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愛し君の頭上に花降る 10 

固く閉じた目尻に光る涙が、祥一朗の添えた指を伝う。

「何を泣くね……秋星?過去を恥じることなどない。きみはこれまで懸命に生きて来たのだろう?」

思いがけない指摘に、殺した嗚咽がひゅっと喉元で鳴った。
働くことを知らない親と身内を食べさせるためとは言え、自尊心を踏みにじられ、夜ごと、穢れを知らない身体をひらかれることに打ちのめされ続けた。
一度たりとも心からの喜びに満たされたことはない。

親しい馴染となっても、周囲から秋星の素性を知らされると、大抵の男は掌を返した。
これまで自分たちが搾取されてきたことを、お前に返してやると冷酷にいい放ち、歪んだ顔で見下ろし貶めた。
乱暴な愛撫を加えられ、生理的に反応したセクスを小馬鹿にしながら、彼らはどこまでも堕ちてゆけと白濁を浴びせた。
誰も守ってくれなかった……
もし、どこか違う場所で出会っていても、この男は同じことを口にしてくれただろうか。

最上家令から、望月を篭絡してくれるように頼まれたが、この出会いが仕組まれたものでなければ良かったのにと思わずにいられない。
眼差しに包まれて、悲哀か喜悦か……ふるっと肌が泡立ち、名の分からない涙が滂沱と溢れた。
祥一朗は、ふと秋星の姿に重ねて、ふとこんな風に声も上げずに泣いた若い男娼の事を思い出した。
上野で別れたあの子は、故郷で幸せに暮らしているだろうか……

秋星の下肢のセクスは、慎ましくどこか幼く見えた。
おそらく後孔ほどには使い込まれてはいないのだろう。
紅を刷毛ではいたように薄く染まっている。
露を浮かばせた裂け目から、浮かんだ愛液を振り落とししっとりと湿ったそこを、掌で握り込んだ。
そのまま腰を抱えて足を持ち上げると、祥一朗は秋星の溶けた熱い肉の中にセクスを押し当て、ゆっくりと抉るように身体を進めた。

「祥一朗さん……あぁ……あ……」

掠れた声で求めるように名を呼ぶ秋星の頬に、乾いた口づけを送り、疼く腰を沈め浅く深く何度も打ち付けた。
潤滑油のお陰か、秋星の肉癖は難なく祥一朗のセクスを受け入れ、きつく絡みつくようだ。
背筋を快感が這い上がるのに任せ、飢えを満たすように激しく求める祥一朗に応えて、秋星の白い足がもっと深いところへ誘い込むように優雅に空を掻き腰に巻き付いた。

「もう……」

抜き差しするセクスに感極まった秋星が、やがて白い喉元を晒して祥一朗を誘った。
秋星の持ち物も腹を打つように張り詰んで、切なくなっていた。

「来て……来て下さ……ぃ。どうか……」

「う……むっ」

傷を見た時は哀れにさえ思ったが、今は吸い付いて受け入れる秋星の身体に惑溺している。
もう離れることはできない。
秋星の尻のあわいの一番深い場所に、祥一朗は達した。

「祥一朗さん……あぁ……」

甘える声に応えてそっと頬に手を当て、額に薄く汗を浮かべた祥一朗は満足げに微笑んだ。
手を取って微笑み返そうとして、歪んだ瞳からつっと零れた秋星の涙の理由を祥一朗は知らない。
最上家令から受けた役目を果たせた安堵か、それとも悔悟だっただろうか。



火 木 土曜日更新の予定です。
どうぞよろしくお願いします。



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久しぶりに絵を描いたのはいいのですけど、余りに久し振りすぎて……描き方忘れていたり……(´;ω;`)ウゥゥ←

思っていたイメージよりも、ずいぶん若くなってしまいました……色々、頑張ろう~。

こっそり上げておきます。

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