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小説・若様と過ごした夏・22 

「あ、真子。」


「何かあったの?二人して・・・」


「うん、後でね。」


二人の視線は、小さな若様に注がれていた。


あたしが帰った後、お寺で何を聞いてきたんだろう・・・?


篠塚家の大法要は、例年通りの日程で行われるらしい。


近隣の元家臣とか、領民とか今更そんなことまだ言ってるの?と言いたくなるけど、その人たちにとっても、先祖の命日が同じなので、集まりはちょっとしたお祭りのようになる。


今までずっと夏休み中に有ったはずなのに、あたしときたらこれまでずっと純粋に夏祭りだと思いこんでたのね。


・・・何も知らない、ばかな真子。


今年はちょうど400年目ということで、これまでずっとしまわれていた家系図などもお披露目されるらしく、佳奈叔母さんとママは一足先に見てきたそうだけど・・・


そこに宗太郎の名前を見つけて、泣けたらしかった。


「だってね~、篠塚宗太郎って、うちの宗と同じ名前なんだもの。」


宗ちゃんと同じ名前の、6代目の篠塚家のお殿様は、あのちんまりとした若様のことだ。


二人はあたしが席を外した後、家系図を見せてもらったそうだ。


現代まで連綿と続く篠塚の一族。


長子、篠塚宗太郎正英の名の下には、妻と子の名前が記載されていたらしい。


そこから長く続く、篠塚家。


若様は6歳で亡くなったはずなのに・・・?


何で、妻子がいるの?


おかしいです・・・

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