小説・約束・23
後は、ひたすら学校まで全速力で駆ける。
・・・良平を待ちかねた者がいた。
「おはよう!」
待っていたのは勝次と同じ、小作の息子だったがその顔は不自然なほど蒼白だった。
「良平。夕べ勝次の母ちゃんが死んだ。」
「何で・・・!?」
良平は、立ち尽くした。
「・・・ぼく、勝次の家へ行ってくる・・・。」
「一限目、教練だよ。まずいよ。」
「佐藤は腹を下して帰りました!先生にそう言っておいて。」
それだけ言って、一目散に駆けた。
昨夜、待ち合わせの場所に来なかった勝次を、臆病風が吹いたに違いないなどど思ってしまった、自分に腹がたった。
約束を破るような勝次じゃないと、知っていたはずなのに、どうして勝次の家に行ってみなかったのか、良平は自分を責めた。
背中のかばんの中で、弁当箱がかたかたとうるさかった。
おなかの大きい、勝次の母を心配して、良平の母は先日も貰いものの「きんつば」を届けたのに、いきなりの訃報を聞いておどろいているだろう。
国中の食べるのものが枯渇してゆく中で、生めよ増やせよと、無理な標語が電柱にまで張られていた。
苦労して大きくしても、戦争に取られるんじゃね~・・・と、ぽんぽんと大きなおなかを揺すりながら、ついこの間まで野良にも出ていたのだ。
とても元気そうに見えたのに・・・。
・・・家の前に、お弔いの旗が揚がっていた。
・・・良平を待ちかねた者がいた。
「おはよう!」
待っていたのは勝次と同じ、小作の息子だったがその顔は不自然なほど蒼白だった。
「良平。夕べ勝次の母ちゃんが死んだ。」
「何で・・・!?」
良平は、立ち尽くした。
「・・・ぼく、勝次の家へ行ってくる・・・。」
「一限目、教練だよ。まずいよ。」
「佐藤は腹を下して帰りました!先生にそう言っておいて。」
それだけ言って、一目散に駆けた。
昨夜、待ち合わせの場所に来なかった勝次を、臆病風が吹いたに違いないなどど思ってしまった、自分に腹がたった。
約束を破るような勝次じゃないと、知っていたはずなのに、どうして勝次の家に行ってみなかったのか、良平は自分を責めた。
背中のかばんの中で、弁当箱がかたかたとうるさかった。
おなかの大きい、勝次の母を心配して、良平の母は先日も貰いものの「きんつば」を届けたのに、いきなりの訃報を聞いておどろいているだろう。
国中の食べるのものが枯渇してゆく中で、生めよ増やせよと、無理な標語が電柱にまで張られていた。
苦労して大きくしても、戦争に取られるんじゃね~・・・と、ぽんぽんと大きなおなかを揺すりながら、ついこの間まで野良にも出ていたのだ。
とても元気そうに見えたのに・・・。
・・・家の前に、お弔いの旗が揚がっていた。
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