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平成大江戸花魁物語 14 

ふっと喘いで前髪がはらりと落ちると、まだ10代の雪華太夫は新造と同じくらいに若く見えた。
縄師が呼ばれると手慣れた様子で、片足に縄目が掛けられ胸に付くように曲げられる。
哀れな雪華のすべてが、どこからでも見えるように晒された。
つま先ひとつでひどく不安定に、雪華は風に弄られる(なぶ)ようにして緋毛氈を掴んでいた。

「ゆ……雪華兄さん……どうしよう。初雪が馬鹿なことをしたばっかりに、あんな目に……えっ……えっ……。」

誰かが静かにおしよと声を掛け、初雪の声は六花の手渡した手拭いが吸った。二人は、その場で抱きあって、なすすべもなく静かに雪華花魁を見つめていた。
何の力もなく、守れないのが辛かった。

雪華花魁が「お父さん」と呼んで慕っている楼主の姿を見るのは、六花は最初に挨拶をしたきりまだ二度目だった。年は壮年と言ってもいいくらいだろうが、ちょっとした動きにどこか素人ではない色香が滲む。きっと、昔はさぞかし名を馳せた娼妓だったに違いない。

「どれ、雪華。満座の前で粗相をしないように、栓をかって上げようかね。」

「雪華太夫はうちの大看板だからね、恥をかかないように、せめて大切に扱ってやろうよ。」

そう楼主は声を掛け、太夫の中心に揺れる芯に、特別に染めさせた縄と同じ色の細い革紐をきつくきゅと巻き付けてゆく。優しげな声とは裏腹に、吐精させない冷酷な手管だった。

「気位の高い子が、どんなふうに啼くのか楽しみだねぇ……こんなことでもなかったら、雪華太夫をなぶるなんざ誰にもできることじゃない。さあ、今日だけは皆様方もご遠慮なく、じっくりと生きた観音様を拝んだり、拝んだり。」

にじりよった人の輪が小さくなってゆく。
覗き込む最奥に、用意された拡張用の張り方が宛がわれた。
童女のように薄い胸に男衆が縋り歯形を付けた。

「……あぁ……」

雪華太夫が息を吐き、諦めたように受け入れると頭を振って、凛と顔を上げた。
いつもの自信に満ち溢れた顔ではなく、どこか心許ない悲しげな憂い顔だった。ふと視線が泳ぎ、誰かを探した。
嗜虐の好事家なら、おそらく何を投げ打ってでも、雪華を伴って墮ちてゆきたいと願うだろう。

楼主の手によって入れられた張り方は、長い間、ゆっくりと抜き差しされている。
雪華花魁の絞りはきつく、桃色の肉襞で張り方を掴んでいるように見えた。
食い入るように見守る他の廓の花魁たちの前で、襲いくる快感に耐える雪華太夫の腰だけが緩く前後に揺れている。
花魁たちの幾本もの手にしつこく高められて、縛められた哀れな美芯がゆっくりと勃ちあがり、思わずほろと露をこぼした。
潤んだ瞳が、楼主に縋るように向けられた。

「ああ、雪華太夫、切ないねぇ。おまえは、その綺麗な身体をどうして欲しいんだろうね。」

「さあさあ、言ってごらんよ。閨でおまえは油屋の旦那にどんな風にねだったんだい?どこかに、いらっしゃるはずだよ。」

言えと言われて、求められるままに花魁は相手の欲しい言葉を紡ぐ。

「ぬしさ……どうぞ、わっちをイかせてくんなまし……」

被虐の渦の中心で、薄桃の枝垂桜の精は落花寸前だった。衆人の中の油屋の王子は、護衛に羽交い絞めにされたまま雪華花魁を見つめている。人の垣根にさえぎられて、雪華花魁に近付くことはできなかった。

「わたしはお前が可愛いが、今宵の仕置きはお前の禿の仕置きだよ、雪華太夫。」

「ほら、張り方が馴染んだら、こいつを深く腹の中に入れといてやるから、子を産むようにそこで生み落してみな。」

ちらと視線を廻らせた雪華太夫の肌が、瞬時に羞恥に燃え上がった。

「お父さ……ん。わっちをどこまで貶めたら、気が済むのでありんしょう……」

楼主の手の内には、ゴルフボールほどの溝を打った珠がつながったカーボナイトの玩具があり、それぞれが生き物のように一粒ずつうごめいていた。
張り方を抜き差しされた挙句、洞になったのを背後から抱えて、満座の客人に見せられた。

「さあ。覚悟おしよ。」





本日もお読みいただきありがとうございます。
荒唐無稽なお話として、お読みいただければと思います。此花咲耶


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2 Comments

此花咲耶  

tukiyo さま

> うわわわわわ~~~~~~。
> いじめっここのちん全開ですねーwww

(〃゚∇゚〃) 違うもん~←あ、顔が……。
でも、ちょっと楽しくなって来たり……違う~!( *`ω´)

お読みいただきありがとうございました。
コメントうれしかったです。ハピエンに向けてまっしぐらでっす。(*⌒▽⌒*)♪

2012/10/31 (Wed) 15:19 | REPLY |   

tukiyo  

うわ~うわ~

うわわわわわ~~~~~~。
いじめっここのちん全開ですねーwww

2012/10/30 (Tue) 20:08 | EDIT | REPLY |   

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