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風に哭く花 16 

あれから時々、青児の家に寄って二人は甘い時を過ごしていた。
青児の母はスーパーでパート勤めをしていて、7時半を回らないと帰ってこない。二人にとっては好都合だった。

「なぁ、翔月。おれの家、寄って行くだろ?」

「ん……」

互いに思い合っていたことを知って、青児は有頂天になった。ひたすら翔月を求め、翔月もまた一人になると青児の体温が恋しかった。
翔月の心の中には、柏木のことが暗い澱となって沈んでいたが、かけがえのない半身に身を委ね愛される間は忘れられた。

「おれ、先にシャワー浴びて来るわ。」

「ぼくも……汗かいちゃった。青ちゃん、Tシャツ貸してね。」

温い湯を浴びながら、シャワーヘッドの下で抱きあってキスを交わした。シャンプーの泡が目に入った振りをして、翔月はもうすぐ終わりになる時間を思って、静かに涙を零した。

「翔月の泣きそうな顔って、エロいよな。泣くの我慢する翔月ってさ、目許がほんのり赤く染まるんだ。おれ、Sじゃないけどちょっと泣かせたいなって思う。まじ、どきどきする。自覚ないだろ?」

「何言ってるの、変な青ちゃん。」

翔月はそれが柏木にも言われた台詞だと思い出し、小さくため息をついた。

「青ちゃんだってエロいよ。あんまり見つめるから……ほら。反応しちゃった。」

青児は濡れた髪をかき上げると、壁に翔月を押し付けて、何度めかの深いキスをした。
いつか互いのモノを含んで行う口淫すら、躊躇なく行えるようになっている。青児は跪づくと、翔月のモノに舌を這わせた。

「青ちゃん……駄目……出るよ……も、やめて……」

返事の代わりに深く吸い上げられて、翔月はぼうっとなってしまった。背筋を快感が這い上がり、腰が揺れた。
思わず青児の頭を押しやったが、若い性は止まらない。

「あーぁっ……!」

あっさりと滴を零して、翔月は落ち込んだ。

「やめてって言ったのに。青ちゃんのバカ。」

「やめられるかよ。翔月……やっと、手に入れたんだ。好きだ。」

「……つか、青ちゃん、洗い流さないと。ほっぺたに付いてるよ……ぼくの出したやつ。えいっ。」

翔月はシャワーヘッドを水に変えて青児に浴びせた。

「わっ!こら、翔月!」

揉み合って湯船に転がりこみ、また唇を交わした。

「初めてキスをした時さ……翔月は息をするのも忘れてたな。」

「うん。酸欠で死にそうになって、びっくりした。」

湯船で背後から翔月を抱きしめて、青児は肩に顔をうずめた。

「なぁ……ずっとこのままでいような。大学行っても、社会人になっても……おれ、翔月と一緒に居たい。翔月が柏木に悪戯された事、想像しただけで、すごく嫌な気分になった。あいつは絶対に許さねぇ。」

「青ちゃん。」

ざっと翔月を抱え上げて、青児はそのまま部屋まで運んだ。じたばたとする翔月を軽々と抱きかかえた青児の心の中にも、深い澱がゆらゆらと揺れていた。こうして腕の中に居る翔月が余りにも小さく儚く思える。
いつかするりと、どこかへすり抜けてゆきそうで不安だった。

「どこにも行くなよ。ずっと、おれの目の届くところに居ろ、翔月。」

小さく頷いた翔月の目元がぷくりと膨らみ染まった。

「泣くな。おれがいつも傍にいるから。」

「ん……青ちゃん……」

今は腫れの引いた、小さな翔月の小柱を舌先で転がしながら、青児は確かめるように翔月をなぞった。洩れる吐息に煽られて、瞬く間に芯を持った持ち物を忙しなく最奥に充てる。
ひくっと息を詰めた翔月の内側に、青児は身体を進めた。
先端を飲み込むと翔月は喉を反らし固く目をつむる。この行為を忘れないように、脳裏に焼き付けるために。
膝裏に手を掛け、青児は自分の容に馴染んだ翔月を引き寄せた。

