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Café アヴェク・トワで恋して 1 

カフェが開店して以来、驚くほど売り上げは順調だった。

荒木の作ったメニューは、老若男女問わず人気で、店長の松本は毎日上機嫌だ。

「すげぇよなぁ、荒木。やっぱり決め手は味かな?」

ちらりと松本を見た荒木の手は、せわしなく野菜を刻んでいる。

「産直野菜のおかげっすよ。完熟の物が多いから、野菜の甘さが客にもわかるんだと思うんすよね。」
「俺さ、茄子やトマトにこんな種類があるのさえ知らなかったぜ。」

ふりふりと振って見せると、松本はふざけて荒木が仕入れてきた新種の白い茄子を、直の目の前に突き付けた。
そっと、耳元にささやく。

「直~。これと俺のあそこ、どっちがでかいと思う?」
「……仕事中です~。」

真っ赤になってしまった直が泣きそうになるのを見て、荒木が突っ込みを入れた。

「直。遠慮せずに、そこの麺棒で思い切りぶん殴ってやれ。セクハラ店長を甘やかすと、つけあがるからな。」
「馬鹿野郎っ。可愛い冗談じゃねぇか。直は、こんなことで怒ったりしないよなぁ?」

直は大きく息を吸って真面目に答えた。

「……店長が大好きです。」
「おっ?そうか、そうか。」
「でも、今は仕事の邪魔です。」

が~ん……
きっぱりと告げられて松本はへこんだ。
正直、厨房に松本の居場所はない。

「はい、はい。邪魔者は退散します。」

松本はスタッフに珈琲を注文すると、店内の様子を眺めた。
きびきびと働くスタッフは明るく、客の表情もいい。

「直くん。ランチ・プレート、合計6名様なんだけど、まだある?」
「了解。後、5皿で完売だからお願いします。」
「わかった。看板にお知らせ貼っておくね。」

好評のランチ・プレートは、大ぶりの平皿に細々とした料理が7種も載っている。

日替わりパスタは、数種類用意してあり、五穀米の追加もできる。
メイン料理は、魚と肉を好みで選べるようになっていて、後は、五目豆、ひじきの煮もの、切り干し大根、ポテトサラダ、冷奴と、ヘルシーでいて小鉢でも十分量があるので、男性客にも好評だった。
五穀米は腹もちがいいらしく、男性のリピーターが多い。
店内の様子を眺めていた松本は、今の状態をしばらく続けようと提案した。

「そうなんすよ。カフェって女性のイメージがあったから、ちょっと驚いてしまいました。この店は、客層がちょっと他とは違いますね。」

昼休憩の後で行われるミーティングには、ホール・スタッフも自由に意見を出す。




連載開始しました。どうぞよろしくお願いします。(〃゚∇゚〃)

ちょっぴりあんぽんたんだけど、一生懸命な松本と、心に傷を持つ相良直のお話です。
らぶらぶなお話です。
しばらくお付き合いいただければと思います。   此花咲耶

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