落日の記憶 10
身体の左半身をすのこに付けて、言われるままに膝を抱える。
「こ…、こうですか?」
「ああ、そうだ。」
排泄される場所にぷつと侵入して抜き差しされる、油に濡れた指が気持ち悪く、基尋は思わず身を捩った。
「じっとしてな。」
言われるまま、動くまいとしても叶わなかった。身体を固くして唇をかみしめ、基尋は耐えたが抱えた膝が小刻みに震えた。。
「……ううっ……」
……ふと、男の背後に硝子の大きな注射器が満たされて、金属の盆の上に置かれているのが見え、怖気て思わず凝視する。
基尋の視線に気付いた男が、上気した顔でふっとほくそ笑むと、恐ろしい般若に見えた。
「これが気になるかい?これは、お前さんの腹の中を綺麗に洗う道具だよ。」
取り上げて空気を逃がし、ギシ……と、硝子の軋む音をさせた。
やり手がにっと歯茎を見せて酷薄に笑った。
基尋は、大きな目を見開いたままその場に凍り付いた。決心をして花菱楼の木戸をくぐっってここまで来たが、何もつけずに湯に漬けられた上、着物をすべて奪われた。
男の指は命婦が遠慮がちに洗う基尋のささやかな「御前(おまえ)」さえ、容赦なく乱暴に扱いた。勃ちあがったりはしなかったが、身体だけではなく腹の中まで洗うと言う男の話が信じられなかった。
「ほら、赤子がむつきを取り換えるような格好をするんだよ。お前はもう花菱楼の商品なんだ。傷を付けたりはしないから安心しな。薬液を入れるぞ。」
「い……や……っ、いやですっ!そんなことはいや。」
伸ばされた男の手を払いのけ、基尋は思わず逃げた。
逃げても狭い風呂場に隠れるところはない。
「観念しなってのに!」
細い手首を掴まれ、引き寄せられる。
すのこで滑り、転んだ拍子に足が男の腕に当たり硝子の浣腸器が落ちて粉々になった。
「このくそ餓鬼!なにをしやがる。」
「いやあっ!たすけて!浅黄っ、浅黄ーーっ!」
逃げ惑ううち、割れた破片を踏みつけかかとが深く切れた。
恐怖で痛みは感じなかったが、全身の力が抜けた。
どんどんと扉を叩くうち、基尋は次第に流血し青ざめてゆく。意識が薄れてゆくのを感じた。
「おい。どうした。おい……っ。」
「……や……おもうさ……」
湯屋の中は湿度が高く、余計に出血を誘ったらしい。初めての体験は、基尋の健気な決心をあっさりと崩壊させて意識を奪った。
さすがにこのままにはしておけず、粗末な手拭いで止血すると、やり手は羽織っていた半纏を脱ぎ基尋に着せかけると、ひょいと肩に担ぎ上げた。
「俺を恨むんじゃないぜ。本郷の宮様も、何の意趣返しかは知らねぇが、こんないとけない子供に罪なことをなさる……ま、これも銭の為、銭の為……っと。」
(°∇°;) なんか……やばくね?
( *`ω´) 浅黄 「こら~、此花。若さまに何をする~!」
[壁]ω・)チラッ 「……が、がんばれ~」
本日もお読みいただきありがとうございます。
(*⌒▽⌒*)♪ほら、このちんハピエン主義だからっ。だいじょぶ!
■━⊂( ・∀・) 彡 ガッ☆`Д´)ノ
「こ…、こうですか?」
「ああ、そうだ。」
排泄される場所にぷつと侵入して抜き差しされる、油に濡れた指が気持ち悪く、基尋は思わず身を捩った。
「じっとしてな。」
言われるまま、動くまいとしても叶わなかった。身体を固くして唇をかみしめ、基尋は耐えたが抱えた膝が小刻みに震えた。。
「……ううっ……」
……ふと、男の背後に硝子の大きな注射器が満たされて、金属の盆の上に置かれているのが見え、怖気て思わず凝視する。
基尋の視線に気付いた男が、上気した顔でふっとほくそ笑むと、恐ろしい般若に見えた。
「これが気になるかい?これは、お前さんの腹の中を綺麗に洗う道具だよ。」
取り上げて空気を逃がし、ギシ……と、硝子の軋む音をさせた。
やり手がにっと歯茎を見せて酷薄に笑った。
基尋は、大きな目を見開いたままその場に凍り付いた。決心をして花菱楼の木戸をくぐっってここまで来たが、何もつけずに湯に漬けられた上、着物をすべて奪われた。
男の指は命婦が遠慮がちに洗う基尋のささやかな「御前(おまえ)」さえ、容赦なく乱暴に扱いた。勃ちあがったりはしなかったが、身体だけではなく腹の中まで洗うと言う男の話が信じられなかった。
「ほら、赤子がむつきを取り換えるような格好をするんだよ。お前はもう花菱楼の商品なんだ。傷を付けたりはしないから安心しな。薬液を入れるぞ。」
「い……や……っ、いやですっ!そんなことはいや。」
伸ばされた男の手を払いのけ、基尋は思わず逃げた。
逃げても狭い風呂場に隠れるところはない。
「観念しなってのに!」
細い手首を掴まれ、引き寄せられる。
すのこで滑り、転んだ拍子に足が男の腕に当たり硝子の浣腸器が落ちて粉々になった。
「このくそ餓鬼!なにをしやがる。」
「いやあっ!たすけて!浅黄っ、浅黄ーーっ!」
逃げ惑ううち、割れた破片を踏みつけかかとが深く切れた。
恐怖で痛みは感じなかったが、全身の力が抜けた。
どんどんと扉を叩くうち、基尋は次第に流血し青ざめてゆく。意識が薄れてゆくのを感じた。
「おい。どうした。おい……っ。」
「……や……おもうさ……」
湯屋の中は湿度が高く、余計に出血を誘ったらしい。初めての体験は、基尋の健気な決心をあっさりと崩壊させて意識を奪った。
さすがにこのままにはしておけず、粗末な手拭いで止血すると、やり手は羽織っていた半纏を脱ぎ基尋に着せかけると、ひょいと肩に担ぎ上げた。
「俺を恨むんじゃないぜ。本郷の宮様も、何の意趣返しかは知らねぇが、こんないとけない子供に罪なことをなさる……ま、これも銭の為、銭の為……っと。」
(°∇°;) なんか……やばくね?
( *`ω´) 浅黄 「こら~、此花。若さまに何をする~!」
[壁]ω・)チラッ 「……が、がんばれ~」
本日もお読みいただきありがとうございます。
(*⌒▽⌒*)♪ほら、このちんハピエン主義だからっ。だいじょぶ!
■━⊂( ・∀・) 彡 ガッ☆`Д´)ノ
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