流れ星に愛をこめて・2
BL KANCHORO・冬企画参加作品
【流れ星に愛をこめて・2】
それは、夕べのことだった。
「みく~、ふたご座流星群観に行こう。な?」
「やです~。」
「恋人達は、抱き合って星を観るものって法律、知らないのか?」
「その法律、遠流が作ったくせに。星なんかそっちのけで、ぼくのこと外でいじり倒す気だ。寒いから、やだ。」
図星だったらしく、視線を泳がせた。
「そんなぁ・・・じゃ、星を見る前に、暖かいところでちょっとだけ触っとく・・・。」
「・・・あ、んっ・・・!」
「よし。みくってば、本日も、感度良好。」
ぼく、柳美久(やなぎよしひさ)の恋人、松山遠流(まつやまとおる)は、本人が言うには、性器フェチだ。
大体そんなフェチが有るかどうかも、知らないけど、ズボンの上からでも相手の形状を把握できるくらい修行を積んでいるらしい。
修行って何・・・?
友人に誘われた飲み会で、何故だかやたらと絡んできた遠流に、ぼくは密かに惚れていた。
遠流の丸いとげの無い声っていうのかな。
声フェチのぼくに遠流の声は、思わず涙ぐんでしまうほど好みだった。
聞いていると安心する・・・どこか、太古の海で母親の心音を聞いている胎児の気持ちってこうじゃないかと思う。
「おまえさ、すごく俺の好みなんだけど、となり座っても良いかな?」
耳朶を甘くくすぐる遠流の声に、その日ぼくは舞い上がり、有頂天で頷いた。
この声を、眠るまでずっと聞いていたいと思った。
一方、性器フェチの遠流はズボンの上から見て想像したぼくの分身が、気になって仕様が無かったらしい。
小ぶりで感度がいい。
それが、遠流の見立てだった。
「って・・・もう、触るなって!」
「みく・・・可愛い。」
「ああぁ・・・あんっ・・」
駄目だ、最終兵器のような声なんだ。
ほおって置けば、ずっとぼくの「おちんちん」ばっかり触ってる。
遠流の声で育つ、ぼくのオメガとエル。
他の所も触れよっ!・・・じゃなかった。
双球をかわるがわる吸ってみたり、すべすべとした表皮を伸ばしてみたり。
そんな研究熱心に執着しなくても、同じもの持ってるじゃないか。
そういうと、まるで研究を妨げられた学者のような真剣な顔をする。
「俺の、こんなに可愛くないもの。」
「ちっこくて悪かったなっ!何だよ、もうっ!どうせ無毛症だよっ!」
「ぼくのばっかり触って、もうっ!遠流にはこれしか興味ないの?変態っ!」
「うん。俺、みくのこれが一等好き。」
「みくじゃない。美久(よしひさ)!あ~~~!!舐めるな~!かじるな~!」
「可愛い、みく~・・・」
わかった。
こいつは、ぼくなんかどうだっていいんだ。
オメガとエルのないぼくの事何て、きっと好きでもない・・・
くそ~!泣けてきた・・・
「やだ~!!もう、こんなのいらない~~っ!」
その時。
一瞬周囲を明るくして、一際大きな流星が天空を横ぎった。
流れ星に願い事をすると叶う・・・そんな迷信信じてはいなかったけれど。
神さまは、恋人達の願いを聞き・・・たぶんあれが原因で、ぼくのささやかなぴんくのぞうさんは、きらりと輝いて消える星屑になった(?)・・・のかも。
お星さまのばか~・・・
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BL・KANCHOROU冬企画参加作品です。
どうやら、うっかりとお星様に願い事をしてしまったみたいです。
美久の、外れてしまったさすらいのオメガエルは、ちゃんと飼い主の下に戻ってこられるのか。
此花は、ちゃんとエチになだれ込めるのか。(`・ω・´) たぶん~。
がんばります。
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