風に哭く花 12
青児から迸る激情は、炎のように翔月を翻弄し焼いた。
柏木に付けられた吸痕に重ねて、青児がきつく吸い上げ痕をつけてゆく。
「あぁ……っ。青ちゃぁん。」
痛みに耐えかねて呻く翔月が、精いっぱいの力で青児を押しやろうとしても到底かなわなかった。
「翔月……こんなもの、全部消してやる。翔月はおれのだ。」
耳朶に低く、青児の声が聞こえる。被さってきた背の高い青児を、不思議と怖いとは思わなかった。
いつかこうなりたいと心の中で願って来た「今」が、翔月の前にある。
翔月は体中のあちこちに、強く印を落としてゆく青児の頭をそっと抱いた。
「青ちゃん……好きだよ。ずっとこうなりたかった。ぼくね、想像の中でいつもこうして、青ちゃんの頭をぎゅっと抱いてた。」
「いいのか……?」
「いいよ。言ったでしょう?ずっとこうなりたかった……って。青ちゃんがぼくの事好きになってくれるなんて思わなかった。中学の時から、ずっと好きだったよ。……んっ……女の子じゃないから、初めてが大事だなんて思わないけど……ぼく初めてだよ。青ちゃん……」
「鼻血噴きそうだ……翔月。そんな可愛い顔でエロいこと言うなよ。胸にこんなことされて、辛くなかったのか?」
「ん。良くわからないけど、時間をかけて慣らさないと、固くて入らないだろうって言ってた。だから脱がされてこんなことされたけど、無理矢理えっちはされてないの。」
「やっぱり、柏木か?」
「ん……ごめんね。」
「そうか。そうだよな。翔月と二人きりになれたのって、どう考えてもあいつだけだよな。酷いことしやがって。」
青児はじっと翔月の腫れた胸を見て居た。ぷくりと腫れた胸は、どこか童女のようで悩ましい。柏木の前で翔月がどんなふうに乱れたのか、想像しただけで平常心ではいられなかった。張りつめた下肢を持て余し、少しでも早く眼前の翔月を手に入れたくて、青児は焦った。
「そうだ……おれ、台所で何かあるか見て来る。オリーブオイルとかサラダ油とかでいいのか……あ。おれの使ってる乳液とかでもいいか?」
「たぶん……」
こくりと頷いた翔月は、その先を想像しただけで顔から火を噴きそうになっている。自分の後に青児を受け入れる……それは、柏木が指でなぞりながら告げた言葉だった。
『いつか、ここにぼくを受け入れてもらうよ。』
柏木に穢されるよりも、ずっと好きだった青児が良い。
突然の告白に戸惑いながら、自分はもう青児の求めに応じる事は出来ないと思っていた翔月だったが、想いは千々に乱れる。
この先に何が待ち受けているか分からないが、今は青児の思いに応えたかった。
青児は翔月に何度も「ごめん」と繰り返した。
柏木から守ってやれなくてごめん。翔月がもっと早くに打ち明けていたら、きっとこんなことにはならなかった。
本日もお読みいただきありがとうございます。(*⌒▽⌒*)♪
束の間の幸せに浸る翔月と青児。
甘い時間は明日へと続きます……[壁]ω・)チラッ←がんばろ~……
稼業が忙しくなってきましたので、不定期更新になるかもしれません。
よろしくお願いします。(`・ω・´)
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