流れ星に愛をこめて・3
BL KANCHORO・冬企画参加作品
【流れ星に愛をこめて・3】
お星さまのばか・・・
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「うわわぁあああ~~~ん・・・・」
バスルームで泣き喚くぼくの事情に、遠流は意外と冷静だった。
泣いているぼくの頭を、落ち着いてシャンプーしきちんと服を着せた。
「わぁあああん・・・・遠流がいけないんだ。遠流がいっつも触ってばかりだから、オメガとエルが逃げちゃったんだ・・・ぁ・・・」
「そうだなぁ。だとしたら、みんな俺が悪いな、みく、ごめんな。」
「みくじゃない~~~わああぁぁん・・・」
「どこもかも子供みたいだ、よしひさ。」
「一緒に探してやるから、泣くなって。」
えぐえぐ・・・と、しゃくりあげながらこの上なく優しい遠流の声に浸っていた。
涙の止まらないぼくの首に腕を回して、大好きな低い甘い声でぼくをなだめる天使の声・・・
「何があっても、みくが好きだよ。」
「ほ、ほんと・・・?」
「泣き虫で甘えん坊で、俺の声が好きな、みくが好き。」
「お・・・オメガと・・・エ、エルが・・・いなくても・・・?」
恐ろしいほどまじめな声で、遠流は耳元でぼくを瞬殺した。
「いや。・・・それは、ちょっと困るかな。」
ぱんと目をみはったまま、ぼくは凍りついた。
「やっぱり・・・ぼくじゃなくても良かったんだ。」
「え・・・?」
ぼくがもし青いうさぎなら、今すぐ寂しさで死んでしまっただろう。
痛いほど胸が冷えた。
遠流の好きなおちんちんがなくなってしまったら、もう一緒に居る理由も、必要も無い。
そんな風に引導を告げられ、ぼくは黙ってぎこちなくコートに袖を通した。
夜半降り積むと天気予報が言っていた粉雪の降りしきる中、12時の鐘に追い立てられるように、ぼくは階段を駆け下りる。
「さようなら・・・。」
涙で濡れた強張った頬を、何とか向けるとぼくは別れを告げた。
さようなら、大好きな遠流。
ずっと側で、きみの声を聞いて居たかったよ・・・
「待てっ!みく~~~!誤解だ~~!」
凍えた月が、中空に懸かる。
涙で輪郭が滲んで見えた。
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BL・KANCHOROU冬企画参加作品です。
大好きなサイトさまのところに、素敵な挿絵が有ったり密かにお邪魔して連載漫画を読ませていただいていました。
どきどきで、お願いに行きましたら使用しても大丈夫とお返事いただきましたので、植木屋様の素敵なイラストお借りいたしました。
物語性のあるイラストに、ふたご座流星群の話を思いつき書いています。
このロマンチックな絵に、此花の「オメガエル」でいいのかとファンの方に叱られそうですけど、ごめんね。
後ろからぎゅ~に弱かったです。嬉しくてくるくるしてしまいます。(〃∇〃)
ありがとうございました。
版権はUEKI-YA!さまに属します。
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