【狂おしい秋・学園の狂騒・3】
BL観潮楼秋企画【狂おしい秋・学園の狂騒・3】
「ぼく・・・、本気で怒りますよ?」
くすと笑った生徒会長は、『ドッキリ大成功!』と書かれたプラカードを出した。
「まず、沢木には成功だね。しっかり撮った?英画愛好会。」
「完璧です、会長。これで来年のわが部の予算は決定ですよね。」
「善処しよう。さて、問題は木庭周二だな。あの野獣が劇に出ると言う方にぼくは、かけたんだけど。」
隼は丸い目を、もっと丸く見開いて驚いていた。
どうやらエッチな劇の脚本を、堅物(そう、思われているらしい)沢木隼がどこまで真面目に読みきるかと言う、ドッキリを仕掛けられていたらしい。
素直な隼は、あっさり騙されて完熟トマトのように顔を赤くして、必死で口ごもりながら朗読した。
朗読したテープは、CD-Rに焼けば校内で大量に売れるだろう。
今や白日の下に晒された、少年人形の顔での本人の手売り、握手付きともなれば・・・勿論、この幼い書記を丸め込む自信は常にある。
潤沢な生徒会運営資金を捻出するために、密かに裏で販売しようと企んでいる生徒会長だった。
「思ったより、いい出来だった。ここまで君ががんばるとはね。すぐに泣き出すんじゃないかと思ったが・・・いい子だ、沢木。」
「こう見えても、ぼく。大人の漢(おとこ)ですから。」 (`・ω・´)きりっ!←隼。
さて、もう1つのドッキリは多少危険を伴った。
学校での周二は、一般といわれる生徒とは殆ど関わらない無頼の立場をとっている。
それはずっと以前から、変わらなかった。
姿容は、モデルをするほど見目良いので、隠れた人気は有ったが、何しろ周二は学校の級友に余りにそっけなかった。
だからこそ、成功したらおもしろいだろうと思った。
しかし、もし機嫌を損ねたら、仕掛けたほうは前歯の一本や二本は覚悟しなければならないだろうと思うほど、リスクは大きい。
そこは、生徒会長、樋渡蒼太にも痛いほどわかっている。
そこで多少姑息だが、彼の秘密の可愛い恋人を使うことにした。
「いい?沢木。これはドッキリだけど、木庭周二が本当に、君の事を好きかどうか確かめるために行うんだからね。」
「周二くんを、騙すんじゃないの・・・?」
「とんでもない。君への愛を確認するためにやるんだよ。」
「周二くんの愛を、確認・・・。ん~・・・愛を、確認。」
思いつめた顔で繰り返し、とうとう隼は話をしてみるとうなずいた。
誰がどう考えても、文化祭をガキの祭りと思っている生徒会主催の劇に、周二が出るとは思えない。
ここは秘密の恋人、沢木隼の腕一つにかかっていた。
「成功報酬は、全校生徒憧れの、学食のラブ・シート一年間使用権利だ。」
「ラブ・シートっ・・・ほんとっ!?」
思わず口許を押さえた隼の頬に、さっと朱が走る。
学生食堂の一番良い席、テラスの風の入るその席は、成績の良いもの、スポーツなどで何らの結果を残し、表彰を受けたものに限って使用を許される特別席だ。
ソフトドリンク飲み放題。
校内に流れるBGMも選ぶ権利を与えられる。
公認された恋人達だけが、男女問わずその憧れの長椅子を使うことができた。
そして、ダブルサイズの特別仕様の定食を仲良くつついて食すことができる。
オムライスにすら、食堂のおばちゃんのサービスで、ケチャップで大きなハートがかかれるという徹底っぷりだった。
うっとり・・・。
「周二くんと、がっこでも一緒・・・」
すっかり二人で並んで食事をする風景を想像して、嬉しくなってしまった隼だった。
録音する小さな器械と生徒会長のえろ台本をポケットに入れて、隼は放課後「めのほよう」に向かった。
周二は、素直に劇に出るというだろうか。
「周二くんと、ラブ・シート。」
隼は、気合を入れて、きゅと口を引き結んだ。
「がんばる!」(`・ω・´)きりっ!←隼。
気合はすごいですけど、どうなりますやら・・・。
いつの間にか、両思いになってます。
季節と共に、愛は深まります。 此花
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こちらで使用させていただいている美麗挿絵(イラスト)は、BL観潮楼さま・秋企画参加のみのフリー絵です、それ以外の持ち出しは厳禁となっております。著作権は各絵師様に所属します。
(pioさま鼻血ぷぷっの美麗イラストお借りいたしました。ありがとうございました。きゅんきゅんの綺麗お子さまです~!