「……あぁっ……青ちゃん……好きだよ。お……奥まで……青ちゃんが届く、みたい……」

「翔月……翔月……っ!」

「もっと……青ちゃん。青ちゃんが好き……だから、もっと……」

「バカ。これ以上やると、翔月が壊れっちまうだろ。試合も近いのに……くっそ~!」

やがて翔月がぐったりと弛緩するまで、青児は何度も翔月を抱いた。ぎこちなく繰り返される愛撫に、やがて薄青い隈を作った翔月の目元に、そっと口づける。
愛おしくてたまらない翔月を腕の中に抱きしめて、青児は微睡んでいた。
いつまでも、この日が続くと思っていた。




本日もお読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃) 束の間の甘々です~


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4 Comments

此花咲耶  

nichika さま

> お久しぶりです! ポチポチ読んでましたが やっと思いが通じたと思ったら===先生  ぁぁぁなんか勃発(変な意味ではないです)文字変換してちょっとアセッタ。。。

お久しぶり~ふでっす。(*⌒▽⌒*)♪お読みいただきありがとうございます。柏木先生はものすごくいけない大人なのです。♪ψ(=ФωФ)ψうふふ~
>
> 本日は大暑だとか これからが夏本番ですよね 

暑さに負けそうです。夏生まれなのですが、夏は苦手です。

> 此花ちんも稼業や 夏バテ お疲れがたまりません様に
> BLは貯蓄して(笑) またきますね~~

はい。がんばります。nichika さんも夏バテに気を付けてくださいね。
コメントありがとうございました。(〃゚∇゚〃)

2013/07/23 (Tue) 23:30 | REPLY |   

此花咲耶  

ちよさま

> やっぱり束の間の甘々なの!? 。・゚・(ノД`)・゚・。

(´・ω・`) ……束の間なの……

> 翔月は、柏木の家に行くとか、
> 青児くんとの事を自分でお終いにするとか
> 言っていたし…
>
翔月は、もう決めているようです。
大人の陰謀に巻き込まれて、このまま逃げ道を失ってゆくのです。(`・ω・´)←

> 青児くんも想いが通じあったのに
> 翔月が柏木との事で思い悩んでいることには
> 気づいていないのかな…。

両想いだったことに、浮かれている青ちゃんです。気づいていませんね~。(´・ω・`) ……というか、気づくのはきっともっと後になると思います。
でもハピエンよ~(*⌒▽⌒*)♪

> 翔月の自己犠牲的な性格を思い出して~!!

(ノ´▽`)ノヽ(´▽`ヽ)今はきゃっきゃ、うふふ~に浸っているのです。
翔月の性格、読んでくださってありがとうございます。思い込み激しくて、ネガティブなのです。

コメントありがとうございました。(*⌒▽⌒*)♪

2013/07/23 (Tue) 23:24 | REPLY |   

nichika  

望みがかなって。

お久しぶりです! ポチポチ読んでましたが やっと思いが通じたと思ったら===先生  ぁぁぁなんか勃発(変な意味ではないです)文字変換してちょっとアセッタ。。。

本日は大暑だとか これからが夏本番ですよね 
此花ちんも稼業や 夏バテ お疲れがたまりません様に
BLは貯蓄して(笑) またきますね~~

2013/07/23 (Tue) 21:54 | EDIT | REPLY |   

ちよ  

やっぱり束の間の甘々なの!? 。・゚・(ノД`)・゚・。

翔月は、柏木の家に行くとか、
青児くんとの事を自分でお終いにするとか
言っていたし…

青児くんも想いが通じあったのに
翔月が柏木との事で思い悩んでいることには
気づいていないのかな…。

翔月の自己犠牲的な性格を思い出して~!!



2013/07/23 (Tue) 21:26 | EDIT | REPLY |   

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