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小説・若様と過ごした夏・4 

「真子ちゃん、叔母さん早めに仕事終わらせるから、帰ったらお墓参りに一緒に行っとく?」


「そうします。」


もうしばらくたてば、もっと打ち解けるんだけど、着いたばかりは、毎年照れくさくて何となくぎこちないあたし。


あ、そういえば佳奈叔母さんには、あたしより一つ上の息子の宗ちゃん(従兄弟)がいるんだよね。


佳奈叔母さんに似て、惚れ惚れするほど顔だけは美人さんだったけど・・・


残念なことに、性格が悪かった。


よく言えば、子供っぽいのだ。


ほんの何年か前まで、かえるを背中に入れられたり、寝ている間に顔に落書きされたりなんて、おばあちゃんちにいる間は日常茶飯事だった。


ちょっとは成長してるのかな。


・・・あ、ちょっと気が重くなってきた・・・


佳奈叔母さんが仕事から帰るまで、あたしはおばあちゃんちであてがわれた自分の部屋に、荷物を運んだ。


といっても、他の荷物は先に送ってあるから、小さなボストンバッグだけだけど。


昔は、ママが使っていたという部屋は、二階の角部屋で風通しと眺めがすごくよかった。


「失礼しま~す・・・」


おざなりに、小さく声だけかけて部屋に入った・・・!


風の入る部屋の窓際のベッドで、あたしの天敵が丸まって熟睡していた。


物音に気が付いたのか、眩しそうに片目を開けた。

「そこな・・女中・・・ずが・・た・かい・・」


図画・・・大会・・?


なんだ、それ?


夏休みの、宿題かい?

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