漂泊の青い玻璃 13
琉生は母と別れ、尊と隼人と三人で、前方の席に座った。
「琉生くん、ほら、こっちこっち。」
「お~、やるなぁ、隼人。いい席じゃないか。」
「きゅうこうじゃーが好きだって言ってたからさ、前の方が喜ぶって思ったんだ。ほら、ここならレッドがすぐ傍を通るだろ。琉生くんは、ここの通路側に座るんだよ。」
「うん。」
「おれたちは、すぐ横の席にいるからね、何かあったらすぐに隣りの尊お兄ちゃんに言うんだよ。」
「わかった~。」
運動神経の良い隼人は、人の群れをかいくぐって走り、うまく中央の席を3つキープしていた。
開演のベルが鳴り響き、真正面に白いドライアイスの煙と共に、琉生の大好きな天光戦隊きゅうこうじゃーが現れた。
「求めた光をまといし正義の伝道師、きゅうこうじゃー見参!」
ポーズを決めた、5人揃ったきゅうこうじゃーの姿に、琉生は思わず足をばたつかせ声を上げた。
「ぅわ~っ!」
「尊兄ちゃん、ほら。あいつ、すっごい喜んでる。」
「ほんとだ。」
尊と隼人は戦隊ショーよりも、初めて会った琉生の動向の方が気になる様だ。
「求光の力で、必ず悪を倒す!来い!」
5人の戦士が手にした輝く光の武器、きゅうこうブラスターで、地球征服を狙う怪人を次々に倒してゆく。
初めて見る生の舞台に、夢見心地の琉生は、身を乗り出して一生懸命声援を送った。
やがてレッドは、卑怯な敵の罠に落ち、右腕を痛めて絶体絶命のピンチを迎えた。
「ここがお前の墓場だな、きゅうこうレッド!」
「くっ……きゅうこうブラスターの引き金さえ弾けたら……この手がっ……!」
「ふははは。きゅうこうブラスターの無いレッドなど、こうしてくれる。」
「ぐわぁーーっ!」
怪人は傷めた右腕を踏みつけた。
敵の前に倒れたレッドを心配して、子供たちの悲鳴が上がる。心配のあまり、琉生も思わずその場に立ち上がっていた。
「レッド~!がんばれ~!」
悲痛な音楽が、いやがおうにも臨場感を盛り上げてゆく。
「みんなの応援が足りないよ!せ~の!きゅうこうじゃーレッド、がんばれ~!」
「がんばれ~!」
「もっとだよ!せ~の!きゅうこうじゃーレッド、がんばれ~!」
「がんばれ~!」
進行役のお姉さんが、上手く子供たちを乗せてゆく。
やがてレッドは逃げ惑いながら、琉生のすぐ傍の通路まで逃げてきた。琉生は間近で本物の(と、琉生は思っている)きゅうこうブラスターを見て目を丸くしている。
進行役のお姉さんが、「そこの君」と琉生を指さした。
「レッド!こうなったら、お友達に応援を頼もう!お友達はきっとレッドの事を助けてくれるよ!」
どうやら、隼人の手に入れた席は、ショーに参加できる子供を選ぶ特別な席だったらしい。事前にショーへの参加を求められた隼人が、代わりに琉生を参加させることにしていた。
「応援してくれるのか?」
琉生はこくりと頷いた。
選ばれた戦士となった琉生は、レッドと共に引き金を引き、怪人を倒すことになった。
「君も共に戦ってくれ!僕は右手を傷めてしまったんだ。きゅうこうブラスターの引き金が引けないんだ。頼む。」
他のきゅうこうじゃーもやってきて、琉生を励ました。
「怪人をめがけて、5つのきゅうこうブラスターで一斉に攻撃するんだ。がんばってくれ!君なら出来る!」
「僕らと共に力を合わせて、地球を守ろう。」
「行くわよ!」
「……らじゃ!」
大人しい琉生が、戦隊の敬礼を返したのに後方にいる母は驚いたが、琉生は真剣だった。本気できゅうこうじゃーと共に怪人と戦うつもりだった。
「今だ!撃てーっ!」
4人のきゅうこうじゃーと琉生の撃ったきゅうこうブラスターは、一つの眩い閃光となり怪人に命中した。
大量の白煙に包まれて、敵は断末魔の叫びをあげた。
「やった~!」
「当たった~!」
周囲の子供たちから喝采を受け、琉生の頬は紅潮していた。
「ありがとう!君のおかげで怪人をやっつけることができたよ。君の名前は?」
「大槻琉生。」
「琉生くん、勇気をありがとう。これからも応援よろしくな!」
「また、逢おう!」
「らじゃ!」
琉生にとって、まるで夢のような時間だった。
本日もお読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃)
きゅうこうじゃーの戦隊ショーで琉生は大盛り上がりです。
(*/∇\*) キャ~「琉生くん、レッドを助けた~」
(`・ω・´)「ありがとう。君のおかげで地球は救われた。」
\(\o-)ヘン~(-o/)ゝシンッ!!\(`O´)/トウ!!
