小説・蜻蛉の記(貴久の心)・3
足の先が、むず痒い。
そっと手を伸ばそうとして、思わず歯を食いしばった。
ほんの少し手を伸ばそうと思っただけなのに、ままならない・・・
一瞬、心が暗いものに覆われた。
足は・・・?
わたしの、足は・・・?
懸命に鈍い感覚を探った。
・・・足は在る。
ほんの少し、安堵の息を吐いた。
気は急くが、身体は思うようにならず重石をかけられて、蒲団にはりつけにされたようだった。
内心、感づいたことが有ったが否定したかった。
渾身の力を込めて、蒲団を引き上げる。
鉛のように重い羽二重は、普段軽すぎて良く滑り落ちて困ると思っていた。
指先に見当を付けて、太ももをつねってみた。
感覚はない。
鳩尾を触った。
腹の筋肉が押し戻した。
股間に触れてみた。
触れている意識はあっても、何の感覚もない。
帳は、黒く全身を包み込み、天井が自分を押しつぶすために落ちてくるようだ。
そっと手を伸ばそうとして、思わず歯を食いしばった。
ほんの少し手を伸ばそうと思っただけなのに、ままならない・・・
一瞬、心が暗いものに覆われた。
足は・・・?
わたしの、足は・・・?
懸命に鈍い感覚を探った。
・・・足は在る。
ほんの少し、安堵の息を吐いた。
気は急くが、身体は思うようにならず重石をかけられて、蒲団にはりつけにされたようだった。
内心、感づいたことが有ったが否定したかった。
渾身の力を込めて、蒲団を引き上げる。
鉛のように重い羽二重は、普段軽すぎて良く滑り落ちて困ると思っていた。
指先に見当を付けて、太ももをつねってみた。
感覚はない。
鳩尾を触った。
腹の筋肉が押し戻した。
股間に触れてみた。
触れている意識はあっても、何の感覚もない。
帳は、黒く全身を包み込み、天井が自分を押しつぶすために落ちてくるようだ。
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