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世良兄弟仇討譚 月影の鵺 5 

鵺(ぬえ):暗い森の中にすみ、夜、ヒーヒョーと笛を吹くような寂しい声で鳴く。
または、伝説上の妖力をもったばけもの。頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は虎、正体ははっきりとはしない。




勘定奉行の役宅の奥深く、旅一座の役者に身をやつした笹目は、精を吸って重くなった褥に顔を押し付けられ、そのまま思うさま下肢を弄られていた。
「ああっ、ああっ……もう、お解き放ちくださいませ……む、無体でござ……います。はあぁっ……」
「おぅ、言うだけのことはあって、こやつ、驚くほどの名器じゃ。なるほど時間が立てば、この菊門というのは、貝の口のようにじわじわと閉じるのじゃなぁ。ここは、どうじゃ。良いか?」
「あーーー……っ!」
ごりごりと淫具の肥後随喜を菊門に使われて、笹目は正気を失い、その場でうろうろと腰を泳がせていた。
「ああ……かゆい、かゆい……お、お奉行様、無体はおやめください……笹目を奥まで突いてくださいませ。どうぞ笹目をご存分に、ああっ……おかしくな……る……」
「そうか。これが欲しいか?」
「ほ……欲し……あ……ぁ……」
白濁も尽き果て、言うなり布団にぱたりと倒れこんだ役者の顔は、もう三日三晩の色事でげっそりと青くやつれ果て、哀れと言うよりなかった。

さすがの色奉行二人も、散々に攻めて気が済んだものか、傍に控える月華だけでも小屋に帰してやろうと、声をかけた。
月華は最初のうちに、にいさまぁ……としくしく泣いていたが、今は皿のように大きな目を開けて自失し、閨の激しさに呆けているばかりだった。
河原者が色を売るのは日々の勤めだが、どうみても度を越していた。
散々に弄られた笹目の後孔は、媚薬を垂らされて今や爛れたようになっている。
やつれて直、壮絶なまでに美しい笹目は、薄い意識を保ったまま、勘定奉行の膝に抱え上げられて揺すられていた。
揺すられるたび、大きく肩が揺れその度、奥に深く差し入れられた巨大な肉の鞘に笹目は喘いだ。
「あぁ、つ……きか……」
「笹目兄さま。お奉行様が、月華はお先に帰っていらっしゃいって」
「う……む……そう……か。兄さまは今少し、お勤めがある故……」
「あい」
泥のように混濁した意識の中で、笹目は気を失う前に月華の手を引く勘定奉行に囁いた。
「おとと……は、まだ幼く足が痛むと泣くやも知れませぬ。どうぞ、優しくしてやって……」
「よし、よし。願いを聞いてやるぞ。戻ったら、もう一戦交えようぞ。のう、笹目、愛いやつ」
「あ……い……可愛がってくださいまし」

指を絡ませ、約束の口吸いを深く交わして、栗の花の香の匂い立つ上等の加賀羽二重の上に、とうとう笹目は意識を失った。







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