星月夜の少年人形 28
優月は、戸惑っていた。
優生以外の男に、大人のキスをされた。
追い詰められて吐精した。
どこを触られても反応し感じ、ぶってしまった。
倒れ込んだ優月の頭上で・・・カシャと機械音が響く。
振り返れば、見せられた桃李か紘一郎の携帯に、固く目を閉じた自分の全身が写っていた。腹の上に吐き出したものが散っている扇情的な写真を見て、優月は焦った。
「や・・・やめて。こんな写真、撮らないで。消して、桃李くん。」
「何言ってんの。これから使うんだろ!」
肘で優月を押しのけて、桃李が保存しちゃったと片眉を上げて笑う。どこか、昨夜と雰囲気の違う少年の表情に、優月は凍りついた。
「使う・・・って、なに?どうするの?」
意外だと言う風に、部屋の住人二人は顔を見合わせた。
「そんな顔するなって。仕事に使うんだよ。優月は可愛い顔しているから、きっとすぐに良い買い手もすぐに付くさ。」
「買い手・・・って?」
恐ろしい言葉に、心臓が痛む。
「家に帰りたくないんだろう?・・・違うのか?」
帰りたくないのは仮住まいのホテルの部屋に・・・だ。逢いたくないのは、全てを見透かしたように冷たい顔をした榊原という男だ。
「大好きな優成さんに会えない理由があるんだろう?・・・違うのか?」
違わない。二人の言うとおりだった。
白濁に汚れた身体のまま、薄く涙を浮かべた優月は、ぼんやりと所在無げに二人を見上げていた。
「夕べ言ったこと、覚えてないかな・・・俺らは「星月夜」の「少年人形」なんだ。いい子にして、お金持ちの大人達に遊んでもらうのさ。」
「優月みたいに、汚れていない無垢な人形を欲しがる奴等ばっかりなんだ。こなれて来ると、桃李みたいに色々なことができるようになるけどね。優月は何もしないで転がってればいいよ。水揚げされた冷凍マグロみたいにね。」
優月の唇に、軽くちゅっと音を立てて桃李が小鳥のキスを落とした。
親切にしてもらったと思っていたが、優月の知らない世界に誘おうとする案内人に優月は怖じていた。きっと、この綺麗な人形たちの住む世界に踏み込んでしまったら、お日さまの当たる世界に住む優成の元へは帰ってくれなくなる。
優月の頬から、血の気が失せた。
「優月、これ見てみな。うまく撮れてるだろう。」
「何?あ、本当だ、優月、すごく可愛いじゃん。」
肩に桃李の腕がかかり、ぐいと押された。
紘一郎の操るパソコン画面に、優月と桃李、紘一郎の三人の姿が映し出されていた。
上手く正面に優月の肢体が入るように、幾度となくさり気なく体位が換えられていた。優月の中心に揺れる印は、喜んでいるように見える。
「優月のちっこい玉も棹も、ちゃんと見えるように膝を立てさせてる。うまいね、紘ちゃん・・・。」
優月は立っていられなかった。「いつの間に・・・こんな・・・」食い入るように見つめるパソコン画面の中に、自分が顏こそ薄くぼかされているものの、知り合いが見れば一目で優月とわかるのではないかと思う。薄赤く色を変えた筒身を振りたてて、音声の無い画面の中の少年は、ぜんまい仕掛けで踊る白い陶器の人形のように見える。
ぜんまいが動いている間、ゆらゆらと揺れ続けやがて緊張を解き、褥に沈んだ。
「なんだ、花村さん。こっちの画像はすべて削除しろってさ、つまんねぇの。」
優月の見ている前で、映像は削除されたらしい。
「こういうの流出させるのを、花村さんはすげぇ嫌うんだよ。流しちゃえば金になるのにね。」
「あの人、頭いいからね、ただの削除じゃ足が付くからって、決して履歴に残らない方法知ってるらしいよ。」
「へぇ・・・。さすがだね。」
優月は制服の入った紙袋を持たされて、帰宅を許された。ふわふわと雲の上を歩いているような気がする。
紘一郎が耳元に舌を差し入れささやいた。
「なぁ、深く考える事じゃないって。優月は今「学生」だろ。学生が「男娼」になるだけだぜ。つまらない学生なんてやめちまえよ。」
ふるふると優月は首を振った。
「・・・駄目。そんなこと・・・優成さんに顔向けできない・・・。」
「感じてたくせに。」
きつい視線で、桃李が優月を威嚇した。
「連絡するからな!」
ヾ(。`Д´。)ノ 優月:「こら~!!このはな、王道はどうした!ハピエンはどうした~~!」
(°∇°;) 此花:「あ…あの…もうちょっと頑張ってくれたら、たぶん・・・」
( *`ω´) 優月:「むぅ~・・こいつ~」
(`・ω・´) 此花:「信じて!」←嘘くせぇ…
拍手もポチもありがとうございます。