(〃^∇^)「きゃあ~」
ほのぼのとした戦隊ショーです。今は素顔の戦隊ショーは中々チケット取れないみたいですね~
「琉生くん、ほら、こっちこっち。」
「お~、やるなぁ、隼人。いい席じゃないか。」
「きゅうこうじゃーが好きだって言ってたからさ、前の方が喜ぶって思ったんだ。ほら、ここならレッドがすぐ傍を通るだろ。琉生くんは、ここの通路側に座るんだよ。」
「うん。」
「おれたちは、すぐ横の席にいるからね、何かあったらすぐに隣りの尊お兄ちゃんに言うんだよ。」
「わかった~。」
運動神経の良い隼人は、人の群れをかいくぐって走り、うまく中央の席を3つキープしていた。
開演のベルが鳴り響き、真正面に白いドライアイスの煙と共に、琉生の大好きな天光戦隊きゅうこうじゃーが現れた。
「求めた光をまといし正義の伝道師、きゅうこうじゃー見参!」
ポーズを決めた、5人揃ったきゅうこうじゃーの姿に、琉生は思わず足をばたつかせ声を上げた。
「ぅわ~っ!」
「尊兄ちゃん、ほら。あいつ、すっごい喜んでる。」
「ほんとだ。」
尊と隼人は戦隊ショーよりも、初めて会った琉生の動向の方が気になる様だ。
「求光の力で、必ず悪を倒す!来い!」
5人の戦士が手にした輝く光の武器、きゅうこうブラスターで、地球征服を狙う怪人を次々に倒してゆく。
初めて見る生の舞台に、夢見心地の琉生は、身を乗り出して一生懸命声援を送った。
やがてレッドは、卑怯な敵の罠に落ち、右腕を痛めて絶体絶命のピンチを迎えた。
「ここがお前の墓場だな、きゅうこうレッド!」
「くっ……きゅうこうブラスターの引き金さえ弾けたら……この手がっ……!」
「ふははは。きゅうこうブラスターの無いレッドなど、こうしてくれる。」
「ぐわぁーーっ!」
怪人は傷めた右腕を踏みつけた。
敵の前に倒れたレッドを心配して、子供たちの悲鳴が上がる。心配のあまり、琉生も思わずその場に立ち上がっていた。
「レッド~!がんばれ~!」
悲痛な音楽が、いやがおうにも臨場感を盛り上げてゆく。
「みんなの応援が足りないよ!せ~の!きゅうこうじゃーレッド、がんばれ~!」
「がんばれ~!」
「もっとだよ!せ~の!きゅうこうじゃーレッド、がんばれ~!」
「がんばれ~!」
進行役のお姉さんが、上手く子供たちを乗せてゆく。
やがてレッドは逃げ惑いながら、琉生のすぐ傍の通路まで逃げてきた。琉生は間近で本物の(と、琉生は思っている)きゅうこうブラスターを見て目を丸くしている。
進行役のお姉さんが、「そこの君」と琉生を指さした。
「レッド!こうなったら、お友達に応援を頼もう!お友達はきっとレッドの事を助けてくれるよ!」
どうやら、隼人の手に入れた席は、ショーに参加できる子供を選ぶ特別な席だったらしい。事前にショーへの参加を求められた隼人が、代わりに琉生を参加させることにしていた。
「応援してくれるのか?」
琉生はこくりと頷いた。
選ばれた戦士となった琉生は、レッドと共に引き金を引き、怪人を倒すことになった。
「君も共に戦ってくれ!僕は右手を傷めてしまったんだ。きゅうこうブラスターの引き金が引けないんだ。頼む。」
他のきゅうこうじゃーもやってきて、琉生を励ました。
「怪人をめがけて、5つのきゅうこうブラスターで一斉に攻撃するんだ。がんばってくれ!君なら出来る!」
「僕らと共に力を合わせて、地球を守ろう。」
「行くわよ!」
「……らじゃ!」
大人しい琉生が、戦隊の敬礼を返したのに後方にいる母は驚いたが、琉生は真剣だった。本気できゅうこうじゃーと共に怪人と戦うつもりだった。
「今だ!撃てーっ!」
4人のきゅうこうじゃーと琉生の撃ったきゅうこうブラスターは、一つの眩い閃光となり怪人に命中した。
大量の白煙に包まれて、敵は断末魔の叫びをあげた。
「やった~!」
「当たった~!」
周囲の子供たちから喝采を受け、琉生の頬は紅潮していた。
「ありがとう!君のおかげで怪人をやっつけることができたよ。君の名前は?」
「大槻琉生。」
「琉生くん、勇気をありがとう。これからも応援よろしくな!」
「また、逢おう!」
「らじゃ!」
琉生にとって、まるで夢のような時間だった。
本日もお読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃)
きゅうこうじゃーの戦隊ショーで琉生は大盛り上がりです。
(*/∇\*) キャ~「琉生くん、レッドを助けた~」
(`・ω・´)「ありがとう。君のおかげで地球は救われた。」
\(\o-)ヘン~(-o/)ゝシンッ!!\(`O´)/トウ!!
(〃^∇^)「きゃあ~」
ほのぼのとした戦隊ショーです。今は素顔の戦隊ショーは中々チケット取れないみたいですね~
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