隼と周二 番外編 SとⅯのほぐれぬ螺旋 11【完結】
愛しい男の骨ばった手が、蒼太の頬をいとおしむようにそっと包み込んで、軽く撫でた。
懐で見上げた蒼太のまぶたに唇を落として、背筋が震うような甘い低い声で木本が告げた。
「蒼太……見てみな」
「あ」
「おまえが煽るから、こんなになっちまった。責任取れよ、蒼太」
嬉し気に目元を薄紅く染めて、蒼太は木本の頭をもたげた分身に指を伸ばした。
細い指が、木本の持ち物に絡みそっと大切に扱く。
襖絵に描かれた絢爛の四季の花々に、二本を並べてゆっくりなぞる兜合わせの影が重なり、儚くゆらと揺れた。
「やばいな。俺はどうやら、おまえの泣き顔に欲情するみたいだ。だから、つい虐めたくなる」
「……いじめっこ」
「そうだよ。俺は元々真性Sが売りだからな。Mのやつ等は俺の名前を聞いただけで女はびしょ濡れになるし、男はあそこが、おっ勃つんだよ。蒼太は優しくしても酷くしてもどのみち泣くんだから、もう甘やかすしかないよなあ……俺も、焼きが回ったもんだ」
木本のひざの間に蒼太は挟まれ、あやすようにやわやわとやわらかい器官を指でなぶられていた。
身をよじっても、甘い枷から抜け出すことはかなわない。
ほんの少し、色を濃くし蒼太の大人になりかかった容が、愛撫に応えた。
尻の下に当たるものは、とうに嵩(かさ)をあげて、熱くうねって行き場を求めている。
木本は、えぐる行為が、やっと元気になった蒼太の体力を消耗させると分かっていたから、今日はそれ以上の事はしないでおこうと決めていた。
ほんの少し、後孔に自分の先端が当たっただけで、蒼太の体が身じろぎ硬直するのが伝わってくる。
「あ……」
「もう、俺の仕事も潮時だな」
「潮時って、廃業?お仕事をやめちゃうって、こと?」
「いや。事業じゃなくて、チイパッパだけ止めるんだよ」
「ち……?地位、ぱっぱ?それ何?」
聞きなれない単語に、膝の上の蒼太が、肩越しにいぶかしげな顔を向けた。
「童謡にあるだろ。雀の学校の先生は、鞭をふりふり ちいぱっぱ……ってのが。え?蒼太、しらねぇのか」
「知りません。聞いたこと無いです。ぼく、高校入学まで米国でしたから」
「あ~、そうか」
教えてやるよといって、蒼太を膝の上に抱えて揺すりながら木本は低い声で耳元で歌った。
「生徒の雀は輪になって、お口をそろえて ちいぱっぱ♪まだまだイケない ちいぱっぱ。も一度いっしょに ちいぱっぱ♪ってんだ」
蒼太はそんな童謡、嘘だ~、あるわけない~と言って泣きながら笑いころげ、終いには一緒に歌った。
そしていつしか木本の腕の中で安心しきって静かな寝息を立て、結局まるで方法の分からない幼い恋人同士のように中途半端に身体をつないだまま夜明けをむかえた。
自分自身を蒼太からそっと抜くと、風邪を引かないように黄膚色の着物をかけてやり、木本は信頼しきった無防備な寝顔に、自分がついに堕ちたと悟った。
「お前の勝ちだ」
木本の身体の上に、蒼太が螺旋(らせん)の溝を切った気がする。
外部からのどんな力にも、ずれてほぐれぬように、溝を外側に切った雄ねじに雌ねじを被せてはめ込み動かぬようにしてしまう。
きっと、自分は蒼太と二人で一つの、硬くほぐれぬ螺子になったのだ。
互いを締め付け合う一組の螺子(ねじ)のようになって、このまま一緒にいるのが当たり前になるのだろうか。
「ねぇ……ぼくは、あなたのものだよ」
泣きながら縋り付き、必死ですべてを晒した少年に、とうに攫われているのは自覚していた。
起こさぬように細心の注意を払って、額にそっと優しく触れた。
「おれは、おまえのものだ」
SとⅯのほぐれぬ螺旋 ―【完】―
【おまけ】
周二:「ええ~~~!?まじ!?散々今まで、乳繰り合っといて、おまえら一晩中何もなかったの~!? 先っちょ挿れただけで朝までじっと抱いてたって!?木本、大丈夫か?熱とかあるんじゃねぇだろうな」
