小説・若様と過ごした夏・5
「うつけものめが。・・・頭が高いと言ったのじゃ。」
「はあ・・・?」
こちらに向けた顔だけがとりえの宗ちゃんは、脳みそをこの暑さでやられたに違いなかった。
「今年もお世話になります。よろしくね。」
・・・さっさと、そこからどいてくれないかな。
あたしは、汗かいた服を着替えたいの。
「女中。名は何と申す?」
従兄弟の宗ちゃんは、どうやら完璧におかしくなったみたいだった・・・
後ずさったあたしは、階下に向かって叫んだ。
「おばあちゃーん!大変よ!」
「宗ちゃん、熱射病みたい!」
「病院に、行った方がいいと思うーっ!」
「・・・驚かせて、ごめんね、真子ちゃん。」
帰ってきた佳奈叔母さんは、ちょっぴり暗かった。
確かに一人息子があんな風じゃ、あたしだって落ち込むわ~・・・
何でも、最近時々ああなるらしい。
お気の毒なことです・・・
ご同情致します・・・
「驚いたの。あたしの事、女中だって言ってたよ。
後ね、図画大会ってなんなの?」
「・・・・真子ちゃん、それはきっと「頭が高い」って言ったのよ・・・」
佳奈叔母さんは、仏間から線香を持ってきた。
それ以上聞けないで、あたしは後ろを付いてゆく。
頭が高いってなんなの?
テレビの水戸黄門だっけ?
この紋所が目に入らぬか~!
入るか~っての。
高さのある裏山の中腹を広く削り取って、篠塚家の代々墓は立っていた。
ご先祖様は、この辺りのお殿様だったらしい。
だから古いお墓といっても、そこはかなり立派なこしらえになっている。
今は分家の方が羽振りがよくなったけど、本家は墓守だけはきちんとするものらしく、綺麗に掃き清められて、掃除が行き届いていた。
「はあ・・・?」
こちらに向けた顔だけがとりえの宗ちゃんは、脳みそをこの暑さでやられたに違いなかった。
「今年もお世話になります。よろしくね。」
・・・さっさと、そこからどいてくれないかな。
あたしは、汗かいた服を着替えたいの。
「女中。名は何と申す?」
従兄弟の宗ちゃんは、どうやら完璧におかしくなったみたいだった・・・
後ずさったあたしは、階下に向かって叫んだ。
「おばあちゃーん!大変よ!」
「宗ちゃん、熱射病みたい!」
「病院に、行った方がいいと思うーっ!」
「・・・驚かせて、ごめんね、真子ちゃん。」
帰ってきた佳奈叔母さんは、ちょっぴり暗かった。
確かに一人息子があんな風じゃ、あたしだって落ち込むわ~・・・
何でも、最近時々ああなるらしい。
お気の毒なことです・・・
ご同情致します・・・
「驚いたの。あたしの事、女中だって言ってたよ。
後ね、図画大会ってなんなの?」
「・・・・真子ちゃん、それはきっと「頭が高い」って言ったのよ・・・」
佳奈叔母さんは、仏間から線香を持ってきた。
それ以上聞けないで、あたしは後ろを付いてゆく。
頭が高いってなんなの?
テレビの水戸黄門だっけ?
この紋所が目に入らぬか~!
入るか~っての。
高さのある裏山の中腹を広く削り取って、篠塚家の代々墓は立っていた。
ご先祖様は、この辺りのお殿様だったらしい。
だから古いお墓といっても、そこはかなり立派なこしらえになっている。
今は分家の方が羽振りがよくなったけど、本家は墓守だけはきちんとするものらしく、綺麗に掃き清められて、掃除が行き届いていた。
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