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さだかつくんの恋人 14 

母も帰り道、何度も大二郎が次の興行地へ向かうことを伝えようとしたが、できなかった。
家に帰ってきても、紅潮した頬で、父にどれほど大二郎が上手に踊ったか、醍醐と揃って踊った人形振りが本物の人形のようだったか、一生懸命語っていた。
禎克が湊とお風呂に行った隙に、母は切り出した。

「困ったわ~、わたし、大二郎くんが行ってしまうこと、さあちゃんにとうとう言えなかったの。」

「そうか、それは困ったね。言わないわけにはいかないだろう?」

「そうなの。でも、絶対ショックを受けると思うのね。あの子、大二郎くんの事大好きなの。」

夫婦は密かに話し合ったが、結局悩んだ挙句、幼稚園に行けば川俣先生が何とかしてくれるだろうと、前向きに丸投げすることにした。

「もう、それしかないだろう?」

「ええ。とてもじゃないけど、明日から大二郎くんが幼稚園に来ないなんて、私には言えないわ。だってさあちゃんったら、明日も一緒に遊ぶんだ~って、すごく楽しみにしているんだもの。」

「えらくまた、気に入ったものだね。ぼくは会ったことないけど、大二郎くんってどんな子?」

「そうねぇ……。醍醐さんをそのまま小さくした感じ?大人びているけど人懐っこくて、すごく可愛いの。二人で手をつないでお客様にお花を渡したりね、いい子よ。」

「そうか。禎克も、なかなか人を見る目が有るじゃないか。」

「あなたに似たのね。」

いつしか空気が甘くなった。

「君に似たんだよ。でも、面食いな所はぼくに似たかな。」

「うふふ~。あなたったら~。」

……ばかっぷるだった。

*****

禎克は今朝も早起きをし、青いスモックを手に入れた。今日こそ二人でレゴブロックで遊ぶんだと張り切っている。大人しい禎克が、朝から珍しく饒舌だった。

「おとうさんっ、今度のおやすみも、大二郎くんのお芝居観に行ってもいい?」

「さあちゃんは、お芝居が好きになったのか?」

「うん。ぼく、大二郎くんと大二郎くんのお父さんの出ているお芝居が好き。」

「そうか……。いつか見に行こうな。」

「……?ホテルのお芝居だよ?商店街の坂の直ぐ上だもん、ぼく一人でも行けるよ。」

「ああ……そうだったな。」

母と父は困ったような顔をして、何故か話を逸らせた。




(*´・ω・)(・ω・`*)お父さん「どうする?」お母さん「どうしましょう……」

明日、どうなるさあちゃん……(´・ω・`) 泣くんだろうなぁ……。

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