風に哭く花 21
狭い風呂の扉を開けて、二人に注視されながら、翔月は湯を使うしかなかった。
絡みつく視線に冒されながら、身体を洗う翔月の心は既に疲れ切っていた。
罠にかかった小動物のように、翔月は二人に向かって怯えた視線を向けていた。
「可哀想に。せっかくお風呂に入ったのに、もう汗ばんでいるね、うさぎちゃん。」
「ちゃんと洗えた?」
バスタオルを与えた支配者の長い指が、あちこち確かめるように翔月の上を滑ってゆく。
「う~ん……何とかして逃げたいんだけど……逃げる方法が見つからないって顔に書いてある。」
「こんなところ早く逃げ出して、荏田君の所に帰りたい……ってね。でも、それはちょっと、難しいね。」
柏木は胸の薄い突起を見つけると、いつかのようにしつこくなぞって色を濃くさせる。歯を当てないようにして、ちゅと音を立てて吸い上げた。
「前は酷くし過ぎてしまったから、今日は優しくするからね……」
「直樹。ほら、これを使うと良い。この子には、その方がいいだろう?痕が残らないからな。」
「うん。そうだね、使ったのは解いたタイだったんだけど、うさぎちゃんは肌が弱いせいかみみずばれになってしまって……。一度、胸にクリップを使った時も、乳首がひどく腫れて可哀想だったんだよ。ちゃんとゴムの付いたばねの弱い初心者用だったんだけどね。翔月君、ほら、手を膝の後に回して、床に坐って。大丈夫だから……ね。俊哉は僕よりも優しいんだ。」
シルクの柔らかい布(スカーフ)は、するりと翔月の膝裏を通した手首に巻かれ、柔らかい縛めとなった。優しい口調に、暴力的なことをされるわけではないと知り、翔月はほんの少しほっとしていた。
まるで体育座りのようにして、差し出した手首を大人しく縛められた翔月は二人を見上げた。従順な翔月の様子に、柏木と俊哉と呼ばれた男は、目を見かわしてくすりと楽しげに笑った。
「直樹……この子は、こんな風にされても何もわかっていないみたい。」
「ね?僕が言った通り、初心で可愛いでしょう……」
「そうだな。直樹が執着する気持ちが少しは分かったよ。汚れていない雪原に足を落とす前の気分だ。……足首もまとめておこうか?今時の子供は、もっとすれていると思っていたのに……この子は無垢なんだな。体毛は薄いし、傷もない。どこも綺麗な色だ。」
「そうでしょう?哭くと、もっとここの色が濃くなるんだよ。」
手首と同じように、柔らかな布で足首も固定された。いつしか目尻に涙が溜まっていたのを、柏木が舐めとった。
とんと横倒しに押されて、丸くなった翔月はバランスを失って小さく声を発した。ころりと他愛もなく翔月はその場に転がされた。
「あっ。」
「ほら。これでもう、どこにも逃げられなくなったよ。どうする?うさぎちゃん。」
翔月は焦ったが、膝を抱えた格好で横倒しになったまま身動きは取れない。
軽々とそのまま直も体勢を変えられて、翔月は思わず声を上げた。剥き身の尻たぶに手がかかると、悲鳴が漏れた。
「やっ……やめてください。やめて……ぼくにさわらないで。」
「やめてくださいって……?おかしな子だね?何のために君をここへ連れて来たと思っているの?僕はこれでも、相当時間をかけたと思っているんだけどなぁ。」
柏木が頬に触れると、頭を引き寄せ、翔月の耳たぶをがじと噛んだ。
「いいかい?これは大切なことだ、忘れてはいけないよ。僕は君を強制的にここへ拉致してきたわけじゃない。君はここへは自分の意思で進んで来たんだよ?違う?」
「あ……あ……」
逃げられるわけがない……翔月の手足は縛められて、もがいてもどうにもならなかった。二人は光の下に曝け出された最奥を覗き込んだ。
「どうやら、未経験ではないようだよ。ほら、直樹……綺麗な珊瑚色だけど、君のうさぎちゃんは誰かのモノになったようだ。」
「そう……だったら、もういいかな。誰でも初めては好きな人にあげたいじゃない?」
何か得体の知れない粘り気のある液体が、そっと秘密の絞りに零された。
「いや……だっ……青ちゃん……やだーっ!青ちゃんっ!青ちゃんーー……」
虚しい悲鳴が青児に届くことはない。
翔月は望んで、ただ一人、誰に告げることなくここへ来たのだ。
本日もお読みいただき、ありがとうございます。(〃゚∇゚〃)
どこまで書いていいものか……ちょっと悩み中の此花でっす。(´・ω・`) ……う~ん……
「やりすぎだよな~?」(。´・ω`)ノ(つд・`。)・゚「え~ん、此花のぼけ~かす~」
着地点は決まっているのですが、これまでとはちょっと違うテイストのお話になりそうなのです。
読後感にだけは気をつけようと思っています。( *`ω´) 「ハピエンにしろ~」
よろしくお願いいたします。 此花咲耶