「ぼく・・・、本気で怒りますよ?」
くすと笑った生徒会長は、『ドッキリ大成功!』と書かれたプラカードを出した。
「まず、沢木には成功だね。しっかり撮った?英画愛好会。」
「完璧です、会長。これで来年のわが部の予算は決定ですよね。」
「善処しよう。さて、問題は木庭周二だな。あの野獣が劇に出ると言う方にぼくは、かけたんだけど。」
隼は丸い目を、もっと丸く見開いて驚いていた。
どうやらエッチな劇の脚本を、堅物(そう、思われているらしい)沢木隼がどこまで真面目に読みきるかと言う、ドッキリを仕掛けられていたらしい。
素直な隼は、あっさり騙されて完熟トマトのように顔を赤くして、必死で口ごもりながら朗読した。
朗読したテープは、CD-Rに焼けば校内で大量に売れるだろう。
今や白日の下に晒された、少年人形の顔での本人の手売り、握手付きともなれば・・・勿論、この幼い書記を丸め込む自信は常にある。
潤沢な生徒会運営資金を捻出するために、密かに裏で販売しようと企んでいる生徒会長だった。
「思ったより、いい出来だった。ここまで君ががんばるとはね。すぐに泣き出すんじゃないかと思ったが・・・いい子だ、沢木。」
「こう見えても、ぼく。大人の漢(おとこ)ですから。」 (`・ω・´)きりっ!←隼。
さて、もう1つのドッキリは多少危険を伴った。
学校での周二は、一般といわれる生徒とは殆ど関わらない無頼の立場をとっている。
それはずっと以前から、変わらなかった。
姿容は、モデルをするほど見目良いので、隠れた人気は有ったが、何しろ周二は学校の級友に余りにそっけなかった。
だからこそ、成功したらおもしろいだろうと思った。
しかし、もし機嫌を損ねたら、仕掛けたほうは前歯の一本や二本は覚悟しなければならないだろうと思うほど、リスクは大きい。
そこは、生徒会長、樋渡蒼太にも痛いほどわかっている。
そこで多少姑息だが、彼の秘密の可愛い恋人を使うことにした。
「いい?沢木。これはドッキリだけど、木庭周二が本当に、君の事を好きかどうか確かめるために行うんだからね。」
「周二くんを、騙すんじゃないの・・・?」
「とんでもない。君への愛を確認するためにやるんだよ。」
「周二くんの愛を、確認・・・。ん~・・・愛を、確認。」
思いつめた顔で繰り返し、とうとう隼は話をしてみるとうなずいた。
誰がどう考えても、文化祭をガキの祭りと思っている生徒会主催の劇に、周二が出るとは思えない。
ここは秘密の恋人、沢木隼の腕一つにかかっていた。
「成功報酬は、全校生徒憧れの、学食のラブ・シート一年間使用権利だ。」
「ラブ・シートっ・・・ほんとっ!?」
思わず口許を押さえた隼の頬に、さっと朱が走る。
学生食堂の一番良い席、テラスの風の入るその席は、成績の良いもの、スポーツなどで何らの結果を残し、表彰を受けたものに限って使用を許される特別席だ。
ソフトドリンク飲み放題。
校内に流れるBGMも選ぶ権利を与えられる。
公認された恋人達だけが、男女問わずその憧れの長椅子を使うことができた。
そして、ダブルサイズの特別仕様の定食を仲良くつついて食すことができる。
オムライスにすら、食堂のおばちゃんのサービスで、ケチャップで大きなハートがかかれるという徹底っぷりだった。
うっとり・・・。
「周二くんと、がっこでも一緒・・・」
すっかり二人で並んで食事をする風景を想像して、嬉しくなってしまった隼だった。
録音する小さな器械と生徒会長のえろ台本をポケットに入れて、隼は放課後「めのほよう」に向かった。
周二は、素直に劇に出るというだろうか。
「周二くんと、ラブ・シート。」
隼は、気合を入れて、きゅと口を引き結んだ。
「がんばる!」(`・ω・´)きりっ!←隼。
気合はすごいですけど、どうなりますやら・・・。
いつの間にか、両思いになってます。
季節と共に、愛は深まります。 此花
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こちらで使用させていただいている美麗挿絵(イラスト)は、BL観潮楼さま・秋企画参加のみのフリー絵です、それ以外の持ち出しは厳禁となっております。著作権は各絵師様に所属します。
(pioさま鼻血ぷぷっの美麗イラストお借りいたしました。ありがとうございました。きゅんきゅんの綺麗お子さまです~!
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