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コメント、感想等もお待ちしております。 此花咲耶
優生以外の男に、大人のキスをされた。
追い詰められて吐精した。
どこを触られても反応し感じ、ぶってしまった。
倒れ込んだ優月の頭上で・・・カシャと機械音が響く。
振り返れば、見せられた桃李か紘一郎の携帯に、固く目を閉じた自分の全身が写っていた。腹の上に吐き出したものが散っている扇情的な写真を見て、優月は焦った。
「や・・・やめて。こんな写真、撮らないで。消して、桃李くん。」
「何言ってんの。これから使うんだろ!」
肘で優月を押しのけて、桃李が保存しちゃったと片眉を上げて笑う。どこか、昨夜と雰囲気の違う少年の表情に、優月は凍りついた。
「使う・・・って、なに?どうするの?」
意外だと言う風に、部屋の住人二人は顔を見合わせた。
「そんな顔するなって。仕事に使うんだよ。優月は可愛い顔しているから、きっとすぐに良い買い手もすぐに付くさ。」
「買い手・・・って?」
恐ろしい言葉に、心臓が痛む。
「家に帰りたくないんだろう?・・・違うのか?」
帰りたくないのは仮住まいのホテルの部屋に・・・だ。逢いたくないのは、全てを見透かしたように冷たい顔をした榊原という男だ。
「大好きな優成さんに会えない理由があるんだろう?・・・違うのか?」
違わない。二人の言うとおりだった。
白濁に汚れた身体のまま、薄く涙を浮かべた優月は、ぼんやりと所在無げに二人を見上げていた。
「夕べ言ったこと、覚えてないかな・・・俺らは「星月夜」の「少年人形」なんだ。いい子にして、お金持ちの大人達に遊んでもらうのさ。」
「優月みたいに、汚れていない無垢な人形を欲しがる奴等ばっかりなんだ。こなれて来ると、桃李みたいに色々なことができるようになるけどね。優月は何もしないで転がってればいいよ。水揚げされた冷凍マグロみたいにね。」
優月の唇に、軽くちゅっと音を立てて桃李が小鳥のキスを落とした。
親切にしてもらったと思っていたが、優月の知らない世界に誘おうとする案内人に優月は怖じていた。きっと、この綺麗な人形たちの住む世界に踏み込んでしまったら、お日さまの当たる世界に住む優成の元へは帰ってくれなくなる。
優月の頬から、血の気が失せた。
「優月、これ見てみな。うまく撮れてるだろう。」
「何?あ、本当だ、優月、すごく可愛いじゃん。」
肩に桃李の腕がかかり、ぐいと押された。
紘一郎の操るパソコン画面に、優月と桃李、紘一郎の三人の姿が映し出されていた。
上手く正面に優月の肢体が入るように、幾度となくさり気なく体位が換えられていた。優月の中心に揺れる印は、喜んでいるように見える。
「優月のちっこい玉も棹も、ちゃんと見えるように膝を立てさせてる。うまいね、紘ちゃん・・・。」
優月は立っていられなかった。「いつの間に・・・こんな・・・」食い入るように見つめるパソコン画面の中に、自分が顏こそ薄くぼかされているものの、知り合いが見れば一目で優月とわかるのではないかと思う。薄赤く色を変えた筒身を振りたてて、音声の無い画面の中の少年は、ぜんまい仕掛けで踊る白い陶器の人形のように見える。
ぜんまいが動いている間、ゆらゆらと揺れ続けやがて緊張を解き、褥に沈んだ。
「なんだ、花村さん。こっちの画像はすべて削除しろってさ、つまんねぇの。」
優月の見ている前で、映像は削除されたらしい。
「こういうの流出させるのを、花村さんはすげぇ嫌うんだよ。流しちゃえば金になるのにね。」
「あの人、頭いいからね、ただの削除じゃ足が付くからって、決して履歴に残らない方法知ってるらしいよ。」
「へぇ・・・。さすがだね。」
優月は制服の入った紙袋を持たされて、帰宅を許された。ふわふわと雲の上を歩いているような気がする。
紘一郎が耳元に舌を差し入れささやいた。
「なぁ、深く考える事じゃないって。優月は今「学生」だろ。学生が「男娼」になるだけだぜ。つまらない学生なんてやめちまえよ。」
ふるふると優月は首を振った。
「・・・駄目。そんなこと・・・優成さんに顔向けできない・・・。」
「感じてたくせに。」
きつい視線で、桃李が優月を威嚇した。
「連絡するからな!」
ヾ(。`Д´。)ノ 優月:「こら~!!このはな、王道はどうした!ハピエンはどうした~~!」
(°∇°;) 此花:「あ…あの…もうちょっと頑張ってくれたら、たぶん・・・」
( *`ω´) 優月:「むぅ~・・こいつ~」
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