風に哭く花 13
「……翔月……おれがもっとちゃんとしていたら、こんな目に遭わなくて済んだのに……」
腫れた胸と、泣いて厚ぼったくなった目許。きっと繰り返されたはずの、柏木の悪戯に傷付いた大事な幼馴染。
見つめ返した翔月の瞳に盛り上がった涙が、ぽろ……と転がった。
*****
ささやかに反り返った翔月の分身を緩く扱くと、甘い声が漏れた。
「……はふっ……んんっ……あっ……」
「……翔月。あいつにもこうされた?言って。」
「や……だ、青ちゃん。先生に触られた時のことは、あまりよく覚えてない。早く終われって、目をつむって念じてたから。ぼく、一生懸命青ちゃんの事を、考えてた。」
「翔月……」
青児は忙しなく机の上にある、自分のローションを手に取った。身だしなみ程度に使うものが、違った用途に必要になるとは思っていなかった。奥まった薄茶の絞りにそっと塗り込めると、翔月が身じろぐのが判る。
「翔月。辛かったら言えよ。優しくしてやろうと思ったけど、おれ、そんな余裕はないみたいだ。……いい?」
翔月は青児の胸の中で、こくりと頷いた。
「あのね……青ちゃんに隠してたことが有るんだけど……」
「ん?」
「ぼくね、何も知らないで眠っている青ちゃんに、キスしたことあるんだ。うんと昔。」
「いつ……?言って。」
なめらかな腹が、愛撫に応えて波打つ。頑なな翔月の最奥は、つぷりと差し込んだ青児の指先を受け入れた。
「うっ……ち、中学の時……教室で。いつか言わなきゃって思ってたけど、言えないでここまで来たんだ。打ち明けたら軽蔑されるかと思って、言えなかった……」
青児は思わず、くすりと笑った。
「ば~か。知ってたよ。翔月には何か言っても、どうせ、気のせいだとか、ちょっと当たっただけだとか言ってごまかしそうだから、追及するの我慢したんだ。まあ、もう時効だな。」
「知ってたの……?」
ぼく、馬鹿みたいだ……と言って翔月は泣いた。
心の中のわだかまりが、涙と共に流れてゆく気がする。もう、柏木の脅しに怯えなくても済むと思った。
柏木の脅迫の材料がなくなり、青児の気持ちが自分に向けられているとわかった今、はっきりと自分に触れるなと言おう。もう、あの写真を餌に振り回されることなど無いと確信していた。
翔月は、シーツを握り締めた。熱い熱を持った高まりが、自分の中に裂くように侵入してくるのを感じていた。
「青ちゃん……あっ、あっ!」
「翔月!翔月っ!」
グラインドする青児の体の重みを支えて、ああ……と翔月の喉がのけぞり、背骨がしなった。焼けた熱い青児の持ち物が、肉を割って内部に押し入ってくる気がする。
緊張して息を詰める翔月の背中に唇を寄せ、ぶるっと青児が震えた。
本日もお読みいただきありがとうございます。(*⌒▽⌒*)♪←なぜか、やりきった感……
やっと思いが届いた二人です。
ずっと翔月が心に秘めてきた、中学の時の内緒のキス。青ちゃんは気づいていたみたいです。
こんなことなら、もっと早くに打ち明ければ良かったね……(´・ω・`)
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