、一緒に成長していくと思います。(〃゚∇゚〃) BLっぽい~?

コメントありがとうございました。

2013/08/31 (Sat) 19:56 | REPLY |   

nichika  

お疲れ様です

なかなか今までにない内容 暗澹たる雰囲気かとソロソロと読み
でも残虐性もなく 大人組がそれぞれの過去を引きずりながら
偶然気付いた翔月くん自身の危なさ  今なら 守ろとした行為なのでしょうか  青児くん まだ若い(ラストもブブッ=(笑))  これからもナイトになっていかないとね 漢に不埒はなしよ(-_-)/~~~ピシー!ピシー!

2013/08/30 (Fri) 16:37 | EDIT | REPLY |   

此花咲耶  

ちよさま

> 若さ故にまだまだ未熟だけれども、
> 何が有っても翔月を愛せる……と、
> 気付いた青児くん。

中々ハードな恋人を持ってしまった青児君です。(´・ω・`) ←若干、不安……
>
> 離ればなれになりそうな時でも、
> どちらか一方がその手を離さなければ
> 繋がっていられるのだから、
> もう、離さないでね!!

ヽ(゚∀゚)ノそうしまっす!←青ちゃん
(。´・ω`)ノ(つд・`。)・゚+ほんとに離さないでね……
>
> 今後が楽しみなお二人さんです。

でも、さすがにこのお話しの続編は書けそうにないです。てこずりました~まじで。

> ステキなお話をありがとうございました。

(つд⊂)ウエーン……自分でも、今回は正直言うと不完全燃焼というか、いろいろ悶々としていたのです。
何しろエチ場面が多すぎた~ヽ(`Д´)ノ ウワァァァァァン
優しい言葉、ありがとうございます。この次がんばります。(`・ω・´)←ぬけぬけ~

コメントありがとうございました。(〃゚∇゚〃)

2013/08/29 (Thu) 21:54 | REPLY |   

ちよ  

若さ故にまだまだ未熟だけれども、
何が有っても翔月を愛せる……と、
気付いた青児くん。

離ればなれになりそうな時でも、
どちらか一方がその手を離さなければ
繋がっていられるのだから、
もう、離さないでね!!

今後が楽しみなお二人さんです。

ステキなお話をありがとうございました。

2013/08/29 (Thu) 08:20 | EDIT | REPLY |   

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