木本:「まあ、多少は色っぽい事もあったんですけどね。これから先は、あいつとしたい放題なんで、今は弱った身体を労わってやろうかな~って思いましてね」
周二:「てめぇ。どこが、真性サディストだよ。まるっきりあいつに手玉に取られて、尻に敷かれてんじゃね~か。この新婚気取り」
木本:「なんとでもおっしゃってください。今はとにかく蒼太が可愛いくて、仕方ないんですから」
隼:「ねぇ。樋渡会長も、ぼくたちみたいに、純愛路線に変更したの?」
蒼太:「そうなんだよ、沢木。意外に充さん純情路線も大丈夫みたいなんだ。充さんね、歌もすごく上手いんだよ。一緒に歌ったんだ。(*⌒▽⌒*) ちいぱっぱって♪楽しかった~。」
隼:「名前呼び、できるようになったんだ……。幸せになってくださいっ。(´;ω;`)よ、良かった。ぼくも嬉しいです~」
蒼太:「色々とありがとう、沢木。君には心配も迷惑もかけたけど、今はすごく幸せだよ」
周二:「こっちは好きで、純愛やってんじゃないってのに!あっちこっちで盛り上がりやがって、下っ腹たまんねぇっ!くそおっ!腹立つっ!」
隼:「し、周二、くん?すごく怒ってる。きっともう、ぼくのこと嫌いになったんだ。うっ。ぼ、ぼくが、ちびでぴんくのぞうさんだから、いけないんだ。(´;ω;`)わ……わた……」
周二:「あっ、違うっ!待てって、誤解だ、隼~!」
隼:「・゜゜・(/□\*)・゜゜・わ、わたくし、実家に帰らせていただきます~」
沢木パパ:「お?どうした、隼。今日は遅くなるんじゃなかったのか?」
隼:「あぁ~ん 、ぱぱぁ~。周二くんが~」
沢木パパ:膝の上に抱っこしなだめながら。「ふっ。どうやらあいつは、警察車両による不慮の事故か、予期せぬ拳銃の暴発に遭遇したいみたいだな」
周二:「す、すんません、まじ、すんません。俺ら、百恵ちゃん並に、清らかな純愛させてもらってます。」
土下座~!
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懐で見上げた蒼太のまぶたに唇を落として、背筋が震うような甘い低い声で木本が告げた。
「蒼太……見てみな」
「あ」
「おまえが煽るから、こんなになっちまった。責任取れよ、蒼太」
嬉し気に目元を薄紅く染めて、蒼太は木本の頭をもたげた分身に指を伸ばした。
細い指が、木本の持ち物に絡みそっと大切に扱く。
襖絵に描かれた絢爛の四季の花々に、二本を並べてゆっくりなぞる兜合わせの影が重なり、儚くゆらと揺れた。
「やばいな。俺はどうやら、おまえの泣き顔に欲情するみたいだ。だから、つい虐めたくなる」
「……いじめっこ」
「そうだよ。俺は元々真性Sが売りだからな。Mのやつ等は俺の名前を聞いただけで女はびしょ濡れになるし、男はあそこが、おっ勃つんだよ。蒼太は優しくしても酷くしてもどのみち泣くんだから、もう甘やかすしかないよなあ……俺も、焼きが回ったもんだ」
木本のひざの間に蒼太は挟まれ、あやすようにやわやわとやわらかい器官を指でなぶられていた。
身をよじっても、甘い枷から抜け出すことはかなわない。
ほんの少し、色を濃くし蒼太の大人になりかかった容が、愛撫に応えた。
尻の下に当たるものは、とうに嵩(かさ)をあげて、熱くうねって行き場を求めている。
木本は、えぐる行為が、やっと元気になった蒼太の体力を消耗させると分かっていたから、今日はそれ以上の事はしないでおこうと決めていた。
ほんの少し、後孔に自分の先端が当たっただけで、蒼太の体が身じろぎ硬直するのが伝わってくる。
「あ……」
「もう、俺の仕事も潮時だな」
「潮時って、廃業?お仕事をやめちゃうって、こと?」
「いや。事業じゃなくて、チイパッパだけ止めるんだよ」
「ち……?地位、ぱっぱ?それ何?」
聞きなれない単語に、膝の上の蒼太が、肩越しにいぶかしげな顔を向けた。
