小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・2
身体の不自由な俺の母親を引き取って以来、妻はパートの仕事を止め、一切の介護を買って出た。
長男夫婦から聞かされる、毎日の愚痴にいささか参っていた俺は、まるで渡りに船とばかりに妻の好意に甘え、世話を押し付けてしまった。
年を経て住居を移したにも関わらず、少し痴呆の始まった母親は、幼い子どものように妻になついた。
お袋は言った。
「この家に来て、幸せだねぇ。みんな、優しいねぇ。」
目尻に浮かぶ涙を見たとき、引き取ってよかったと俺も、妻の美千代も心から思った。
息子の愁都もおばあちゃんを大好きだといっていた。
その日の仕事の帰り、俺は同僚に勧められるまま、赤提灯で冷酒をあおっていた。
一杯引っ掛けて、帰りは車で迎えに来てくれと、電話をするつもりだった。
いつもどおりに・・・
だが・・・
その日から俺の「いつも」は、永遠に無くなった。
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長男夫婦から聞かされる、毎日の愚痴にいささか参っていた俺は、まるで渡りに船とばかりに妻の好意に甘え、世話を押し付けてしまった。
年を経て住居を移したにも関わらず、少し痴呆の始まった母親は、幼い子どものように妻になついた。
お袋は言った。
「この家に来て、幸せだねぇ。みんな、優しいねぇ。」
目尻に浮かぶ涙を見たとき、引き取ってよかったと俺も、妻の美千代も心から思った。
息子の愁都もおばあちゃんを大好きだといっていた。
その日の仕事の帰り、俺は同僚に勧められるまま、赤提灯で冷酒をあおっていた。
一杯引っ掛けて、帰りは車で迎えに来てくれと、電話をするつもりだった。
いつもどおりに・・・
だが・・・
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