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新しいパパができました・30 

その後、詩鶴はどうしても身体を洗いたいと言い、俺は忠実な家臣のように、詩鶴をそっと横抱きに抱き上げた。

俗に言う「お姫さまだっこ」を詩鶴は嫌がったが、風呂場に行き着くまでに風邪を引きそうだった。

「絶対に、覗いちゃだめだよ。」

これは、風呂場での攻防。

「何で?みんな見せてくれても、いいじゃないか。見たいよ。」

ちょっと困ったように耳まで真っ赤になった詩鶴は、勇気を出して耳元に告げた。

「柾くんが中に出しちゃったから、出さないといけないの。指でかき出さないと、出ないんだもん・・・」

涙目で怒っていた。

「入れたままほおっておくと、後でおなかが痛くなるんだよ。だから、待ってって言ったのに、何度も出したでしょう。見られたくないよ、そんな所。恥ずかしい・・・」

「う・・そうだったのか。」

もう謝るしかないっ!

「ごめん!次からはちゃんと、詩鶴の言う事聞くからっ!」

大丈夫~といいながら、鶴の恩返しのはた織りのようにきっぱりと俺を拒否して、詩鶴は独り風呂に入った。
その間、俺は詩鶴がどんな風にかき出しているか、あられもない格好を想像して、暴れん棒をなだめるのに骨を折った。
まじで、どうしようもないよなぁ・・・。

翌日、詩鶴は熱を出して、起き上がれなかった。
俺は今度こそ慎重に丁寧に、詩鶴の身体を拭いてやった。
歯形が付いて、血が滲んだ詩鶴のささやかな胸に、数え切れないほど無数の内出血が散る。

「痛そう・・・。」

指でなぞると、自分でやっておきながら可哀想で泣けてきた。
大切にすると誓ったのに。
泣かせないと誓ったはずなのに、俺は感情に任せて詩鶴を壊しかけた。

「もう、絶対に酷い事しないから。ごめん、本当に悪かった。」

清らかな詩鶴の胸に、痛ましく蹂躙されたあとが残る。

「そう。もう、しないんだ?」

しょんぼりと決意を語った俺に、口を尖らせて横を向いてしまった詩鶴は、つまんない・・・と意地悪く俺を煽った。

「ぼく。柾くんだから、どんなに酷くされても平気だったんだよ。柾くん、ぼくのこと・・・本当に好き?」

俺は極めて真剣に詩鶴の目に向かって、こくと頷いた。
好きでもない奴なんて、抱けるわけない。
例え、形だけ抱けたとしても、暴れん棒(本能)が反応するわけがない。
詩鶴は俺に手を伸ばし、懐に頭を預けるとどこか安心した風だった。

「ぼくね、両親以外から、ちゃんと名前を呼んでもらったの、柾くんと亜由美さんが初めての気がする。」

「嬉しかった。」

壊れそうになりながら、歪んだ愛情を受け止め続けた詩鶴。

逃げ場のない狭い檻の中で、詩鶴の心はずっと悲鳴を上げて血を流し続けていた。
伯父さんと呼んでいた人は、詩鶴の実の父親で、詩鶴と愛した女性を混濁させていた。
天音からは、いわれのない憎しみに晒され続けて、とうとう小さな詩鶴は命さえ手放そうとしたのだ。
最初、誤解があって俺は詩鶴を認められなかったけど、今は違う。

「俺、下手くそだけど、詩鶴の事本気で好きだから。馬力ばっかで、テクないけどちゃんと愛せるように・・・えっと。・・・努力しますので、よろしくお願いします。」

「ん・・・いっぱい、愛してね。柾くん。」

ふざけた振りをして、きゅと背後から詩鶴を抱きしめた。

正面から視線を合わせると、涙が溢れそうだったから。

*******************************

ここ最近、色々やらかしてしまったせいかどうか、昨日の記事はどうやっても新着記事に上がりませんでした。(´・ω・`)あう~・・・いつもより、字数にすると500字くらい多目にがんばったのに~。
今日はちゃんと反映されますように。

あと、数話で終わりましたら、リクエストを頂いた作品に取り掛かります。
なんと、初めてのサラリーマン設定です。(//▽//)
子どもと、武士しか書いたことないのに、此花でいいんですか・・・? という感じの設定です。
バイセクシュアルで、お互い好き同士なのに心を残したまま結婚してしまうのです。
脳みそ振り絞らないと、大変よっ!
がんばりますっ!

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2 Comments

此花咲耶  

Rinkさま

> 詩鶴君はひどくしても、ちゃんと名前を呼んでくれたからいいって、
> まさしくんよかったね!

どれだけ寂しかったんだろう・・・というお話になってしまいました。
どんなに酷くされても、ずっと信じている健気な子が好きです。
Rinkさまのおうちの、豊くん。猫を抱き上げて泣いてしまった場面、俺様なお話のときと同じ人が書いているとは思えません・・・本当は、どっちなんでしょう?

> もう少しでおしまいですか?さみしい

幸せになったら、おしまいにしようと思います。
書けていない天音さんのお話とかあるのですが、かわいそうな場面は書くのを止めにしました。
きっと皆さまの想像力の中で、お話は十分広げてくださっていると思います。

> そしてリクでリーマンもの!!!
> 読んでみたい、此花さんのリーマンもの

(/▽\)きゃー♪書けるかどうか、わかりません。
書いたこと無い設定はわくわくします。途中で逃亡したら、ごめんなさい。

> 武士みたいなリーマンじゃないですよね?
> それもある意味かっこいいけどwww!!!
> 忠義とか~!

あ、今ひとつお話思いつきました。ありがとうございます。
慕ってくれる部下を、取引先にあげちゃおうかなぁ・・・(〃∇〃) ←今、すごく、邪まな気持ちです♪

> さいごまで応援してます!
わ~ん゚・。(。/□\。)。ありがとうございます。
結局へたれな主人公になりそうです。エチ場面を何とか一つクリアしたので、ちょっと楽になりました。
でも、よく考えると正統じゃないです。|ω・`)
次こそ頑張ります!←いっつも~

コメントありがとうございました。お忙しいのに足跡残してくださって、すごく嬉しいです♪

2010/12/16 (Thu) 23:00 | REPLY |   

Rink  

甘くなったあ!

詩鶴君はひどくしても、ちゃんと名前を呼んでくれたからいいって、
まさしくんよかったね!
もう少しでおしまいですか?さみしい
そしてリクでリーマンもの!!!
読んでみたい、此花さんのリーマンもの

武士みたいなリーマンじゃないですよね?
それもある意味かっこいいけどwww!!!
忠義とか~!

さいごまで応援してます!

2010/12/16 (Thu) 21:18 | REPLY |   

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