絡みつく視線に冒されながら、身体を洗う翔月の心は既に疲れ切っていた。
罠にかかった小動物のように、翔月は二人に向かって怯えた視線を向けていた。
「可哀想に。せっかくお風呂に入ったのに、もう汗ばんでいるね、うさぎちゃん。」
「ちゃんと洗えた?」
バスタオルを与えた支配者の長い指が、あちこち確かめるように翔月の上を滑ってゆく。
「う~ん……何とかして逃げたいんだけど……逃げる方法が見つからないって顔に書いてある。」
「こんなところ早く逃げ出して、荏田君の所に帰りたい……ってね。でも、それはちょっと、難しいね。」
柏木は胸の薄い突起を見つけると、いつかのようにしつこくなぞって色を濃くさせる。歯を当てないようにして、ちゅと音を立てて吸い上げた。
「前は酷くし過ぎてしまったから、今日は優しくするからね……」
「直樹。ほら、これを使うと良い。この子には、その方がいいだろう?痕が残らないからな。」
「うん。そうだね、使ったのは解いたタイだったんだけど、うさぎちゃんは肌が弱いせいかみみずばれになってしまって……。一度、胸にクリップを使った時も、乳首がひどく腫れて可哀想だったんだよ。ちゃんとゴムの付いたばねの弱い初心者用だったんだけどね。翔月君、ほら、手を膝の後に回して、床に坐って。大丈夫だから……ね。俊哉は僕よりも優しいんだ。」
シルクの柔らかい布(スカーフ)は、するりと翔月の膝裏を通した手首に巻かれ、柔らかい縛めとなった。優しい口調に、暴力的なことをされるわけではないと知り、翔月はほんの少しほっとしていた。
まるで体育座りのようにして、差し出した手首を大人しく縛められた翔月は二人を見上げた。従順な翔月の様子に、柏木と俊哉と呼ばれた男は、目を見かわしてくすりと楽しげに笑った。
「直樹……この子は、こんな風にされても何もわかっていないみたい。」
「ね?僕が言った通り、初心で可愛いでしょう……」
「そうだな。直樹が執着する気持ちが少しは分かったよ。汚れていない雪原に足を落とす前の気分だ。……足首もまとめておこうか?今時の子供は、もっとすれていると思っていたのに……この子は無垢なんだな。体毛は薄いし、傷もない。どこも綺麗な色だ。」
「そうでしょう?哭くと、もっとここの色が濃くなるんだよ。」
手首と同じように、柔らかな布で足首も固定された。いつしか目尻に涙が溜まっていたのを、柏木が舐めとった。
とんと横倒しに押されて、丸くなった翔月はバランスを失って小さく声を発した。ころりと他愛もなく翔月はその場に転がされた。
「あっ。」
「ほら。これでもう、どこにも逃げられなくなったよ。どうする?うさぎちゃん。」
翔月は焦ったが、膝を抱えた格好で横倒しになったまま身動きは取れない。
軽々とそのまま直も体勢を変えられて、翔月は思わず声を上げた。剥き身の尻たぶに手がかかると、悲鳴が漏れた。
「やっ……やめてください。やめて……ぼくにさわらないで。」
「やめてくださいって……?おかしな子だね?何のために君をここへ連れて来たと思っているの?僕はこれでも、相当時間をかけたと思っているんだけどなぁ。」
柏木が頬に触れると、頭を引き寄せ、翔月の耳たぶをがじと噛んだ。
「いいかい?これは大切なことだ、忘れてはいけないよ。僕は君を強制的にここへ拉致してきたわけじゃない。君はここへは自分の意思で進んで来たんだよ?違う?」
「あ……あ……」
逃げられるわけがない……翔月の手足は縛められて、もがいてもどうにもならなかった。二人は光の下に曝け出された最奥を覗き込んだ。
「どうやら、未経験ではないようだよ。ほら、直樹……綺麗な珊瑚色だけど、君のうさぎちゃんは誰かのモノになったようだ。」
「そう……だったら、もういいかな。誰でも初めては好きな人にあげたいじゃない?」
何か得体の知れない粘り気のある液体が、そっと秘密の絞りに零された。
「いや……だっ……青ちゃん……やだーっ!青ちゃんっ!青ちゃんーー……」
虚しい悲鳴が青児に届くことはない。
翔月は望んで、ただ一人、誰に告げることなくここへ来たのだ。
本日もお読みいただき、ありがとうございます。(〃゚∇゚〃)
どこまで書いていいものか……ちょっと悩み中の此花でっす。(´・ω・`) ……う~ん……
「やりすぎだよな~?」(。´・ω`)ノ(つд・`。)・゚「え~ん、此花のぼけ~かす~」
着地点は決まっているのですが、これまでとはちょっと違うテイストのお話になりそうなのです。
読後感にだけは気をつけようと思っています。( *`ω´) 「ハピエンにしろ~」
よろしくお願いいたします。 此花咲耶
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