アンドロイドSⅤは挑発する 16
数時間後。
共に荷物を受け取りに来た研究員に撤収を命じると、音矢は早々と研究室に帰ると告げた。
「世話になった。おかげで良いデータが取れたよ。以後の研究に活かせると思う」
木箱に入ったアンドロイドは、再びしっかりと梱包されて去ろうとしていた。
上蓋が閉じられ、しっかりと紐で荷造りをされていた。
きっとこれが最後の別れになる……。
「あっくん。お別れしないの?」
「……音羽……」
「兄さん。アンドロイドはどうなるんだ?」
「そうだな。今回のデータを回収したのち、上手く上書きできれば、新しい場所でコミュニュケーションのとれるお手伝いロボットとして働くことになるだろう。例えば、介護施設や、子供の世話をする場所で。ショーではなく、違う名前のアンドロイドとしてね」
「もしも、うまくいかなければ?」
「産業スパイも横行しているから、AⅠ(人工知能)を破壊したのち、高熱炉で産業廃棄物として処分されることになる運命かな」
「……そんな……」
「互いに忙しいが、また会おう。元気でな、音羽、厚志」
「ああ。また」
二人の横をすり抜けて、車に積み込まれる柩に向かって、あっくんは叫んだ。
「ショーくん!!行かないで!」
驚いた研究員の手が止まり、音矢の指示を待った。
「連れて行かないで!お願い、音矢!お願い」
「……しかし、アンドロイドSVは壊れてしまったから、連れていくなと言われても、ここに置いてゆくわけにはいかないよ。起動できていれば、最小限、自分の身は自分で守れるようにプログラムできているが、動かないまま盗まれでもしたら、国家的に大変なことになる。少なくとも入力次第で兵器に転用できるものだからね」
「これからは、ぼくがちゃんとショーくんの面倒を見るから。お願い、お願い!」
「おいおい……」
音矢はアンドロイドは子犬じゃないぞと、肩をすくめたが、あっくんは必死に木箱に取りすがった。
固く結んだ紐に手をかけ、力の限り木箱をゆすった。
「ショーくん!いい?聞いて。契約の呪文を言うよ。I, atushi,take you, androidsv ,to be my lawfully wedded wife/husband , to have and to hold from this day forward,for better or for worse, for richer, for poorer,in sickness and in health,to love and to cherish,
and I promise to be faithful to you until death do us part.
私、厚志は、アンドロイドsvを、法的に婚姻した妻(夫)とし、今日より 良いときも悪いときも、富めるときも貧しいときも、病めるときも健やかなるときも、愛し慈しみ、そして、死がふたりを分かつまで、貞節を守ることをここに誓います。聞こえたら返事して、ショーくん!」
必死のあっくんをよそに、音矢は研究員に軽く顎をしゃくって運び出せと命じ、彼らは淡々と任務を遂行した。
「待って!待って!音矢!お願いだから、ショーくんを返して!」
「あっくん、仕方がない。諦めるんだ」
縋ろうとするあっくんを音羽が抱き寄せ、固く腕の中に抱え込むと、車は出発した。
本日もお読みいただきありがとうございます。
(´;ω;`)ウゥゥ「ショーくんが行っちゃう……」
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共に荷物を受け取りに来た研究員に撤収を命じると、音矢は早々と研究室に帰ると告げた。
「世話になった。おかげで良いデータが取れたよ。以後の研究に活かせると思う」
木箱に入ったアンドロイドは、再びしっかりと梱包されて去ろうとしていた。
上蓋が閉じられ、しっかりと紐で荷造りをされていた。
きっとこれが最後の別れになる……。
「あっくん。お別れしないの?」
「……音羽……」
「兄さん。アンドロイドはどうなるんだ?」
「そうだな。今回のデータを回収したのち、上手く上書きできれば、新しい場所でコミュニュケーションのとれるお手伝いロボットとして働くことになるだろう。例えば、介護施設や、子供の世話をする場所で。ショーではなく、違う名前のアンドロイドとしてね」
「もしも、うまくいかなければ?」
「産業スパイも横行しているから、AⅠ(人工知能)を破壊したのち、高熱炉で産業廃棄物として処分されることになる運命かな」
「……そんな……」
「互いに忙しいが、また会おう。元気でな、音羽、厚志」
「ああ。また」
二人の横をすり抜けて、車に積み込まれる柩に向かって、あっくんは叫んだ。
「ショーくん!!行かないで!」
驚いた研究員の手が止まり、音矢の指示を待った。
「連れて行かないで!お願い、音矢!お願い」
「……しかし、アンドロイドSVは壊れてしまったから、連れていくなと言われても、ここに置いてゆくわけにはいかないよ。起動できていれば、最小限、自分の身は自分で守れるようにプログラムできているが、動かないまま盗まれでもしたら、国家的に大変なことになる。少なくとも入力次第で兵器に転用できるものだからね」
「これからは、ぼくがちゃんとショーくんの面倒を見るから。お願い、お願い!」
「おいおい……」
音矢はアンドロイドは子犬じゃないぞと、肩をすくめたが、あっくんは必死に木箱に取りすがった。
固く結んだ紐に手をかけ、力の限り木箱をゆすった。
「ショーくん!いい?聞いて。契約の呪文を言うよ。I, atushi,take you, androidsv ,to be my lawfully wedded wife/husband , to have and to hold from this day forward,for better or for worse, for richer, for poorer,in sickness and in health,to love and to cherish,
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私、厚志は、アンドロイドsvを、法的に婚姻した妻(夫)とし、今日より 良いときも悪いときも、富めるときも貧しいときも、病めるときも健やかなるときも、愛し慈しみ、そして、死がふたりを分かつまで、貞節を守ることをここに誓います。聞こえたら返事して、ショーくん!」
必死のあっくんをよそに、音矢は研究員に軽く顎をしゃくって運び出せと命じ、彼らは淡々と任務を遂行した。
「待って!待って!音矢!お願いだから、ショーくんを返して!」
「あっくん、仕方がない。諦めるんだ」
縋ろうとするあっくんを音羽が抱き寄せ、固く腕の中に抱え込むと、車は出発した。
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