「童謡にあるだろ。雀の学校の先生は、鞭をふりふり ちいぱっぱ……ってのが。え?蒼太、しらねぇのか」
「知りません。聞いたこと無いです。ぼく、高校入学まで米国でしたから」
「あ~、そうか」
教えてやるよといって、蒼太を膝の上に抱えて揺すりながら木本は低い声で耳元で歌った。
「生徒の雀は輪になって、お口をそろえて ちいぱっぱ♪まだまだイケない ちいぱっぱ。も一度いっしょに ちいぱっぱ♪ってんだ」
蒼太はそんな童謡、嘘だ~、あるわけない~と言って泣きながら笑いころげ、終いには一緒に歌った。
そしていつしか木本の腕の中で安心しきって静かな寝息を立て、結局まるで方法の分からない幼い恋人同士のように中途半端に身体をつないだまま夜明けをむかえた。
自分自身を蒼太からそっと抜くと、風邪を引かないように黄膚色の着物をかけてやり、木本は信頼しきった無防備な寝顔に、自分がついに堕ちたと悟った。
「お前の勝ちだ」
木本の身体の上に、蒼太が螺旋(らせん)の溝を切った気がする。
外部からのどんな力にも、ずれてほぐれぬように、溝を外側に切った雄ねじに雌ねじを被せてはめ込み動かぬようにしてしまう。
きっと、自分は蒼太と二人で一つの、硬くほぐれぬ螺子になったのだ。
互いを締め付け合う一組の螺子(ねじ)のようになって、このまま一緒にいるのが当たり前になるのだろうか。
「ねぇ……ぼくは、あなたのものだよ」
泣きながら縋り付き、必死ですべてを晒した少年に、とうに攫われているのは自覚していた。
起こさぬように細心の注意を払って、額にそっと優しく触れた。
「おれは、おまえのものだ」
SとⅯのほぐれぬ螺旋 ―【完】―
【おまけ】
周二:「ええ~~~!?まじ!?散々今まで、乳繰り合っといて、おまえら一晩中何もなかったの~!? 先っちょ挿れただけで朝までじっと抱いてたって!?木本、大丈夫か?熱とかあるんじゃねぇだろうな」
木本:「まあ、多少は色っぽい事もあったんですけどね。これから先は、あいつとしたい放題なんで、今は弱った身体を労わってやろうかな~って思いましてね」
周二:「てめぇ。どこが、真性サディストだよ。まるっきりあいつに手玉に取られて、尻に敷かれてんじゃね~か。この新婚気取り」
木本:「なんとでもおっしゃってください。今はとにかく蒼太が可愛いくて、仕方ないんですから」
隼:「ねぇ。樋渡会長も、ぼくたちみたいに、純愛路線に変更したの?」
蒼太:「そうなんだよ、沢木。意外に充さん純情路線も大丈夫みたいなんだ。充さんね、歌もすごく上手いんだよ。一緒に歌ったんだ。(*⌒▽⌒*) ちいぱっぱって♪楽しかった~。」
隼:「名前呼び、できるようになったんだ……。幸せになってくださいっ。(´;ω;`)よ、良かった。ぼくも嬉しいです~」
蒼太:「色々とありがとう、沢木。君には心配も迷惑もかけたけど、今はすごく幸せだよ」
周二:「こっちは好きで、純愛やってんじゃないってのに!あっちこっちで盛り上がりやがって、下っ腹たまんねぇっ!くそおっ!腹立つっ!」
隼:「し、周二、くん?すごく怒ってる。きっともう、ぼくのこと嫌いになったんだ。うっ。ぼ、ぼくが、ちびでぴんくのぞうさんだから、いけないんだ。(´;ω;`)わ……わた……」
周二:「あっ、違うっ!待てって、誤解だ、隼~!」
隼:「・゜゜・(/□\*)・゜゜・わ、わたくし、実家に帰らせていただきます~」
沢木パパ:「お?どうした、隼。今日は遅くなるんじゃなかったのか?」
隼:「あぁ~ん 、ぱぱぁ~。周二くんが~」
沢木パパ:膝の上に抱っこしなだめながら。「ふっ。どうやらあいつは、警察車両による不慮の事故か、予期せぬ拳銃の暴発に遭遇したいみたいだな」
周二:「す、すんません、まじ、すんません。俺ら、百恵ちゃん並に、清らかな純愛させてもらってます。」
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