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Café アヴェク・トワで恋して 2 

同じ賄いを食べながら、松本と荒木は味のチェックをしている。
余り濃くはない味付けが、野菜の味を引き出していた。

「ちゃんとした飯を、そこそこの値段で食わせるのが受けたのかもしれねぇな。日替わりが20食限定ってのも、いいかもしれない。限定ってのに、皆弱からな。直……それは?」
「食後のドリンクに付けた、苺大福です。」
「うまそうだな……俺のは?」
「ありますよ。後、今日は賄いにサーモンの南蛮漬けを作ってます。おいしかったら、荒木さんがランチに入れてくれるって言ってくれたので、店長も試食をお願いします。」
「そうか。サーモンだったら癖がないから、子供でも食べられるな。」
「五穀米にしますか?」
「おう。皆と同じでいいぞ。」

スタッフが交代で食事をとる店もあるが、松本は二時半から一時間半、店を閉めて休憩時間にした。
全員揃うことで、何か問題があれば提起し、早めに伝達対処できる。
共に食事をするのは、スタッフ同士の親睦にも一役買っていた。

「直くん。男のお客さんが、食後のスイーツの苺大福おいしいって言ってたよ。出来たら持ち帰りたいんだがって言われたんだけど、個数なかったんだよね。」
「うん。30個作ったんだけど、ランチ用と賄いで終わってしまったから、ごめんね。」
「ううん。また食べに来るって言ってた。何でもね、同居しているお母さんがいるとかで、食べさせてやりたいとか言ってたんだ。」
「店長。」
「なんだ、由美。」
「あの、ランチとスイーツの予定表って作れないかな。」
「それは、メニューとは別ってことだな?日替わりのメニューってことか?」
「はい。もしも、どんなものが出るかわかっていたら、来店予定を立てやすいってこともあると思うんですよね。」
「そうだな。」

次々とスタッフは意見を出し、松本はメモを取った。
誰もが開店したばかりの店を愛し、気概を持って働いている。

「俺は反対です。」

学生バイトの尾上が手を上げた。

「こういう店に来る人って、ラーメン屋とかと違って、座ってから何を食べるか決める人が多いでしょう?一週間分これですって決めるのは、店的には楽かもしれないけど、意外性というか、楽しみがないとつまんなくないですか?」
「それも一理あるな……。よし、後で、荒木と直と三人で相談して決めるからな。二人ともそれでいいか?」
「はい。」
「さ、昼飯にしよう。」
「やった~!直くんのご飯~!楽しみなんだ~!」

caféアヴェク・トワの滑り出しは、順調だった。

まだ、直に忍び寄る影は見えない。




本日もお読みいただきありがとうございます。
直くんは一生懸命頑張っています。(〃゚∇゚〃) 「がんばる~」
このままうまくいくといいね~(*つ▽`)っ)))

Σ( ̄口 ̄*) 「いやな予感……」

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