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小説・若様と過ごした夏・7 

「誰が女中だ、こら~!」


目を開けたら、心配そうな顔がいくつものぞきこんでいた。


・・・一部不適切な、今の暴言は忘れてください、ごめんなさい。


おばあちゃん、心配かけてごめんね。


佳奈叔母さん、あたしは大丈夫。


脳みそやられた綺麗なだけがとりえの従兄弟の、宗ちゃん。


そして、その横に、宗ちゃんが子供の頃の顔した男の子がいた。


「え~と・・・?あれっ?」


「・・・佳奈叔母さん、宗ちゃんの弟いたっけ?」


全員が顔を見合わせた。


「真子ちゃん、見えるの?」


「見えるのって・・・?

そこに宗ちゃんに似た小さな男の子がいるじゃん。」


学芸会の何かの役なのか、時代劇のお侍さんの子供みたいな格好してる。


「真子!やっぱりおまえも、篠塚の血ィ引いてんだな。」


「宗ちゃん、元に戻ったの?」


「バカたれ。

さっきまでの俺は、もれなくこいつに憑かれてたんだよ。」


こいつって・・?


「篠塚信綱が一子、篠塚宗太郎正英と申す。」


ちんまりとした、お侍のちび宗ちゃんが頭を下げてそう言った・・・


絶句。

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