小説・若様と過ごした夏・36
あたしは、宗ちゃんを呼びに篠塚の家へ走った。
宗ちゃん。
宗ちゃんが、佳奈叔母さんの記憶の鍵なの。
佳奈叔母さんは、若様のお母さんの生まれ変わりなの。
情報が多すぎて、筋道立てて話をするのは、あたしの脳みそには不可能だった。
お寺へ向かう道中、思いつく限りの話を宗ちゃんに浴びせ、宗ちゃんは何となく理解したらしかった。
宗ちゃんは双子で生まれて、片方の兄弟が亡くなったというのも知らなかったらしい。
だとすると、宗ちゃんは若様の兄上の生まれ変わりなのかもしれなかった。
繰り返される兄弟の死。
封印され続ける、若様の記憶。
いつしか生まれてくる子供が、一人亡くなってしまうことに慣れてしまった奥方様。
哀しみの輪廻は、あたしの生まれるうんと前から続いていたのだ・・・
「で?
俺は、母さんに何ていえばいいんだ?」
早足で急ぎながら、あたしと宗ちゃんは相談していた。
「若様に、佳奈叔母さんの事、お母さんって呼んでもらったらどうかな。」
「それでもし、母さんがこんな子知らないって言ったら、どうするんだ、真子。」
「う~・・・そこまで考えてないよ~。」
「母さんに、俺の片割れが亡くなった覚えは、あるのか?」
「たぶん・・・その辺はおばあちゃんが話してくれてると思う。
でも、怪しかった。」
「あっ、やば。若様が・・・憑く・・・」
え~~!?
「宗ちゃんっ!駄目だって!」
「気を確かに持ってよっ。今、若様が入ったら、困ったことに・・・」
宗ちゃんの、雰囲気が変わった・・・
うわ~、若様来ちゃったよ・・・
「真子。探したぞ。」
「うん、あたしも。」(棒読み)
「お芳が、母上に会わせてくれると言ったから、なにやら今日は、気持ちが浮き立つようなのじゃ。」
「若様は、お母さんの顔を覚えている?」
「・・・会えば判ると思う。
母上は、お体が丈夫ではなくてわたしは数えるほどしか会ってはおらぬ。」
縁の薄い親子のようだった・・・
宗ちゃん。
宗ちゃんが、佳奈叔母さんの記憶の鍵なの。
佳奈叔母さんは、若様のお母さんの生まれ変わりなの。
情報が多すぎて、筋道立てて話をするのは、あたしの脳みそには不可能だった。
お寺へ向かう道中、思いつく限りの話を宗ちゃんに浴びせ、宗ちゃんは何となく理解したらしかった。
宗ちゃんは双子で生まれて、片方の兄弟が亡くなったというのも知らなかったらしい。
だとすると、宗ちゃんは若様の兄上の生まれ変わりなのかもしれなかった。
繰り返される兄弟の死。
封印され続ける、若様の記憶。
いつしか生まれてくる子供が、一人亡くなってしまうことに慣れてしまった奥方様。
哀しみの輪廻は、あたしの生まれるうんと前から続いていたのだ・・・
「で?
俺は、母さんに何ていえばいいんだ?」
早足で急ぎながら、あたしと宗ちゃんは相談していた。
「若様に、佳奈叔母さんの事、お母さんって呼んでもらったらどうかな。」
「それでもし、母さんがこんな子知らないって言ったら、どうするんだ、真子。」
「う~・・・そこまで考えてないよ~。」
「母さんに、俺の片割れが亡くなった覚えは、あるのか?」
「たぶん・・・その辺はおばあちゃんが話してくれてると思う。
でも、怪しかった。」
「あっ、やば。若様が・・・憑く・・・」
え~~!?
「宗ちゃんっ!駄目だって!」
「気を確かに持ってよっ。今、若様が入ったら、困ったことに・・・」
宗ちゃんの、雰囲気が変わった・・・
うわ~、若様来ちゃったよ・・・
「真子。探したぞ。」
「うん、あたしも。」(棒読み)
「お芳が、母上に会わせてくれると言ったから、なにやら今日は、気持ちが浮き立つようなのじゃ。」
「若様は、お母さんの顔を覚えている?」
「・・・会えば判ると思う。
母上は、お体が丈夫ではなくてわたしは数えるほどしか会ってはおらぬ。」
縁の薄い親子のようだった・・・
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