砂漠の赤い糸 3
サクルは誘われて、大江戸の大通りで生まれて初めて花魁道中というものを見た。
「サクルさま。あれがこの大江戸で一番の花菱楼の雪華太夫です。」
「……雪華……」
両袖を広げると蝶の形になる不思議なキモノを着て、父王の言うとおり優美な歩き方をしていた。真っ直ぐに前を向いて八の字で歩く、美貌の雪華花魁にサクルは一目で恋に落ちた。
男女郎(おとこえし)という身体を売る稼業でありながら、彼らは決して卑しい存在ではなかった。巧みに外国語を操り、経済にも明るい。驚くべき教養の持ち主だった。
自尊心が高く、気にいらない相手とはどれほどの金を積んでも、決して同衾することはない。何でも一流でないと花魁という地位には就けないのですと、案内係がささやく。
「主さん」と、肌を合わせる相手を親しみを込めて呼び、持てる手練手管は客をめくるめく桃源郷へと誘うのだという。
雪華花魁を手に入れた時のことを想像すると、サクルの前部はいやがうえにも期待で熱く昂まった。
これまでサクルには、望んで手に入らない物など無かった。国庫は潤沢に産出される石油で潤い、世界でも有数の埋蔵量を誇る個人所有の金鉱もある。当然、大江戸でも簡単に欲しいものは手に入るはずだった。
高級娼婦にするように、少しばかり高級なものをくれてやれば、小さな異国の遊男(め)などすぐになびくだろうと思い、ブランド品の腕時計や珍しいピンクダイヤのタイピンなどを用意し、惜しげもなく贈ってやった。そんなものは、自室のキャビネットに無造作にいくらでも転がっていた。
「……御礼状が届いております。」
「は……?贈り物の主に、会いたいと言って来たのではないのか?何か他に書いてあるだろう?」
「いいえ。雪華花魁から届いたものは、印刷した礼状だけです。」
「な……っ!どれほどのものをくれてやればあの者は、なびくのだ?」
思わずかっと激昂してしまった。
「一体わたしを誰だと思っているんだ。売春夫風情がそこまで、自分を高く売るのか。管理をしている検番とやらに行って、金を積んで来い。店先で相手と同じ重さの金塊を積んでやれば、顔色も変わるだろう。どうあっても、なびかせてみせる。」
「はっ!」
皇太子に付いた用人は、王から大江戸での遊び方を教授されていた。だが、若い皇太子は意地になるばかりで、「粋」というものをまるでわかっていなかった。
やっと会えると言われて勇んで花菱楼に上がっても、いつも花魁の代わりに振袖新造が申し訳なさそうにかしこまるばかりだった。
「なぜだ……?」
サクルはその度に、激しく落胆した。
雪華花魁の欲しいものがわからず、いたずらに過ぎてゆく日々に、サクルは焦燥した。
あのね……。ちょっとショックなことがありました。
(´・ω・`) このちん……パソコンにUSBを三本挿していました。
お絵かきしたものや、HP用にお直しした小説を移動させていたのです。
こたつの上にパソコンを置いていたのですが、お醤油さしがひっくり返って、みんな濡れてしまいました。
ウワァァ-----。゚(゚´Д`゚)゚。-----ン!!!片づけてなかった~!
とりあえずパソコンに保存してあったものは、まだ消していなかったけど、もう復活しないかな……。
こたつの中で乾燥中です。(´・ω・`) あんぽんたん……。